あさかぜみずほの趣味活動記録簿

旅行記や主に飛行機の写真をひたすら載せ続ける、趣味のブログです。たまに日記らしき投稿もあり…?

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目的地は城の崎にして - 2日目【後編】(2021年4月26日)

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福知山からは一度JRの線路を捨てて「京都丹後鉄道」という私鉄に乗車します。あまりなじみのない名前ですが、それもそのはずで2015年に運行が開始されたばかりのまだ新しいブランド名です。それまでは「北近畿タンゴ鉄道(KTR)」と名乗っていたので、そちらの方がなじみが深い方も多いのではないでしょうか。

地方で運行する第三セクター鉄道の例に漏れず、KTRも厳しい経営が続いていました。そこでツアーバスなどで大成したウィラーグループに列車の運営を任せて、純民間のノウハウを生かして鉄道としての生き残りを図ることにしました。ウィラーグループはWILLER TRAINSという会社を立ち上げ、おそらく従来との印象を大きく変えないような意図もあったのでしょうが、京都丹後鉄道、通称「丹鉄」として再スタートを切りました。

 

trains.willer.co.jp

 

 

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ちなみに今乗っている快速天橋立ゆきは観光型車両「あおまつ」号で運転されるはずなのですが、どう見ても青色ではありません。手元のJTB『小さな時刻表』をよく見てみると、今日までの数日間は一般型車両で運転となっていました…検査の関係だったのでしょうか。

なお外観からもわかるとおり、このKTR700形はリニューアルにあたり水戸岡鋭治氏の監修を受けています。車内は基本的に従来のままですが、シートモケットやカーテンに水戸岡イズムを感じさせます。

 

 

 

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単純にローカル線を引き継いだだけでなく、IT関連に強みを持つウィラーらしくキャッシュレスの支払いにも対応させました。
ありがちなSuicaをベースとした交通系ICカードではなく、この頃普及しつつある「VISAタッチ」に対応丹鉄のアプリを使ってQRコードでの支払いも可能となっているそうです。ワンマン列車でいちいち小銭を用意したり両替したりは意外と面倒ですから、こうした取り組みは鉄道利用の障壁を下げるにはとても良いものだと感じますね。

 

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福知山駅の隣、荒河かしの木台駅には福知山運転所という丹鉄の車庫が置かれています。ボロボロになって痛ましい姿で置かれているのはKTR001形「タンゴエクスプローラーです。

国鉄赤字ローカル線を引き継いで北近畿タンゴ鉄道としてリスタートする際、KTRの看板車両となるように設計された車両で1990年から3両編成3本9両が製造されました。
1999年からはJRにも直通して新大阪にも顔を出すようになって名実とも看板を担いましたが、2013年には一転して定期運用さえ失ってしまいます。3両という輸送力はKTRでは大きすぎ、丹鉄に引き継がれた現在でもたまに臨時列車として運転される程度。デビューから30年以上が経っていつ消えてしまうかわからない状況が続いています。

あさかぜが小学生だった頃は図鑑にも載るぐらい有名な車両だったのですがね…凋落ぶりに悲しくなります。

 

trains.willer.co.jp

 

 

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丹鉄へと引き継がれた際、拠点である宮津を中心として路線名の再編が行われています。KTR時代はTの字のタテ線が宮福線、ヨコ線は宮津線と名乗っていましたが、丹鉄となってからはタテ線が引き続き「宮福線宮津~福知山)」ヨコ線は宮津を境に「宮舞線(西舞鶴宮津)」、「宮豊線宮津~豊岡)」という案内へと変わりました。どこを結んでいるかをわかりやすくした感じです。

なお宮福線宮津線西舞鶴天橋立間の電化設備はそのまま引き継がれ、一部の普通列車は写真のようにJR西日本の電車で運行されています。

 

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中心駅となる宮津駅で進行方向が変わります。座席の向きを変えられる転換クロスシートですが、宮津から終点の天橋立まではたったの6分だけなので後ろ向きのまま進んでいきます。
宮津駅で隣に止まっていたのはKTR300形という2019年から運行が開始された最新型車両で、2022年までに5両が導入される予定です。ずいぶん目つきが鋭く見えますね。

 

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15時50分、福知山からちょうど50分の乗車で終点の天橋立に到着しました。昨日から緊急事態宣言が発令されてしまったこともあってか、ほとんど降車はなく列車が到着したのに駅は静まりかえっています…

天橋立と言えば「股のぞき」。股の間から天橋立を覗くとその名の通り天にかかっている橋のように見える…という観光の定番です。
ところが時間に余裕のない旅をしているあさかぜは、残念ながら山の上から股のぞきのできる「天橋立ビューランド」まで登っているほど時間の余裕がありません。40分というわずかな時間を使って天橋立本体へと足を伸ばすことにします。

 

www.amanohashidate.jp

 

 

