あさかぜみずほの趣味活動記録簿

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B737MAXまさかの喪失2機目…

3月10日、エチオピア航空のBoeing 737MAX8が墜落したとのニュースがありました。2018年10月13日のライオンエアの墜落事故から半年も経たないうちの重大事故です。今回も乗客乗員157名のうち生存者はいないとのこと…

連続した墜落事故を受け、真っ先に中国の航空当局は国内の737MAXシリーズの運航停止を指示しました。シンガポールインドネシアなどの国々も追従。航空業界のドンであるFAA(アメリカ連邦航空局)やEASA(ヨーロッパ航空安全機関)もついに13日に飛行禁止を指示し、事実上全世界の737MAXシリーズが空を飛ぶことを止められたに等しい状況となっています。日本の国土交通省もそれらを受け、日本国内への乗り入れを禁止しました。

バッテリーの発煙問題で運航停止となったボーイング787以来の異常事態で、「安全性には自信がある」と述べたボーイング社としては非常に苦しい事態に追い込まれています。

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<真っ先に運航停止を指示した中国。写真は中国南方航空のB737MAX8。>

737MAXシリーズは2017年にデリバリー(航空会社への引き渡し)が開始されたばかりの最新型機。マレーシアのマリンドエアにその第1号機が納入されています。

日本へも広島空港にシルクエアー(シンガポール航空グループ)が定期便で乗り入れているほか、韓国のイースター航空やチェジュ航空にも導入されて今後見かける機会が増えるであろう飛行機です。

先日はANAが日本初となるMAX8の導入を発表し、いよいよ日本にも第4世代B737がやってくる!と話題になった矢先の事故なだけに、なおのこと大きな衝撃となっています。

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<シルクエアーのシンガポール~広島便は、事故を受けて当面B737-800に機材変更。>

今回墜落した航空機を運航していたエチオピア航空。1945年に設立され、2011年には航空連合「スターアライアンス」にも加盟しています。航空連合に加盟するためには財務状況や運航形態などそれなりの条件があるはずなので、信頼もない無名の会社が入れるとも思えません。

機材も新しいものをどんどん導入しており、新しい機材をどれほど入れているかの指針の一つになる「平均機齢」は6.0年JALが10.3年、ANAが9.1年、中東の雄であるエミレーツ航空でさえ6.2年ということを考えると、かなり新しい機体を揃えているのがよくわかります。日本へはアディスアベバからソウル経由で成田に週3便を開設していますが、それも最新機材のボーイング787-8を使っています。

そもそも最新機材の価格はかなり高額なものですから、購入にしてもリースにしても、怪しい航空会社が何十機もオーダーできるものではありません

今のところ、10月のライオンエアの分も含めて原因の一つと考えられているのは、飛行中の角度を検出するセンサーとそのプログラムです。

飛行機が上昇するときには鼻先を上に向けます。この時の空気の流れとの角度を「迎角」といいますが、その迎角を検出するのに使うのが「AOA(Angle of Attack)センサー」

737MAXではエンジンが大型化されて取付位置が変わったために、重心が少し後ろ寄りになったと言われています。気付かずにそのまま飛行していると、飛行機の鼻先が上がって、最悪の場合は失速して急降下や墜落に至る可能性が出てきます。そこでAOAセンサーから迎角を拾い、鼻先が上を向きすぎたと判断した時に自動的に下を向ける機能「MCAS(Maneuvering Characteristics Augmentation System)」、言ってしまえば自動姿勢制御システムが装備されています。

このMCASは手動操縦の時に働くのですが、例えばAOAセンサーが何かの拍子に正確な迎角を拾えなくなり、実際よりも急な角度で上昇しようとしている、と間違った情報を与えらたら…?もちろん強制的に鼻先を下に向ける動きをします。

問題はここからで、そのMCASの誤作動をやめさせる方法がパイロットにちゃんと示されていなかったんじゃないの?ということのようです。ライオンエア、エチオピア航空ともに、墜落機は離陸後しばらくすると高度が小刻みに乱高下していました。

機首を上げる→システムが機首を下げさせる→高度を上げようと機首を上げる→システムが機首を下げさせる

という動作を繰り返していた、という推測です。ボーイングは制御システムの中で、コンピューターが判断した内容を人間(つまりパイロット)が強い力でそれを上書きしようとした場合に、人間の判断を優先する、という法則があったように思うのですが…

まぁともあれ、MCASの過剰な動作を止める別のプログラムがなかった、また意図的に止めるための手順がマニュアルや通達の中で示されていなかった、というのが大きな原因として考えられているようです。これを受け、FAAなどは「Airworthiness Directives(AD、対空性改善通報)」を緊急に発信し、各航空会社へADに従った改修を施すことを求めています。改修が行われない限り、実際に旅客を乗せて運航することは認められません

プログラムの改修が行われ、安全性が確認されるまでは737MAXは地上に留め置かれることになります。航空会社からすれば稼げない飛行機なんてとんでもない損失ですし、ボーイングとしても出荷が出来ず収益も信頼もだだ下がりです。一刻も早い真相の究明と確実な対策が求められます。

今後ボーイング社は777Xと名付けられた、737MAXと同様な777のバージョンアップ版を登場させます。何が何でも、737MAXと同様の問題や事故を発生させてはなりません。

ただの一利用者としては、悲惨な事故の真因が早く判明し、必要な対策が講じられることを願うばかり。そして日本国内外で夢と安全を乗せて飛ぶ737MAXの姿を、一日も早く見られるようになりたいものです。

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インドネシア当局もMAX8の運航停止を指示。現状では海外に行っても見られません。>

【参考文献】

2度墜落した「ボーイング最新鋭機」に漂う不安

https://toyokeizai.net/articles/-/270830

インドネシア、ライオンエアのB-737MAX墜落事故の原因

http://tokyoexpress.info/2018/12/04/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%8D%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%80%81%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%81%AEb-737max%E5%A2%9C%E8%90%BD%E4%BA%8B%E6%95%85%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0/

ボーイング「737MAX」、知っておくべき6項目

https://jp.wsj.com/articles/SB12498886470155574209504585175072381467284

ボーイング、737MAXのソフトを数週間以内にアップグレード

https://blogos.com/article/363525/

日本も737 MAX運航停止 国交省、FAA決定受け

https://www.aviationwire.jp/archives/168198

ほか