あさかぜみずほの趣味活動記録簿

旅行記や主に飛行機の写真をひたすら載せ続ける、趣味のブログです。たまに日記らしき投稿もあり…?

どこかで働く駅員がひたすら旅行記や写真(主に飛行機)をひたすら載せ続けるブログです

↓活動拠点のホームページはこちら↓
https://cyberperorist.web.fc2.com/

陸海空四千キロを制覇せよ - 4日目【後編】(2021年10月6日)

※本文中の移動距離は「Googleタイムライン」機能を基にしています。実際の距離や営業キロとは誤差があります。

 

f:id:cyberpero:20220410111039j:plain

JRの駅前には大勢いた高校生たちも駅から離れるにつれて姿を消し、クルマ通りが多い割には沿道に街灯がほとんどないこともあってずいぶん不安な道のりです。

ガラゴロと重いキャリーケースを引っ張って10分ちょっと、実際の数字以上に長く感じた道を歩いてようやく筑豊直方駅に着きました。残念ながらバリアフリー施設はないようで、立派な階段が目の前にそびえていました…

 

f:id:cyberpero:20220410111046j:plain

ノソノソと歩いてきたので乗るつもりだった19:38発の電車は行ってしまいました。この程度は想定の範囲内なので、気にすることなく20分後に発車する次の電車で黒崎へと出ることにします。

筑豊電鉄」という路線名から普通の電車を想像しがちですが、ホームの高さは路面電車の停留所と変わりありません。実際に黒崎駅周辺では路上を走る「軌道」として建設された路線で、元々の計画では直方市を通り抜けて福岡市まで伸びる予定だったとか。
現在ではJR九州が「福北ゆたか線」として運行しているルートとほぼ重なる経路だったそうですが、途中にある峠を越えるのが難しいとして筑豊直方まで建設したところで頓挫。1959年に現在の形になって落ち着きました。

 

www.chikutetsu.co.jp

 

 

f:id:cyberpero:20220410111055j:plain

九州最大、グループも含めれば日本最大のバス会社である西日本鉄道が運営していた北九州線に乗り入れて黒崎駅前まで通じていましたが、そちらは黒崎駅前~熊西間を残して2000年に廃止。しばらくは線路を西鉄から借り受ける形としていましたが、2015年にその区間が筑鉄へと編入されて黒崎駅前~筑豊直方間全てが正式に筑豊電鉄の持ち物となっています。

筑鉄の経営は慢性的に赤字が続いており、親会社の西鉄が支援するだけでは立ちゆかないとして地元自治体による支援が行われています。一応JRの直方駅まで延伸する計画も立ち上がってはいるようですが、周辺は住宅が密集していてそう簡単にはいかなそうです。
ただ500mという道のりは乗り換えをためらう程度には遠いので、つながるに越したことはありません。


■ のりもの24:筑豊電鉄・3000形(筑豊直方黒崎駅前:15km

f:id:cyberpero:20220410111108j:plain

2000年の西鉄北九州線廃止と同時に、筑豊電鉄は「軌道」から「鉄道」へと転身しました。だから何だという話で、根拠法となる「軌道法」は道路が絡むから建設省の所轄、「鉄道事業法」は運輸省の所轄と分かれていたものの、現在は省庁再編で国土交通省となりましたからこの両方の法律を今も分けている理由はよくわかりません。

ともあれ、どこからどう見ても路面電車にしか見えない3000形は、JR九州の電車なんかと同じ普通の鉄道として扱われています。気にするのはオタクだけで、普通の利用者には何一つとして関係のない話ですけどね。

19:58発の電車は、グオオォン…という路面電車らしいモーター音を響かせて筑豊直方を発車しました。最初は2人しか乗っていませんでしたが、途中駅からはおおよそ席が埋まるぐらいになりました。

 

f:id:cyberpero:20220410111117j:plain

終点の黒崎駅前までは30分ほどの道のりです。日中は2/3が折り返す筑豊中間で交代要員なのか乗務員が乗り込んできて、中ドアから補助合図を送っていました。
運賃を降車時に払うのも路面電車と同じ。筑豊電鉄では交通系ICカードが使えるので便利です。黒崎駅前から乗るときだけきっぷも購入できるようですね。

