1日の仕事を終えて夜の東京駅へとやって来ました。日曜日の夜とあって、東京から各地へ戻る人で新幹線のりばはだいぶ混み合っていました。
東京駅構内にある弁当屋を覗いてみるとほとんどが品切れ。あと1時間ちょっとで寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」の発車時刻ですが、夜行の車内で駅弁を食べようとしていた人からすればちょっと寂しい旅のスタートになりそうですね。
そんな多くの人々が行き交う東京駅の改札口にあさかぜは背を向けて、八重洲中央口の前にあるきれいな階段を降りて地下街へと進んでいきます。
「バスターミナル東京八重洲」の表示に従って通路をまっすぐ進み、「東京ミッドタウン八重洲」には入らず入口の手前から右へ。八重洲中央口からは徒歩3分ほどでしょうか。
セブンイレブンとバス乗車券のカウンターが見えれば正解、バスターミナル東京八重洲に到着です。
バスタ新宿を追い抜いて都内最大のバスターミナルになる計画ですが、2022年9月17日の第1期開業では予定の1/3ほどがオープンしたまで。2025年、2028年の2段階に渡って拡張され、完成時には20の乗降場が設けられる予定です。
案内表示は要所要所に出てはいるものの、文字サイズはかなり小さめです。東京駅から来る分にはまだいいとしても、外から入ってくるにはわかりづらいはず…
いくらミッドタウンがメインの建物とはいえ、高速バスという公共交通が多数発着するのですから、もっとわかりやすくならなかったのかという感じはあります。文字の色も白黒でデザインとしては良くとも、「案内サイン」としては適切とは言えません。
きっぷ売り場は計画規模に比べてかなり小ぶりですが、今はみんな手元のスマートフォンで予約するので必要最小限で良い、という考え方なのでしょう。合理的と言えば合理的です。
かくいうあさかぜも「オンライン予約、乗車券はスマートフォンの画面を提示」となっていますから、カウンターに寄る必要はありません。
見たところ発券カウンターに並ぶ乗客もほとんどいないようですが、3期分まで拡大したらさすがに拡大されるのでしょうか。
エスカレーターで地下2階へ降りると発着場です。
稼働中のバースは11~16の6面。便数の多いJRバス系が引き続き東京駅のグランルーフ前から出発することもあって、発着便数にはまだ余裕のある印象です。
上階のセブンイレブンに加え、このフロアにも小さいながらファミリーマートがあります。狭苦しいファミマが1つあるだけのバスタ新宿に比べたら、必要な品を買いやすくて助かります。
あさかぜもセブンイレブンで飲み物を買っておきました。
指定されたのは13番のりば。この時間は夜行便に割り当てられているようで、岡山、博多、徳島という遠方の行き先が並びます。
他ののりばも昼行便から夜行便の出発へとシフトしているようで、13番のりば以外にも長距離利用とわかる人の姿が目立ってきました。
20:50、乗車するJAMJAMライナー JX551便 岡山・倉敷・東福山ゆきが入線。バスの乗車口でスマホの画面と名前を告げ、車内後方の席に収まります。
21時ちょうど、JX551便は東京駅を出発。横浜駅のそばにあるスカイビルでも乗客を拾って、車内はおおよそ満席となったようです。
22時に横浜を出発すると、運転士さんから放送が入ります。休憩は海老名SA(東名)、岡崎SA(新東名)、三木SA(山陽)の3カ所でそれぞれ15分ずつを予定していること、消灯は海老名SAの出発後であること、そして車内は禁煙・禁酒であること。
確かに広いとはいえないバスの車内で泥酔する客がいたら迷惑ですから、禁酒というのは正しい判断でしょう。
とはいえ、お酒を少し飲んでおけばバスで寝付きやすくなるのもまた事実…
ターミナルのセブンイレブンでハイボールを1本だけ買ってあったものの、バスの中で飲んではいけないとなれば仕方がありません。
というわけで22時半頃に着いた海老名SAで飲んでしまうことにします。高速道路のSAで酒を飲んでるヤツがいるというのもどうかと思いますが、まぁ別にドライバーではないわけですし。
22:50、海老名SAを出発すると同時に車内の照明が落とされ、ほぼ真っ暗になりました。車内のどこかで缶を開ける音がしましたが、あの音は絶対ジュースじゃないだろう…飲んで眠りたい気持ちはよくわかりますけどね。
だいぶ快適に眠れました。途中砂利道のようなところを走っていた感覚がありましたが、気のせいかな…?
海老名SAからおよそ3時間、愛知県の岡崎SAに到着しました。定刻より少し早めなのか、ここでは20分の休憩です。
走行中の車内はほぼ真っ暗ですが、休憩場所に着くと照明がついて車内が明るくなります。休憩に惑わされることなく眠り続けたい、という人はアイマスクは必須ですね。
近くの駐車スペースに停まっているJAMJAMライナーの広島ゆきはスーパーハイデッカー車です。普通のハイデッカーかスーパーハイデッカーかで何か車内設備が違うのでしょうか。
駐車場にはトラックがずらりと並んでいます。我々の生活を支えるなくてはならない生活インフラとなっているトラック輸送ですが、年々厳しくなる労働条件に道路インフラが追いついていない感じがします。
特に高速道路のPA・SAでの駐車マスの不足は深刻だそう。確かにクルマで走っていると昼夜問わず、大型車スペースは「満」の表示がついていることが多いように感じられます。普通車のスペースが混んでいるからとトラックのエリアに止める乗用車も少なくないようですし。
どうせ乗用車のマナーなんて向上のしようがないのですから、何らかの形で物理的にトラックのみが入れるエリアを造るしかないように思えますが…
午前4時半、兵庫県の三木SAに停車。車内の明かりで目が覚めてしまったので、ひんやりとした外へ出て体を伸ばします。
ここでも20分の休憩。小腹が空きましたが、さすがに何かを食べるのはやめておきましょう。後でトイレにも行きたくなりますし。
一足先に発車していったのはオリオンバスの東京~小倉・博多便。バスターミナル東京八重洲から小倉駅新幹線口を経由して博多駅のHEARTSバスステーションまで14時間半をかけて走ります。
西鉄の運行する「はかた号」も新宿から小倉・博多を結んでいますが、オリオンバスの方が東京発着の分、少し距離が長かったりするのでしょうか。
前半分が3列シート、後ろ半分が4列シートという構成。4列シートなら片道10,000円を切るという価格設定には驚きですし、3列シートでも11,000円が最安値。その代わり車内にトイレはないようです。
日本一長い所要時間を体験してみたい方は選んでみては…?
派手なバスが止まっていました。姫路市をホームとする女子のプロバレーボールチーム「ヴィクトリーナ姫路」が大々的にアピールされています。ホームへ戻る選手が乗っているのでしょうか。
ナンバープレートも1位を目指すということか、11-11と1が並ぶ縁起のいいナンバーになっています。
トイレを済ませたら早めに車内へ戻って、睡眠の続きを取ります。次の停車は朝6時半、降車地の岡山駅東口です。
概ね定刻通りに岡山駅東口に到着しました。高速バスというと「降りた時点で疲れている」という印象がどうしても拭えませんが、今日はそんなことはなく非常にスッキリとした気分です。
バスが遅れて列車に間に合わない、となったらイヤなのでかなり余裕を持った接続にしていますが、結果的にはそこまで心配する必要はなかったですね。
ここからおよそ2時間半、どうやって暇を潰そうか…?