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冬の北陸ヨンイチサンづくし - 2日目【トキ鉄413系編】(2021年12月21日)

12:50過ぎ、本日のお目当てであるえちごトキめき鉄道の413・455系が直江津側から姿を現しました。普段この車両を使った観光急行列車は土休日の運転ですが、シーズンによってはこのように平日でも運行してくれる日があります。
いま到着した「急行1号」には時間の都合で乗れませんでしたが、この折り返しとなる「2号」から「4号」までの3列車を乗り通したいと思います

 

www.series455413express.jp

 

2021年3月まで七尾線で走っていた編成をそのまま使用しており、直江津側の2両が413系、市振側の1両が455系の3両編成という構成。日によってクハ455-701のヘッドマークは違うそうで、今日は1985年まで米原~金沢間を結んでいた急行列車「くずりゅう」を名乗っています。

編成最後部にいる車掌さんからトキ鉄のフリーパスを購入します。平日は2,000円の「トキ鉄ツアーパス」のみ発売ですが、観光急行の走る日であれば本来1回500円かかる急行料金まで含まれた「ホリデーツアーパス」が3,000円で発売されます。3回以上「急行」に乗るという日ならこちらの方がおトクですね。

 

 

折り返しの20分ほどの間に車内外を見て回ります。
土休日の運行ではクハ455のみ指定席となっていますが、平日の運行では3両全て自由席。最近流行りの「グルメ列車」用にということで、飲食しやすいようにテーブルまで設置されています。

 

こちらは中間車モハ412-6の車内。直江津側の先頭車クモハ413-6も同様ですが、こちらは現役時代そのままのボックスシートが並びます。
快適に過ごすのであればクハ455に乗るべきなのですが、あさかぜは走行音が目当てなのでまずは中間車に席を取りました。

 

国鉄急行色の外見や懐かしの内装に目が行きがちですが、同じようにすごいのは車内の中吊り広告です。これはトキ鉄社長の鳥塚亮氏が保有するコレクションだそうで、国鉄時代のものが何種類も用意されています。

写真はアルペンルートの中吊り広告で、この他にもダイヤ改正を知らせるものなど「こんな時代があったのか!タイムスリップして見に行きたい!」と思わせるものばかり。ここで載せてしまっては楽しみがなくなってしまうので、ぜひ実際に足を運んで「観光急行」の魅力を存分に味わっていただきたいと思います。

 

外側のサボもちゃんと国鉄時代のフォントを使ってリアリティを追求しています。列車名に出ている「ひめかわ」も1982年まで実在した列車で、新潟~糸魚川(のちに青海へ延長)を結んでいました。あさかぜの倍ぐらいの年齢のオジサンたちにはノスタルジーかもしれませんが、一応は平成生まれのあさかぜにはもはや新しい発見です。

側面に装備されている方向幕はJR西日本時代そのまま。終点の駅では幕回しが見られますから、ぜひつぶさに観察を。
クハ455側は前面の種別表示が生き残っているように見えますが、あれは引っ込んで見えるように印刷したステッカーで「急行」表示を出しているそうです。よ~く観察してみないと気付きません。

 

413系は1986年デビューとされているものの、元となった車両は1962年生まれという来歴大ウソつき車両です。
国鉄末期に運転本数を増やすサービスアップを行おうとしたのですが、元からあった457系などの急行形車両では車両の隅に狭いドアがあるだけなので乗降に時間がかかってしまいます。そこで走行機器は流用し、車体だけ近郊型電車のものを新しく作って乗降しやすいようにしよう、という考えで生まれたのが、この413系や九州で運用された717系だったわけです。

 

市振を出てすぐに親不知と名付けられた険しい海岸線を通過します。ここからおよそ15kmの海岸は親不知・子不知と名付けられています。
今でこそ北陸本線国道8号線が通じていて往来が簡単になっていますが、明治時代に入るまでこのあたりは通行の難所とされていました。親不知は越中と越後を結ぶ「北陸道」のルート上にありますが、高度な土木技術のない当時は海岸を通るしかありませんでした。

荒れた日本海の海岸線を抜けるのは大変なことで、波が引いたタイミングで砂浜を渡り、大きな波が来たら洞窟に逃げ込むということを繰り返してここを通過していたそうですが、間に合わず波に呑まれてしまうことも少なくなかったとか。
親も子も互いに助け合えるような余裕がなかった険しい場所だったので、このような名前になったと言われています。

1988年に開通した北陸自動車道は道路用地がどうしても内陸側に確保できなかったようで、土木技術を誇示するかのように堂々と海の上を通過しています。

 

www.itoigawa-kanko.net

 