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小天橋という橋を渡って天橋立へと入っていきます。Googleマップでは「廻旋橋」と掲載されていて、その名の通り船が通り抜けるときは橋そのものがぐるんと回って通り道を開けるというものです。
多いときには1日50回ぐらいもグルグルするそうですが、残念ながらあさかぜが通ったときは至って普通の橋のままでした。毎日9:55に観光船が通過するほか、日曜日は昼間に毎時1回動くようになっているそうです。

 

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そこを越えてもう1つ「大天橋」という橋を渡るといよいよ天橋立へと入ります。

天橋立は高いところから見ろ」とはよく言ったもので、実際に踏み入ってみるとひたすら松の並木が続く白い道にしか見えないわけです…もっと細いものかと思っていました。

 

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観光客がいないためお茶屋さんも休業中。仕方がないので姫路駅で買ったペットボトルのお茶でのどを潤します。

 

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天気が良いので海が青色に輝いています。真っ白な砂浜と緑の松、青い海の組み合わせは確かに景勝地と呼ばれるにふさわしい美しさです。
ただまぁ、やはり上から見るべきであったというのは紛れもない事実ですが…天橋立観光は少なくとも1時間以上は時間を確保しておきましょう


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山の上に見えている観覧車などが天橋立ビューランドです。リフトやモノレールでアクセスが可能で、展望台だけでなく景色を楽しめる遊具もいくつか置かれているようです。

ビューランドの左側に見えているのは「玄妙庵」という高級宿。部屋からも温泉からも天橋立が一望できる立地にあり、美しい景色を思う存分眺めることが出来るのだとか。

 

www.viewland.jp

 

 

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どこまでも続く白い砂浜と松が印象的です。上から見下ろすのも美しい景色でしょうけれども、天橋立の「長さ」を感じるのはやはりその場所へ来てみなければわかりません

…ただキャリーケースを持ってきたのは失敗でした。踏み固められた砂しかなく舗装されてはいないのでスムーズにローラーが転がらないのです。駅のコインロッカーに入れておくんだった…

 

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海風に晒されたり砂ばかりのような土地に松が植えられるのは、やはりどこでも育つ丈夫さが理由なのでしょう。また1年を通して青々とした緑色の葉をつけて枯れた姿を見せないというのもあるでしょうね。
イタリアの作曲家レスピーギ作「ローマの松」という交響詩のように芸術作品の題材としてもよく見かける植物ですね。

 

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根元から幹が3本に分かれているこの松は「智恵の松」と呼ばれており、「三人寄れば文殊の知恵」ということわざから発想を得ているそうです。文殊の由来である文殊菩薩の像は天橋立のたもとにある「智恩寺」に置かれています。国指定の重要文化財になっている由緒ある木像ですが、文殊菩薩像のあることを全く知らなかったあさかぜは智恩寺の前を素通りしており、その事実に気がついたのはこの旅行記を書いているときです。
下調べは重要です…

 

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お参りだけして素通りしていた智恩寺の境内
なお文殊菩薩像は秘仏とされており、どのみち一般人がフラッと行ったところで見られるお気軽なものではありません年に数回の行事の際に扉が開けられるそうですが、そのときにお姿を見ることができるのでしょうか…?善光寺のような絶対秘仏ではないので可能性はありそうです。ホームページに写真も載っていますしね。

2011年まで大阪~天橋立間を運行していたJRの特急列車に「文殊」というのがありましたが、列車名はもちろんこの文殊菩薩にちなんでいます。

 

www.monjudo-chionji.jp

 

 

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天橋立駅の近くまで戻って来ました。
駅のすぐ隣にはやはり知恵の仏様として信仰を集める文殊菩薩にちなんだ天橋立温泉 智恵の湯」という温泉施設があります。

時間があるなら入ってみたかったところですが天橋立散歩に案外時間がかかってしまったので、烏の行水のあさかぜでもさすがに今回はパスします。
どのみち「天橋立ビューランド」も行けていませんから、温泉と併せて次の機会へ回すことにしましょう。

 

www.viewland.jp

 

 

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オンラインで予約していたきっぷを受け取って駅構内に入ってきました。天橋立のホームはかなり長く、9両編成の特急列車も余裕で停車できそうです。ホームの先端には「1973-3」と書かれた鉄製のプレートが埋め込まれています。この駅の開業は1925年とかなり古く、おそらくこのプレートは1973年3月にこの場所までホームを延長したという意味なのでしょう。

 

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今年(2021年)1月にNHKの人気番組「ブラタモリ」で天橋立が特集されたばかりでした。ホームの端から見える池のようなものは「どん淵池」といって昔は入り江だったそうで、この池に面した家は舟屋の名残というのは「ブラタモリ」の受け売り。むしろ鉄道が海とこの入り江を分断してしまった存在です。ちなみに今も細い水路がホームの下をくぐって海へと通じています。

