ホテルのロビーで優雅に朝ご飯を食べ、ベッドでゴロゴロしてからチェックアウトしてきました。バンコク滞在最終日の始まりです。
昨日1晩お世話になったのはフアランポーン駅から南へ歩いて5分ほどのところにある「Ago Hotel Chinatown」。すごくきれいな部屋でしたし、フロントのお姉さんもずいぶんフレンドリーで全体的に雰囲気の良いホテルです。
今日も懲りずにフアランポーン駅へ。昨日自分の乗った車両がここに置かれていないかと思って見に来たのですが、さすがにそんな都合のいい話はありませんでした。
元14系・元24系ともに同じカラーリングが施されているので、種車がどちらだったのか一見してすぐには区別がつきません。番号も改番された上に連番になっているので、何がどうなっているのやらという感じ…
ただ特徴的な車両は面影をそのまま残していました。東京~下関間を結んでいた「あさかぜ」に連結されていた、オハネフ25の300番台です。
いわゆる「下関あさかぜ」に架線から集電する電源車スハ25型が組み込まれた時、元からあった電源車がなくなったせいで荷物室がなくなってしまいました。
そのため普通のオハネフ25を改造し、車端部分に荷物室を取り付けたオハネフ25 300番台を生み出します。3両だけの少数派でしたが、全てがタイに渡って活躍。
車端部に取り付けられた排気管を見るに、荷物スペースには電源用の発電機が装備されているのでしょう。
この車両に限らず、タイに渡った24系は全てディーゼル発電機を装備する改造を行っています。
日本語では「タイ国鉄」「タイ国有鉄道」と呼んでいますが、英語ではState Railway of Thailandを略した“SRT”と案内されています。ロゴマークもいかにもタイらしい。
と覚えておくと、バンコクの旅行では便利かもしれません。
バンコク(バンスー新駅)~デンチャイ間の往復でお世話になったALS型ディーゼル機関車。
近年になってリニューアルが施された車両もいるらしく、この4147号機もヘッドライトがLEDになっています。
昨晩フアランポーン駅で見たALS型は前面窓回りが茶色く塗られた新デザインでしたが、こちらは前面が黄色一色の旧デザイン。
Wikipedia日本語版の記事によると新デザインに改めないどころか旧デザインに逆戻りした機関車もあるそうで、そのあたりもずいぶん適当に決められているようです。
MRTとBTSを乗り継いで、National Stadium(ナショナルスタジアム)駅に来ました。
駅構内にあるコインロッカー「Lockbox」にキャリーケースを預けようとしたところ、あろうことか80Bの利用料金だけ取られて扉が開かないという不具合が発生…
あさかぜには金が飲み込まれたというクレームをつけるだけの語学力がないので、泣く泣く諦めるしかありません。
そもそも目の前にあるMBKセンターに荷物預かりサービスがあるので、最初からそこへ行っておけば良かったのです。1日で100B(2時間までなら無料)とさほどコインロッカーとの値段の差もありませんでしたし…
先ほど来たルートを逆戻りしてフアランポーンを通り過ぎ、Bang Phai(バンパイ)駅へ。
炎天下の路地を10分ちょっと歩いてくるとワット・パクナム(Wat Paknam)に到達できます。日本語の添えられた看板があるあたり、よほど日本人の訪問客が多いのでしょうか。
BTSの駅からソンテウ(トラックのような乗合バス)に乗るというアクセス方法を紹介しているウェブサイトもありましたが、現地語がわからないとソンテウは使いづらいという話も聞きます。語学力に自信がない人はバンパイ駅から歩くのが無難だと思われます。
多くの人がお詣りをするエリアは土足禁止なので、備え付けの靴箱に靴を入れておきます。
床は磨かれた石で舗装されているので、現地の人のように裸足で歩くのが一番いいのかも。
バンコクで見てきた他の寺院に比べると圧倒的に地元の人らしき姿が多く、みんな熱心にお詣りしています。観光案内サイトでは必ずといっていいほど名前を見る寺院ですが、ちゃんと地域に密着した場所でもあることがよくわかります。
むしろあさかぜのような観光客は異分子なので、邪魔にならないよう端っこを歩いて奥へ進んでいきます。
奥まで来るとパーシーチャルーン運河に面した庭園に出てきました。木に覆われていて気持ちがいいですが、本当にこのエリアも裸足で歩く場所なのでしょうか…?靴下の裏が砂で真っ黒けなのですが…
