羽田空港の第3ターミナルにクルマを置いて、夜21時前の羽田イノベーションシティにやって来ました。お目当てはT3のサテライト側に駐機しているヴァージンオーストラリア航空です。
23時半まで開いている羽田イノベーションシティのE棟屋上には「足湯スカイデッキ」があり、ウッドデッキに足湯が2カ所設けられています。遅い時間なので大して人はいないだろうと思っていましたが、お酒を飲んで気分の良くなったらしい若い会社員の人たちが盛り上がっていました。
さすが金曜日…
VH-QPB / Qantas Airways / Airbus A330-300
一方、空港に近い側の柵にはあさかぜのようなヒコーキオタクの人たちが2~3人張り付いて、ヴァージンオーストラリアの出発を今か今かと待っています。こちらは何かのオブジェクトのように静かに立っているだけで、足湯にいる陽キャの皆さんとは対照的です…
当初は一番手前の149番スポットに入ることが多かったのですが、今日はカンタス航空が鎮座しておりヴァージンは143番スポット、同じサテライトでもスカイデッキからはだいぶ離れた方に入ってしまいました…
B-16331 / Eva Airways / Airbus A330-300
カンタスの隣にはサンリオ大好きエバー航空の「バッドばつ丸 ファントラベルジェット」がオープンスポットへの移動を待っていました。明日の朝、台北松山空港へ向かう便に入るのでしょう。
サテライトに止まる飛行機と背中を合わせるように、オープンスポットにはB787が3機肩を並べています。
一番奥に見えているのは「ピカチュウジェットNH」で、伝説のポケモン「レックウザ」が機体に巻き付くように描かれたダイナミックなデザイン。2023年6月30日に運航を開始したばかりで、頭の部分だけとはいえ見られてラッキー!
しかし国際線用の機材なので日によっては見ることさえできず、スポッターにはなかなかハードルの高い存在です。
VH-VBZ / Virgin Australia / Boeing 737-700
お目当てのヴァージンオーストラリア航空ケアンズゆきは、さっき言った通りかなり奥の方。遠いところに止まっても大丈夫なようにTAMRONの150-600mmを久しぶりに持ち出してきましたが、600mmをフルに使ってもこの遠さは厳しいものがあります…
9H-UEC / Private / Airbus A318-100CJ
日本のパチスロ・パチンコマシーンのメーカー、ユニバーサルエンターテインメントが所有しているらしいA318のビジネスジェット。同社ではフィリピンで統合型リゾート(IR)事業も展開しているので、そうしたところへの往来に使っているのかもしれません。
公共交通機関が充実している分なかなか日本ではビジネスジェットやプライベートジェットというものが根付かないので、この機体もスイスのVIP向けチャーター機を運航する「コムラックス(Comlux Transaction)」が運航管理を行っているようです。
HL8505 / Korean Air Lines / Airbus A321-200NX
2022年12月から大韓航空ではA321neoの運航が始まりました。
ナローボディ機でありながら、8席あるビジネスクラスは贅沢にもフルフラットになります。従来型のA321ceoよりも航続距離が伸びて飛行時間の長い路線が運航できるようになりましたから、今後はそういう方針の航空会社が増えてくるのかもしれません。
21時半になり出発便は少しずつ数を減らしていますが、遠くを見ると到着便の光が点々と続いているのが見えます。
VH-VBZ / Virgin Australia / Boeing 737-700
22時少し前、ようやくヴァージンオーストラリアのプッシュバックが始まりました。ISO感度を20000まで上げて撮影に臨みますが、なにしろ遠すぎる…!
手前側のスポットに入ってくれていればなぁ…と欲を言えばキリがありません。
VH-VBZ / Virgin Australia / Boeing 737-700
ところでなぜここまでしてヴァージンオーストラリアを追っかけに来ているかというと、737-700が“期間限定もの”だからです。
そもそもヴァージンオーストラリアは2020年3月末にブリスベン~羽田便を開設する計画でした。機材は中長距離を飛べるAirbus A330-200を投入することになっており、ANAとのコードシェアも始まる…はずでした。
ところが新型コロナウイルスの大流行で国際的な人の往来が壊滅的なまでに減り、元から経営状況の良くなかったヴァージンオーストラリア航空は経営破綻。再建の一環としてA330やBoeing 777といった大型機を手放すことになり、ブリスベンから羽田へひとっ飛びできる機体がなくなってしまったのです。
VH-VBZ / Virgin Australia / Boeing 737-700
しかし新型コロナウイルスが落ち着くにつれ“Use it, Lose it.”ルールが復活し、羽田の発着枠を使わないと、つまり羽田空港にちゃんと就航しないと権利が没収されてしまいます。
「当面は長距離便を飛ばすことはない」と言ったヴァージンオーストラリアとて、苦労して手に入れた羽田空港の発着枠をみすみす失うのは将来的な影響がデカい。
「それならば今持っている機材で飛べる限界の路線を飛ばしてやる!」
ということで期限を迎えるギリギリの2023年6月末に就航させたのが、ケアンズ~羽田便。同社は航続距離の長いB737 MAX8が納入される予定はあるものの、就航日には間に合いません。そこでB737MAXが運航できるようになる約1ヶ月の間、ギリギリ飛べるB737-700でしのぐことにしたのです。
つまり同社のB737-700を見られる機会はこの1ヶ月間だけ。普段は出会えない貴重なシーンを撮るためだけに、わざわざ夜の羽田に駆けつけたというわけです。
VH-VBZ / Virgin Australia / Boeing 737-700
世界的にも珍しい、B737NGシリーズの限界に挑んだ路線。
同社の経営が完全に立ち直って再び長距離国際線に復帰したら、過去の伝説の路線として語り継がれるようになるのかもしれません。
厳しい条件ではありましたが、普段なかなかやらないスタイルの撮影ができて楽しい時間でした。
天空橋駅から再び羽田空港第3ターミナルに戻って、ちょっとだけ展望デッキから写真を撮っていくことにしましょう。
HL8505 / Korean Air Lines / Airbus A321-200NX
先ほどイノベーションシティの足湯から見ていた大韓航空のA321neo。
なお機種名の末尾が「NX」だからといって航続距離延長型のA321LRとは限らないようで、ジェットスター・ジャパンやピーチで運用されているA321-200NXはA321LR、こちらの大韓航空の機体は通常のA321neoのようです。
機内仕様の違いだとか…?
B-LEF / HK Express / Airbus A321-200
サテライトでこれから出発の準備を整えるのは香港エクスプレスのA321ceoです。機首部分は何か修理を行ったのか、補修の後が残ったままです。
FSCであればきれいに塗ってから運用に戻すのでしょうが、機材の回転率がものを言うLCCでは塗装がつぎはぎ状態のままでも運用に戻さざるを得ないのでしょうね。
見映えが悪いだけで安全に影響はないので、これでいいといえばいいのですが。
そのうち香港でのスポッティングもしたいなぁ、と思いつつ未だに行動力がなくて実現できていません…
JA862J / Japan Airlines / Boeing 787-9 Dreamliner
どこかへトーイングされていくJALのB787-9。きれいに流し撮りがキマるとうれしくなります。
JA795A / All Nippon Airways / Boeing 777-300ER
時刻は23時、もう一般道も空いた頃でしょう。あまり長居しても駐車料金ばかりが高くなってしまいますから、この辺で引き上げることにします。