 

www.nhk.jp

 

 

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16:34発の普通列車天橋立駅をあとにしました。やってきたのは特に手を加えられていない車両で、座席は窓に背中を向けるロングシートのみ。窓の外の景色も見づらいですし、ちょうど学生さんたちの下校時間にあたっていることもあってとてもカメラを出せるような雰囲気ではありません
天橋立から終点の豊岡までは意外と距離があり、乗車時間はなんだかんだ1時間以上あります。大人しく座席に収まってうつらうつらしながら過ごしましょう。

 

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ちなみに天橋立から使っているきっぷは丹鉄とJRが共同で発売している「城崎温泉天橋立片道きっぷ」です。丹鉄の天橋立から豊岡で乗り換えてJRの城崎温泉までの片道がセットになった企画きっぷで、JR分には特急列車の自由席も含まれています。
豊岡から城崎温泉は特急に乗れば10分ですが、素直に特急券を買うとそれだけで660円もかかります。運賃だけでも丹鉄1,200円+JR200円なので1,280円のこのきっぷは普通に使ってもお釣りが来ますし、タイミングよく特急が来れば料金分が丸儲けです。

 

www.amanohashidate.jp

 

 

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豊岡では乗り換え時間が4分とあまり余裕がありません。きっぷを見せて車両を降り、小走りで城崎温泉ゆき特急「きのさき」が待つホームへと急ぎます。キャリーケースを持って急いでいると駅員さんに「お客様!どちらまでですか?」と呼び止められました。「城崎温泉までです」と答えると「あ、じゃあ大丈夫です、失礼しました。そちらのホームへどうぞ」とのことで、一体何と勘違いしたんでしょうね。降りる客かと思ったのでしょうか。

ともあれ見たところガラガラの特急「きのさき」の車内へと駆け込みます。だいたいこういうときの自由席は一番うしろの車両なんですよね…

 

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パラパラと人がいてもおかしくないはずの自由席は誰も乗っていません…
明らかに降りる支度を整えていた車掌さんが「特急券は持ってます?」と慌てて乗務員室から飛び出してきました。先ほどの企画きっぷを見せると「あ、オッケーでーす」と安心した様子で戻っていきます。そりゃここへ来て売上の締切額を変えたくはないでしょうからね…気持ちは良くわかります。

 

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18時ちょうど、終点の城崎温泉に到着しました。なんとなくそんな気はしていましたが、「きのさき」から降りてきたのはあさかぜ1人…いくら平日とはいえ有名な温泉地の夕食前に着く列車で、乗客が1人というのはにわかに信じがたいものです。やはり昨日再スタートした緊急事態宣言の影響なのでしょうか…

荷物を担いでえっちらおっちら階段を降りていると、観光協会の方と思しき女性が「本日はご宿泊ですか〜?」と階段の下で待っていてくれました。ホテル名を伝えるとどうやら送っていってくれるみたいです。一人しかいないしそこまで遠くもないので歩いていけばいいか、なんて思っていたのでありがたいお話です。
そしてわざわざ一人のためだけにマイクロバスがホテルまで走ってくれましたなんだか悪い気がしてきますね…

 

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今宵の宿は「大江戸温泉物語 きのさき1泊12,000円ぐらいするので「単騎遠征」にしてはかなり贅沢をしていますが、この情勢のせいで温泉街周辺のホテルは休業中のところも多く、そもそも選択肢が限られていたんですよね…お高いのは承知の上です。
なおチェックイン時に「本日は泊まられている方が少ないので、お部屋を景色の見える広い部屋にアップグレードしております。ごゆっくりどうぞ」ということで8畳の予定が10畳景観ありの部屋に変更してくれていました

広すぎて使い方がわからない…!

 

kinosaki.ooedoonsen.jp

 

 

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部屋の隅に布団が1組、対角線の反対のテーブルにノートパソコンを広げて作業スペースに、合わせて2畳分ぐらい。残りはどうやって使えばいいんだ…

とりあえずホテルの温泉に浸って汚れと疲れを洗い流してから、夜ご飯を食べに行きましょうか。

 

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夜ご飯はこういったホテルでは恒例のバイキング形式。刺身、ステーキ、パスタ、寿司、揚げ物、もうなんでもござれで食べたいものを食べたいだけ食べればいい。あいにく学生時代のようには食べられなくなりましたが、それでも炭水化物を減らせばそれなりになんとかなります。

お酒は別料金でハイボール1杯450円ほどと割と高めの値段設定です。コンビニで買ってくれば半額以下で済みますが、お風呂に入って満腹にもなった状態でコンビニに繰り出すのは面倒ですし、食事中に飲めないのも辛い。こういうときにケチケチしちゃいけませんね。

軽く作業をしたら自動販売機の缶チューハイでもう1杯やって寝てしまいましょう。自堕落なことをしたって旅先では誰にも怒られません。