冬の日本海というと「鉛色で波が高く荒れた海」というイメージが強いですが、今日はあまり波が高くないようですし、晴れ間も出て全体的に青緑色に見えています。
命がけで歩いて渡らなければならなかった海岸、という歴史は少なくとも今の天気からはなかなか想像がつきません。

先人たちの苦労を後目に、あさかぜは車内販売をしているボランティアのお兄さんからハイボール(200円)を購入し、ご機嫌タイムとなります。

 

市振から20分ほどで最初の停車駅、糸魚川に停車します。ここでは10分ほどの時間が取られていました。
あさかぜの記憶にある糸魚川駅はまだ新幹線の建設工事が始まった頃(2011年9月の旅行記に写真があります)のものですが、現在は立派な駅舎がそびえて過去の記憶をさっぱりたどれません。

 

brhybrid.blog19.fc2.com

 

「急行」は時刻表に載っていない駅にも停車します。乗客が乗り降りできる駅だけを時刻表に載せ、ただ単に観光目的で停車する駅は載せていないようです。

能生(のう)駅の停車はスルーし、トンネルに挟まれた名立(なだち)駅で列車の外に出てみることにします。前後をトンネルに挟まれた高架駅で、ホームの一部は名立川の上にかかっています。

 

長い列車でも停車できるよう、駅の両端にあるトンネルは出口部分だけ広げられて3セットのレールが並ぶようになっています。トンネルの断面を少しでも小さくしたいのは今も昔も変わりませんが、長い列車が待避するためにはこういう造り方をせざるを得なかったのでしょう。

 

直江津からの線路が名立までつながった1911年当時、駅はもっと海沿いにありましたが、北陸本線として日本海側をつなぐ重要路線になってくると、単線で線形の悪い海沿いの線路では輸送力が足りなくなってきてしまいました。
そこで北陸本線を複線化すると同時に内陸側をトンネルでぶち抜くことになり、800mほど内陸の高架橋に名立駅は移転することとなりました。今あさかぜが立っているこのホームは1969年の新ルート移設時にできたものというわけです。

海沿いにあった頃は、すぐ近くの港で揚がった魚を貨物列車で発送していた時代もあったとか。

 

長いトンネルを抜けると再び北陸本線は海に沿って走り始めます。写真の奥の方に見えているコンビナートのようなものは、直江津港とその一角にある上越火力発電所

直江津からは佐渡島小木港へ向けての航路も発着しています。2020年11月の冬季運休までは高速カーフェリーの「あかね」が就航していましたが、運航コストの高さから2021年4月よりジェットフォイルでの運航へと変わっています。
2020年11月の旅行記で紹介した「ナッチャンWorld」と同じインキャット社製の高速船でした。所要時間を短縮して運行の効率化を目指したものの乗り心地がかなり悪く、座席を撤去してまで船酔いしたときに横になれるカーペットエリアをあとで設置したほどです。新潟航路では酔ったことのなかった後輩が直江津航路では酔ったとか…
実際船酔いしやすいことを理由に客足も遠のいてしまったそうで、直江津航路は大幅な赤字に転落してしまいます。

結局は佐渡汽船のお荷物となってしまった「あかね」は2021年3月まで両津航路で運航されたあと、7月末にスペインの運航会社へと売却されました。日本海のような波が高く荒い海には双胴船は向かないのかもしれません。

 

trafficnews.jp

 

www.youtube.com

YouTubeで見つけた、志羽しば旅々Ch.氏による「あかね」乗船録の動画。乗り心地は色々と察するものがある…>

 

14:31、終点の直江津に到着しました。このあとも糸魚川を往復しますが、車内清掃のためいったん乗客は全て降りる必要があります。
この間におやつがてらおそばでも食べておきましょう。

 

北口を出てすぐそばにある「そば処 直江津に入りました。同じような折り返し待ちの人がいるかと思ったら客はあさかぜだけ。ほとんど食べ終わる頃に地元民と思われる人が入ってきた程度でした。まぁとっくに昼時は過ぎていますしね。

大メギス天そば(510円)をオーダーします。駅併設のおそば屋さんらしくすぐに出てきます。
メギスとは北陸地域の呼び方で、他のエリアでは「ニギス」と呼ぶのだそう。「キスに似ているからニギス」という大雑把な名前の付け方で、キスとは全く別の種類の魚。クセのない白身魚でおいしいです。

 

tabelog.com

 

