あさかぜみずほの趣味活動記録簿

旅行記や主に飛行機の写真をひたすら載せ続ける、趣味のブログです。たまに日記らしき投稿もあり…?

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東航墜落事故、調査結果を待ちましょう

忘れかけた頃に大きな航空事故が発生してしまいます。
2022年3月21日、中国南部の昆明から成都へ向かって北へ飛行していた中国東方航空のMU5735便が、ルート上の山中に墜落しました。目撃者の証言やSNSにアップロードされた動画から、山肌へ向かってほぼ垂直に墜落したことがわかっています。25日の『人民網日本語版』の報道によると機体の残骸は深さ20mの地点まで達しているとのことで、墜落が想像を絶する速度であったことがうかがえます。状況から見て乗客123名と乗員9名は全員死亡したとみられているとのこと。

 

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<事故機と同型のB737-800。フライトは中国東方航空の子会社である雲南公司が運航していた模様>


事故機はボーイング737-800型(登録記号B-1791)。2015年に製造されて中国東方航空に新造機として引き渡されたもので、機齢は6.8年とまだ新しい。フライトサイクルも8,986回と少なくはありませんが、国内線で使われているなら当たり前の数字です。

飛行機の「使われ具合」は単純に使用年だけではなく、フライトサイクル(=飛行回数)でも比較します。着陸するときの「ドスン!」という衝撃は機体に大きな負担がかかります。また機内で我々が息をするためには「与圧」といって空気を送り込んでやる必要がありますが、上空では気圧差があるので風船のように機体がパンパンになっています。こうして「空で膨らんで陸で元に戻って」を繰り返すことで金属疲労が起こります。

なのでクルマの走行距離と同じかそれ以上に、飛行機の場合はフライトサイクルというのがとても重要な指標になるのです。

ちなみに2022年1月29日に退役したエア・ドゥB767-300ER初号機のフライトサイクルは48,270回。メーカーから引き渡されたのが1998年12月なので、使用年数は22.1年になるので単純に割り算をすれば年間のフライトサイクルは2,184回。同様に事故機のB-1791も単純計算すると1,321回となって、エア・ドゥ機の2/3ほどです。
あくまで単純に比べてみれば、B-1791はそこまで酷使されていたわけではないことがわかります。

 

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<22年にわたって北海道と本州を結ぶ翼として活躍したJA98AD。計算上は3往復のフライトを毎日こなしていたことになる>


ヒューマンエラーを起こす可能性の参考になるパイロットの飛行経験ですが、機長は6,709時間と充分、副操縦士は31,769時間と超ベテランです。そこに実習生と思われる556時間のパイロットがもう1人乗務していました。
機長の経験時間が副操縦士と比べてだいぶ少ないですが、おそらく他の機種から移行してきた人で、全体での経験時間は副操縦士と遜色ないものと想像されます。だとすれば2人とも経験は十二分にあって、見習いのパイロットのミスを補えるだけの技量があったことも想像はできます

ただし超ベテランのパイロットでも思わぬヒューマンエラーによって墜落事故に至った事例がいくつもありますから、あくまで目安の目安にしかなりませんけども。

 


このご時世だからか、早くもYahoo!ニュースのコメント欄には
「ロシアの侵攻から目を背けるための陰謀」
だとか
「ロシアに支援している場合ではないことを演出するための中国の自演」
といった陰謀論がこれ見よがしに書き込まれていて、まぁいろんな意味で感心してしまいますさすがネット掲示板「5ch」よりも民度が低いと言われるだけある…

他にもパイロットの自殺説や整備不良説など様々な憶測が渦巻いていますが、正式な事故調査の結果が出なければただの素人の妄言であることに変わりありません。
また立て続けに墜落事故を起こし、2021年末にようやく世界中で運航が再開されたボーイング737MAXと同一視する人もいましたが、B737-800は「737NG」(NG=Next Gen)というシリーズで中身は別物です。

737NGは日本国内でも主流の機体です。-700はエア・ドゥで、-800はANAグループ、JALグループ、LCCのスプリングジャパンで採用されており、150機ほど運航されています。この機体で日本の航空会社が墜落事故を起こしたことはもちろん1度たりともありません。

 

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<国内LCCでは唯一B737-800を運航するスプリング・ジャパン。日本国内での使用実績が多く整備も受けやすいという判断で選定された>


以前スリウィジャヤ航空の墜落事故のブログ記事でも書きましたが、航空事故が発生した際の原因究明には2つの「ブラックボックス」が必須です。
ブラックボックスにはCVR(=コクピットボイスレコーダーFDR(=フライトデータレコーダー)がそれぞれ収められており、確率的に破損の可能性が少ない機体後方へ別々に収められています。もちろんブラックボックスそのものがとてつもなく頑丈に作られており、墜落事故などでデータが失われる可能性もほぼありません

CVRはコクピット内の音声を2時間程度記録FDRは飛行機の操縦操作や姿勢、エンジンの出力など様々な情報を長期間記録しています。この2つのデータを照合してパイロットに異常があったのか、機体に異常があったのか、外部からのテロリズムか…などの事故原因が究明されます。

 

mizuho-asakaze.hateblo.jp

 

また航空事故は、事故原因が1つだけということはほぼありません
仮にパイロットの自殺だったとしても、パイロットの心身の異常に会社や同僚が気付いていたか、資質の管理は適正だったか、パイロットを操縦室に1人残すような事態にならなかったか、など様々な側面からチェックし、事故に至るまでの経緯を徹底的に詰めていきます
そして同種の事故が再び起こされないように全世界で対策が進められていくのです。

23日にはCVRが現場から回収されたそうで、NHKの報道では27日にFDRも回収されたとのこと。また両方がそろったにしても、事故原因の完全な究明には年単位の時間を必要とします。前出の「スリウィジャヤ航空182便墜落事故」も事故から1年以上が経過しましたが、まだ調査中の段階です。

中国東方航空では安全確認のため一時的にB737-800型の運航を全て停止していますが、機体やエンジンの状態や整備に異常が発見されなければ運航を再開するものと思われます。
いずれにせよ全世界で運航されている機材ですから一日も早い原因の究明が望まれますし、我々のような素人は憶測を発信したり惑わされたりしてはいけません。しっかりとした調査報告書が出るのを待つしかありませんし、陰謀論を唱えるのならそれが出た後で充分です。

 


【参考ニュース記事】
東方航空旅客機墜落事故、深さ20メートルの地中まで達する残骸 - 人民網日本語版
http://j.people.com.cn/n3/2022/0325/c94475-9976123.html

 

中国東方航空の墜落機、ボイスレコーダー回収-NTSB調査参加へ - Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-03-23/R96XH8T1UM0X01

 

中国東方航空の737墜落 132人搭乗、昆明発広州行きMU5735便 - Aviation Wire
https://www.aviationwire.jp/archives/247151

 

中国旅客機墜落 フライトレコーダーを回収 原因究明向け分析へ - NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220327/k10013554831000.html