時刻は20時半を回ったばかりだというのにずいぶん人影まばらな黒崎駅前駅に降り立ちました

 

f:id:cyberpero:20220410111124j:plain

「駅前」とつくだけあって、筑鉄のりばからJRの入口まではエスカレーターと通路で3分ほどで着きます。ちなみに西鉄バス筑豊電鉄のりばのすぐ向かい側に発着するので、乗り換えはさらに便利です。さすがにしてつグループ。

当初は小倉周辺で暇つぶししようかと思いましたが、どうせどこも飲食店は開いていないのはわかりきっているので、最後まで鉄道の旅を楽しむことにしましょう。


■ のりもの25:JR九州・813系(黒崎→門司港23km

f:id:cyberpero:20220410111132j:plain

鹿児島本線の起点、門司港までやって来ました。九州には何度か来ていますが、門司港に降り立つのはおそらく2010年3月のサークル合宿以来ですから、実に11年半ぶりのこと

 

f:id:cyberpero:20220410111140j:plain

駅舎は1914年に九州鉄道の門司駅として開業した際の姿が2019年に復元されています(正面上部の時計は1918年に取り付けられたもの)。左右対称のネオ・ルネッサンス様式で、現役の駅舎としては東京駅と門司港駅だけが国の重要文化財に登録されています。壁面はライトアップや周囲の明かりの加減で茶色っぽく見えますが、昼間に見ると左右と同じ薄いベージュであることがわかります。

開業当初は関門海峡をまたぐ線路がなかったために、ここが九州の鉄路の玄関口として機能していました。1942年に関門トンネルが開業したことで表玄関からは退いたものの、引き続き筑豊で掘り出された石炭の積み出しなどの貨物列車が往来する重要な拠点であり続けました。

貨物列車が往来していた貨物線は観光路線「北九州銀行レトロライン」として整備されています。この線路もなかなか曰く付きというか面白い経歴を持っていました。ニコニコ動画であかつき3号氏が長編の紹介動画を挙げていますので、お時間があるときにぜひご覧になってください。

 

www.mojiko.info

 

www.nicovideo.jp

<あかつき3号氏製作の「門司港レトロライン」(当時)の紹介動画>

 

 

f:id:cyberpero:20220410111149j:plain

駅の入口も九州鉄道時代の姿が再現されている他、駅員の制服も当時のを再現したものが専用に用意されているのだとか。
今のようなブレザースタイルではなく詰め襟服だったのが大きな違いです。

 

f:id:cyberpero:20220410111156j:plain

駅から道路を挟んで向かい側に建っているのは、これもまた国の重要文化財に指定されている「旧門司三井倶楽部」です。1921年(大正10年)にヨーロッパの建築様式を取り入れて作られた、いかにも大正モダンといった雰囲気。1922年にアインシュタインが来日した際に宿泊したのもここだったそうで、2階にはその当時を再現したメモリアルルームもあるのだとか。

元々は1kmぐらい東側の山沿いにあったそうですが、1990年に現在の位置へと移築すると同時に元の姿へと可能な限り近づける復元作業が行われました。現在は1階がレストランとなっています。

 

www.mojiko.info

 

 

f:id:cyberpero:20220410111204j:plain

すぐ隣に建つのは昭和2年に竣工した日本郵船門司支店だった「門司郵船ビル」。門司周辺では唯一だったアメリカ式のシンプルな造りが特徴で、門司港駅と同様に左右対称の正面デザインが採用されています。できた当初からエレベーターも水洗トイレもあったとは先進的です。現在はテナントビルとして扱われているとのこと。

 

www.japanheritage-kannmon.jp

 

 

f:id:cyberpero:20220410111213j:plain

21:30に発車する久留米ゆきの811系で鉄道では最後の目的地となる小倉へ向かいます
「もじこう」と書かれたクラシックな駅名標がぶら下がっている屋根を支える梁も、よく見てみるとレールを再利用したものです。天井の中心からはペンダントライトが下がって雰囲気をもり立てます。