発車10分ほど前には乗れるようになっていました。やはりモーター音を楽しみたいあさかぜは、さっき乗ってきた中間車ではなく隣の先頭車に乗り込みます。変わり者もいいところです。

 

15:03に直江津を発車し、再び西の方向へと向かいます。1号~2号は直江津~市振間の運転ですが、2往復目の3~4号は糸魚川で折り返し。413・455系に乗って親不知の景色を眺めたければ、午前中に発車する1往復目に乗らなければなりません。

車内販売をしているボランティアのお兄さんからまたお酒を買います。今度はカップ酒になっている「君の井を選んでみました。
直江津の南側、妙高市に酒蔵を持つ「君の井酒造」の日本酒です。同社のラインアップで最もベーシックな部類に入るようで、公式ページでは「定番晩酌酒です」とちょっと謙遜するような売り文句になっていましたが、甘い香りと口当たりの良さはさすが新潟のお酒。カップ酒と括るには失礼すぎるおいしさです。

 

www.kiminoi.com

 

再び能生駅で時刻表には載らない10分ほどの停車時間が取られました。日が傾いてきていい雰囲気です。乗る側としては電車の写真を撮る時間があってありがたい話ですが、実際のところは臨時の貨物列車でも待避できるようしているのかもしれません。

10年15年前までは当たり前のように見られた国鉄型の顔つきも、気がつけば全国でも数えるほどしか残らなくなっています。国鉄型ばかりが跋扈していたJR西日本の岡山支社にも、いよいよ新型車両が導入されることになりましたしね。
観光急行として乗客を集めているえちごトキめき鉄道でも2022年度内までの運行となる予定。運行費用はもちろんのこと、古くなればなるほど修理部品の確保が難しくなってくるのでお金だけでは片付かない部分があります。

 

50分弱で終点の糸魚川に到着です。折り返し作業のため、直江津まで戻る人も先ほどと同様に降りて待つことになります。

 

新幹線が開業する前まで、糸魚川駅の隅には1922年から使われていたレンガ造りの車庫がありました。当時まだ運転されていた国鉄気動車キハ52と並んで大糸線を象徴するもので、取り壊しが決まったときは残念がる声がいろいろなところで上がったのを覚えています。

まるっきりなくなってしまうのは惜しいということで、糸魚川駅のアルプス口にレンガ車庫の入口部分を復元することになりました。大小62個にバラされた部品を元通りに組み合わせ、崩れないよう背中を鉄骨で支える構成。
よく見ると組み合わせた時の線が見えますが、これだけのものを正確に丁寧に組み合わせるのは大変な作業だっただろうと思います

 

www.gotogumi.jp

 

糸魚川といえば宝石として重宝されるヒスイの産地です。よく歴史の教科書に載っていた勾玉(まがたま)の素材として有名ですね。
先ほど市振駅にいたときにも触れたとおり、この一帯の海岸からはヒスイの原石が見つかります。ヒスイが採取できるのは日本ではこの糸魚川一帯だけ、世界中でも他に11カ所しかないそうで、とても珍しく貴重な宝石であることがうかがえます。なお2016年には日本を代表する石「国石」にされています。

駅構内に飾られているヒスイの原石は8tもあるそうですが、このうちヒスイと言える部分は石の所々に見える白や緑色の部分だそうです。

 

www.itoigawa-kanko.net

 

車内清掃を済ませ、発車25分前には早くも入線してきました。
糸魚川直江津ゆきの最後を飾る「急行4号」は、途中どこにも停車しない最速列車として走り抜けます。1~3号ではだいたい50分前後を要するこの区間の所要時間は、たったの28分。全力で走り抜けるスピード感やモーター音を楽しんで欲しいという考えのようです。

 

先ほどと同じく直江津側の先頭車、クモハ413-6に陣取って録音機を構えます。16:40にノッチ払いをしてから糸魚川を発車すると、一気にトップスピードへ向けて加速。車内にはガタンッ!ガタンッ!というジョイント音とともに高らかにモーターの音が響き渡り、軽く感動を覚えるほどです。

別の列車では停車した能生、名立を飛ぶように通過し、あっという間に直江津に到着しました。降りるのが惜しい…!

 

他に人の姿がなくなったホームで改めて455系の姿を眺めます。何十年も前の国鉄時代にはこの姿が当たり前のように見られたのでしょう。
撮影する側からするとちょっとどころではなくうらやましくなりますが、実際に乗ってみれば今の車両は乗り心地も座り心地も比べようがなく向上しています。イベント列車として乗るからワクワクするのであって、日常的に利用するなら快適なのに越したことはありません…

 

>>つづく<<