2023年11月14日、日本航空(JAL)が新たなステータスプログラムを始めると発表しました。それが
「JAL Life Status プログラム」
というものです。
このプログラムは2024年1月から始まるもので、航空便の利用だけでなくJALカードでの支払いやオンラインショップ「JAL Mall」の利用、また最近になってスタートしたキャッシュレス決済「JAL Pay」の利用でLife Status ポイント(以下LSポイント)が貯まっていきます。
特徴として、このポイントはマイルなどと違い他のものと交換するものではないことと、有効期限がなく一生涯積み立てられていくことです。
そして積み立てられたポイントに応じてステータスのランクが上がっていき、特典を得ることができるという仕組み。
発表時点ではまだ「JAL Life Status プログラムを始めますよ」というアナウンスだけで、ポイントを貯めて得られる特典はまだ詳細に発表されてはいません。内容は12月頃の発表とのことなのでまだ少し待つことになりそうです。
<近年は輸送力よりも価値観に重点を置いているように見える日本航空。この新プログラムもその一環…?>
ほとんどの特典が未発表となっている中で、明確にされたのはJALの上級会員「JALグローバルクラブ(以下JGC)」への入会資格です。
これまでは暦年(1月1日~12月31日)の間にJAL便を利用し、50,000FOP(フライオンポイント)積算もしくは50回の利用で「JMBサファイア」というステータスが入手でき、それがJGCの入会に必要な条件となっていました。
つまり1年間でヒコーキに乗りまくれる人だけにJGCの入会資格は与えられていたわけです。
2024年1月に始まるJAL Life Status プログラムでは、JGCの入会に必要な条件が「1,500 Life Status ポイント」へと一本化されます。
あまり飛行機に乗っていなくとも、例えばJALカードでひたすら決済して1,500LSポイントを手に入れればJGCに入れるようになった、ということです。
<JAL便やワンワールド加盟会社の利用時にはサクララウンジが利用できる。喧噪や慌ただしさから離れ、ゆったりと過ごせるのはラウンジ利用者の特権>
一方で、JMBサファイアに到達してもJGCへの入会資格は得られなくなります。JMBサファイアはほぼJGCと同じ特典を得られますが、あくまで到達後から翌々年3月末までの期間限定のステータスです。
JMBサファイアの資格を維持し続けたいのなら、50,000FOP or 搭乗50回を毎年達成し続けねばなりません。
今までJGCの登竜門だったJMBサファイアを達成するためにひたすらJAL便に乗る“修行”を多くの人がしてきたわけですが、2024年1月からは少なくともJGC入会を目指すためだけならば修行をする理由がなくなります。
これからは短期決戦ではなく、長期的にJGC入会を目指すことになりそうです。
LSポイントの導入により、単純に搭乗回数でJGC入会資格を計算する意味はなくなったわけですが、短期決戦での入会がいかに難しくなったかの参考にはなるかもしれませんので、少し取り上げてみます。
前述の通り、JGC入会に必要なLSポイントは1,500。
- 国内線の利用で1回5LSポイント
- 国際線は運賃種別にかかわらず、区間マイルを使って1,000マイルごとに5LSポイント
つまり、国内線なら300回搭乗、国際線なら区間マイルで合計30万マイルが必要です。
解説サイトによっては1,000マイルをはみ出した分は切り捨て、と解釈しているところがいくつかありましたが、公式ウェブサイトを見ると
「余った分は次回に持ち越し」
と小さく書いてあるので、通算できるものと考えて差し支えないでしょう。
同じことが書いてあるブログをいくつも見つけたので、1つの情報源を回し読みしているのかな…?
<Webサイトをよく読めば、切り捨てなどとはひとつも書いておらず「次回繰り越し」と書いてあるのがわかる。LSポイントは運賃種別に関係なく区間マイル100%で計算される https://www.jal.co.jp/jp/ja/jmb/lsp/check/#rule >
国内線だけで1,500LSポイントをためるために、毎週末に東京(羽田)~沖縄(那覇)を2往復したと仮定します。
1回5LSポイント×4回×4週×12ヶ月=960
1年間で960LSポイントを貯めることが可能。ということは、
1,500÷960=1.5625
ひたすら週末をJALに捧げたとしても、1年半はかかる計算になります。
次に国際線。JALの公式ウェブサイトに掲載されている区間マイル表と照らし合わせてみます。
30万マイルをためるために、単純に1つの路線を往復すると仮定して計算すると、
東京(成田・羽田)
~ソウル(753mi):198往復
~上海(1,111mi):136往復
~バンコク(2,869mi):53往復
~ホノルル(3,831mi):40往復
~ロンドン(6,214mi):25往復
~ニューヨーク(6,739mi):23往復
と、気の遠くなるような数字が並びます。
しばしば海を越えて往来するようなエリートビジネスマンなら現実的な数字かもしれませんが、あさかぜのように地面に這いつくばって生きている社畜からすれば何年かかるのやら、といったところです。
<JGC会員になるとoneworldに加盟する他社のラウンジが利用できるのも魅力のひとつ。航空会社ごとにそれぞれ特徴を感じ取るのもまた旅の楽しみ>
しかし、こんな計算は無意味です。
航空券をJALカードで決済すれば決済額に応じてマイルが得られますし、ショッピングマイルプレミアムに加入しておけば付与マイルはほぼ倍。付与されたマイルの0.25%がLSポイント(2,000マイルごとに5LSポイント)として入手できると考えると、
「○○回乗らなきゃいけない」
という今までの考え方は、無意味とまでは言わずとも、重要度が低いことがわかります。
<カード決済で得られるショッピングマイルも通算が可能な様子。ただし飛行機に乗るよりも割合はかなり渋い>
しかし「飛行機に頼らなくてもJGCへの入会資格が得られるようになる」といっても、ハードルが上がったことは間違いないでしょう。
JALカードやJAL Payでの支払いでLSポイントが入るようになるとはいえ、もらえるポイントの割合はJAL便を利用した時の方がはるかに高いですしね。
特に過去一度もJAL便やJALカードを使ったことがなく、「まっさらのゼロからスタートです!」という人には遠い遠い道のりになることは間違いありません。
逆に過去の分も積算するという新プログラムの性格上、今までそこそこJALを使って暮らしてきたという人なら、スタート時点でJGCへの入会資格を満たしている可能性もあり得ます。
今回のJAL Life Status プログラムの導入は、長らく日本航空やその関連サービスを愛用してくれた人に報いるため。
イヤな捉え方をすれば、いかに日本航空への忠誠を誓えるかが問われる。
そんな印象をあさかぜは受けました。
<言い方は悪いが、国際線のラウンジなら“タダ飯”にもありつける。朝からお酒を飲むこともできる旅ならではの背徳感>