■ のりもの25:JR九州・811系(門司港→小倉:11km

f:id:cyberpero:20220410111221j:plain

1989年から活躍を続ける811系は2016年からリニューアル工事が始まりました。この車両はまだ座り心地のいい転換式クロスシートが並んでいますが、リニューアル車は北九州地区の混雑を緩和するためにロングシートに統一されたとのこと。このような並びの座席はどうしても車両の中央まで入りづらいのでロングシート化は仕方のない方針ですが、長時間の利用ではつらいものがあります。

JR九州が取る特急への誘導策の一つと思うのは勘ぐりすぎでしょう。

 

ameblo.jp

 

 

f:id:cyberpero:20220410111232j:plain

門司港からは12分で小倉です。飲食店がことごとく営業していないこともあってか駅構内は閑散としています。
在来線の改札を出ると目の前にモノレールののりばが鎮座しているところが小倉駅らしいですね。モノレールの車両が止まっていればもっと小倉らしい写真を撮れたのですが…

 

f:id:cyberpero:20220410111239j:plain

新幹線も終わりの時間が近づいてきました。この時間から東に進める限界は広島までで、もちろん家まで帰ることはできません。博多~東京を結ぶ西日本鉄道の夜行バス「はかた号」は20:20に小倉駅前を通るため、こちらもとっくに出発してしまっています。

 

f:id:cyberpero:20220410111246j:plain

そこで今回は帰りの経路に船を選んでみました。せっかく乗るなら、今年7月に就航したばかりの新航路「東京九州フェリー」に乗りたい!

そんなわけで小倉駅新幹線口でフェリーのりばへの無料送迎バスを待ちます。フェリーが発着する新門司港は従来の門司港から山を挟んで大きく離れており、最も近い門司駅からでも10km近くあります。
バスは小倉駅を出ると門司駅も経由しますが、乗客が多い事態を想定して始発から乗ることにしました。

そうそう、バスに乗る前に念のため酔い止め薬「アネスロン」を飲んでおきます。なんとなく経験上船には酔いづらい体質なのはわかっていますが、油断して酔ってしまうとえらいことになりますからね…

 

www.ssp.co.jp

 


■ のりもの27:西鉄バス北九州・フェリー無料送迎バス(小倉駅前→新門司港FT:17km

f:id:cyberpero:20220410111259j:plain

発車時刻の1分前になってようやく西鉄バス北九州のワンロマ車が現れました。博多・天神~小倉間の高速路線バスにも使う詰め込み仕様の車両ですが、乗客はあさかぜを含めてわずか9人と拍子抜けするほど
床下の荷物スペースにキャリーケースを収めて車内へ入るとすぐに発車します。

15分ちょっとで門司駅のそばに停車しますが、こちらでも1人しか乗ってきませんでした。マイクロバスで事足りるぐらいですが、長期休暇の時期なんかは混み合うのかもしれませんね。

 

f:id:cyberpero:20220410111318j:plain

門司からさらに20分、いよいよこれから乗る東京九州フェリー「それいゆ」の大きな船体が見えてきました船の名称は北九州市の花「ヒマワリ」のフランス語Soleilから取られています。

全長222.5m、総トン数は15,515トンという国内フェリーとしてはかなり大きな部類ながら、速力は時速28.3ノット≓52km/hという快速を誇ります。新日本海フェリーでスピードの速いフェリーを手がけてきたSHKグループらしいスペックです。

 

tqf.co.jp

 

 

f:id:cyberpero:20220410111328j:plain

まずはターミナルの1階で乗船手続きです。ウェブサイトから事前にチェックインを済ませておくと自動チェックイン機にQRコードを読ませるだけで手続き完了となるそうですが、この日は自動チェックイン機は稼働していませんでした。
期間限定のキャンペーンでコロナウイルスワクチンを2回接種している人へ船内で使える1,000円分のクーポンを配布しており、対象者をチェックするために全て有人カウンターでの手続きになっていたようです。こういうこともあろうかと常に接種証明書を携行しておいて正解でした

