あさかぜみずほの趣味活動記録簿

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トキエア1/31就航“予定”、4月には仙台も狙う

2023年11月29日、就航の延期がずっと続いている新潟空港拠点のLCC「トキエア TOKI AIR」が記者会見を開き、2024年1月31日に新潟~札幌(丘珠)の運航を開始すると発表しました。
当初は「2022年内就航予定」でしたから、約2年近い遅れとなっています。

 

<トキエアが運航するATR-72-600。23年12月現在では2機導入済みで、訓練飛行や整備を行っている>

 

それでも2023年9月ぐらいまでは
「10月29日の冬ダイヤ開始とともに就航するのでは?」
という見方が強くあったものの10月半ばになっても音沙汰はなく、結局は年末年始という書き入れ時を逃してしまったわけですが、2月は巨大イベント「さっぽろ雪まつり」が控えていますから、まだ認知度を上げるチャンスは残っています。

 

…とはいっても、あくまで1月31日就航は「予定」であると、開き直りとも捉えられかねない雰囲気でもありました。
就航予定日は何度も延期され続けているわけで、だいぶ信用をなくしているというか、狼少年のような節もあるわけです。

 

運航ダイヤについても曖昧さが感じられます。
1月31日に就航します、と言った割には詳細なダイヤは発表されなかったようです。8月10日の就航が予定されていた頃は、観光需要の見込みがある金~月曜日の週4日、各日2往復の運航と発表されていました。
一応はその頃との大きな違いはないとしつつも、「最終的な運航ダイヤは調整中」という内容に留まりました。ちなみに2024年1月31日は水曜日で、祝日ですらありません。

 

また週末限定の運航ではビジネスマンの利便性はいまひとつです。トキエアとしても早めにデイリー運航(毎日運航)に持って行きたいようですが、これも時期の明言は避けられています。

 

新潟~丘珠線のデイリー化さえ定まっていない割には、
「早ければ2024年4月頃には新潟~仙台線を開設したい」
という強気な発言も見られます。
今まで延期を積み重ねたせいで、特にAviation Wire誌にはかなり懐疑的な見方をされていますが、そりゃそうだと思わざるを得ません…

 

 

<チェックインカウンターも片隅に整備され、就航まで間近なことを感じさせる新潟空港の出発ロビー。2023年6月撮影>

 


それとは別に、天候が比較的安定する夏のシーズンを通り越して真冬からいきなりスタート、というのもなかなか高いハードルのように感じられます

同じ「札幌」を冠するとはいえ、大手の航空会社が発着する新千歳空港と、北海道エアシステム(HAC)が拠点とし、トキエアも就航する丘珠空港とでは冬の気候がだいぶ異なります。太平洋側に近い新千歳は、札幌市街に比べると明らかに雪の量が少ないですからね。

 

それに視界不良の時に大きな効力を発揮するILS(Instrument Landing System=計器着陸装置)の設備が丘珠空港にはありません
そうなると天候の悪い日には着陸することができない場合が出てくるので、天候の悪化が予想される場合には欠航せざるを得ません。

 

<冬の嵐の中で出発を待つHACのATR42。視界の悪化は着陸に大きな影響を与える>

 

欠航するような状況を可能な限り減らすため、HACでは2022年9月からLPVという新しい進入方式丘珠空港で使っています。

Localizer Performance with Vertical guidance

という長い正式名称を略したもので、GPSといった衛星からの情報を元に滑走路まで誘導し降下していくというシステムです。
通常の有視界飛行では高度380フィート(≓115m)まで降下しても滑走路が見えなかったら、着陸をやり直すか、着陸そのものを諦めなければなりませんでした。

 

LPVの導入により下限が257フィート(≓77m)まで下げられるようになり、2025年には200フィート(≓60m)まで性能が向上する見込みです。

 

HACではそのLPVに対応したオプションを装着したATR42-600を導入したわけですが、トキエアのATR72-600ではそうした話を聞いたことがありません
トキエアが拠点とする新潟空港はILSが設備されているので、LPVに対応させる必要がないという考え方なのでしょうけれども…

しばしば冬の札幌で荒れた天気に遭遇している身としては、就航率がどれほど確保できるのか気がかりなところです。

 

<HACでは新しい進入方式LPVに対応させたATRを導入しており、丘珠だけでなく設備の拡張が難しい離島空港への就航率向上も図る>

 


というわけで、延期を積み重ねた結果新たな心配を招いているトキエアについて触れてみました。
趣味人としては安定した運航にこぎ着けて欲しいのは山々なのですがね…

 

ちなみに、トキエアでは機内での電子機器の取扱いについてもちょっとした波紋が広がっているようです。これについては機会があれば触れてみようかと思います。

 

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参考資料:

トキエア、1/31就航 新潟-札幌丘珠を週4日 - Aviation Wire

https://www.aviationwire.jp/archives/289001

 

トキエア、仙台就航は最短24年4月 長谷川社長「2カ月くらい必要」 - Aviation Wire

https://www.aviationwire.jp/archives/289053

 

トキエア、新潟~札幌/丘珠線の運航ダイヤ並びに運賃を発表 最安6,900円~とし、就航は8月末に延期することを正式発表 - sky-budget

https://sky-budget.com/2023/07/26/toki-air-news-10/

 

日本初となる衛星を活用した新進入方式の運用を開始 -北海道エアシステム

https://www.info.hac-air.co.jp/wp-content/uploads/2022/09/%E3%80%90HACPRESSRELEASE%E3%80%91%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%88%9DLPV%E9%80%B2%E5%85%A5%E9%96%8B%E5%A7%8B.pdf 

※PDFファイル

 

HAC、衛星使う新着陸方式「LPV」運用開始 国内初、悪天候時の就航率向上 - Aviation Wire

https://www.aviationwire.jp/archives/259623