手続きが済むと2階の待合室へ。建設コストを抑えるため簡素な造りになっていますが、明るく清潔な空間で決して安っぽさは感じません

 

f:id:cyberpero:20220410111335j:plain

片隅には少ないながら九州土産も扱う売店が営業していました。そばとかうどんといった軽食のメニューもありましたが、食べられる雰囲気ではなさそう…乗客が少ない日はやっていないのかも。

それに船内の売店がそれなりに充実しているので、無理にここで買う必要はありません。「九州土産を忘れてた!」ってときには助かるかもしれませんね。

 

tqf.co.jp

 

 

f:id:cyberpero:20220410111353j:plain

23:10頃、いよいよ船内に案内されます。飛行機のようなボーディングブリッジを通り、ちょっと狭い船内の通路を少し歩くと視界が開けてロビーに出ます。
船内とはとても思えない吹き抜けの開放感に、思わず「おお…!」と声を上げてしまうぐらい。何なら陸上のビジネスホテルよりも断然高級感のある雰囲気です。

 

f:id:cyberpero:20220410111433j:plain

一般の乗客が過ごせるのは4~6階の前半分。後方は基本的にトラックドライバー向けの設備になっています。
4階に売店と自販機コーナー、5階にレストラン、6階には露天風呂まで備えた男女別大浴場があり、さらに映画やプラネタリウムを上映するスクリーンルームも大浴場のそばにあります。

まずは部屋に荷物を置いてきましょう。

 

tqf.co.jp

 

 

f:id:cyberpero:20220410111441j:plain

基本運賃の12,000円は「ツーリストA」で、カプセルホテルのようなロールカーテンで仕切られた半個室です。従来の船によくあった雑魚寝スペースはなく、エントリーランクからプライバシーが確保されているのはさすが最新のフェリー。

あさかぜが取ったのは基本運賃に6,000円のルームチャージを上乗せした「ツーリストS」、シングルベッドと軽作業ができる机を備えた個室です。
ただし放送を聞こえやすくするためか、ドア下部は切り抜きが大きく物音や話し声が外へ漏れてしまうので、まるっきりビジネスホテルで過ごすようにはいきません。

 

tqf.co.jp

 

 

f:id:cyberpero:20220410111501j:plain

部屋はオートロックとなっており、予約票のQRコードで解錠する仕組みです。うっかりQRコードを部屋に置き忘れると大変なことになるので、部屋から出るときは常に身につけるのを忘れないようにしましょう。あさかぜはスクリーンショットを撮っておきました。
S44ならツーリストSの4階、A51ならツーリストAの5階といった具合に一応番号で想像はつきますが、ロビーにあるデッキプランの図で確認することをオススメしますし、船員さんが丁寧に案内してくれます

 

f:id:cyberpero:20220410111540j:plain

f:id:cyberpero:20220410111547j:plain

やっと食事にありつけました…
乗船から25時までは夜食メニューの時間で、カレーやそばといった軽いメニューの他に酒飲みのためのつまみメニューも充実しています。

注文はタッチパネルから、支払いも伝票を自動精算機に読み込ませて現金かクレジットカードで支払い、と徹底的に省力化とコンタクトレスが図られていて感心します。
東京九州フェリーオリジナルビーフカレー」(700円)は中辛ぐらいの何の変哲もないカレーですが、かなりお腹が空いていたので一瞬で食べ終わってしまいました。もう1杯ぐらい行ける気がしますが、もう23時半なのでこれぐらいにしておきましょう。

 

tqf.co.jp

 


■ のりもの28:東京九州フェリー・「それいゆ」(新門司港→横須賀港:1,014km

f:id:cyberpero:20220410111559j:plain

定刻より10分早い23:45、それいゆは新門司港を離岸しました。ここからおよそ21時間にわたる長い船旅が始まります。

就寝前にお風呂に入っておきましょう。
大浴場は乗船から25:30まで、シャワーは24時間利用可能です。窓には「ターミナルから見えてしまうので、出港までは大浴場のカーテンを開けないように。露天風呂も出港までは入らないように」ってなことが書いてあり、陸上のホテルとは違うんだなぁと変なところで実感します。

1日中歩き回ったりして疲れたので部屋に戻って眠ることにしましょう。

 

今日の移動距離:489km(バス17km・鉄道472km)
ここまでの総移動距離:3,081km