奥にドーンと鎮座するのは、2021年6月に完成した瞑想の姿勢を取る仏像です。仏像本体の高さは57m、ハスと台座も併せると69mにもなる巨大な像は、瞑想の姿勢としては世界一高い仏像といわれているそう。
ちなみに総重量は741tもあり、大仏の本体には重さ6kgの心臓も入っています。頭上には仏舎利が納められていると説明には書かれていました。
およそ4年の期間と6億バーツをかけたとのこと。
しかし「○○としてはタイ最大」みたいなものが多すぎて、なんだかこんがらがってきます。このタイ旅行記全体を見ても、何回「最大」と書いたことか…本当に最大なのか疑心暗鬼になります。
巨大な仏像のすぐそばにあるマハーラチャモンコン大仏塔に足を踏み入れてみます。こちらは2012年に建設され、このワット・パクナムを一躍有名にした建物です。
1階部分は博物館のようになっていました。解説らしい解説が何も置かれていませんし、あったとしても全部タイ語で書かれているので何のことなのかさっぱりわかりません。
おそらく1916年から40年間にわたって住職を務め、タマカーイ式メソッドなる瞑想を生み出したルアン・ポー・ソット師にちなんだものと思われます。
ちなみにこの大仏塔もご多分に漏れず土足厳禁。塔の前の広場に靴箱が置いてあるので、そこに預けて中に入ります。
2階は瞑想のためのホールで、仏像の前に柔らかい絨毯が広々と敷かれています。学校帰りなのか、女子学生が2人静かに座っていました。
ワット・パクナムがインスタ映えスポットとなったのがこの仏舎利塔です。まるで宇宙の中にエメラルド色の塔がそびえているような幻想的な光景が見られるということで、特にインスタグラマーの間で一気に有名な観光スポットになりました。
願い事をしながらこの仏舎利塔を回りで3周すると願いが叶う、というお話もあるそうです。
ちなみに全景はこんな感じ。エメラルド色の塔は実はガラス製で、1cmの厚さのガラス板が800枚も積み上げられて作られています。
周囲を囲むのは同じくガラスでできた80のパヤーナーク。パヤーナークとは大蛇の王という意味だそうで、ブッダの護衛だったとか。
高さ8mとか800枚とか80頭とかやけに8にこだわった数字が並びますが、これはブッダが入滅した年齢が80歳だからという意味合いがあるそうです。
Instagramでは塔の上の部分ばかりが切り抜かれて「幻想的!」「宇宙を見ているみたい!」なんてもてはやされますが、全体を見てみて初めてその魅力がわかるというものです。
そして仏舎利塔の周囲は多くの仏教徒の人たちが熱心に拝んでいます。「映え写真」ばかりにかまけるのではなく、くれぐれも失礼のないような行動をしましょう。
オジサンのお小言みたいであまり言いたくはないのですが、近くにいた日本人の若い女性たちは肩を出した服装をしているし、脚を伸ばして仏塔に足の裏を見せているしで、お行儀が良いとはお世辞にもいえません。
そろいもそろって他の人と同じような写真をInstagramに投稿する趣味を否定するつもりは別にありませんが、現地のマナーやエチケットを尊重できないのであれば、センス云々インスタ映え云々を語る資格はないとあさかぜは思っています。
フロアの片隅からは外廊下に出ることもできます。はるか見上げる塔の高さは実に80m。
先端に見える宝珠は100kgもある黄金でできているとか。
巨大な仏像、見上げる高さの大仏塔、フォトジェニックなエメラルドの仏塔、とどうにも世俗的な印象の拭えないワット・パクナムですが、実はその歴史はアユタヤ王朝時代にまでさかのぼるものです。
王室が関わる寺院になったのは現王朝のチャクリー朝ができてから。19世紀に改築や運河の整備を行って、おおよそ現在の姿ができあがったとされています。
先ほども触れたルアン・ポー・ソット師による座禅・瞑想の理論で有名になっただけでなく、上座部仏教で使われる言語「パーリ語」の教育の中心を担った寺院でもありました。
やはり靴を脱いで上がる本堂は、先ほどまで見ていた派手派手しいものとは一線を画す質素な雰囲気。心が落ち着きます。
ちなみに境内にあるトイレもとてもきれいに手入れされていました。常に掃除する人が回ってきれいにしてくれているようで、安心して用を足すことができます。
そういえば「タイでは下水の能力が弱くてトイレットペーパーを流してはダメだ」という事前情報もありましたが、今まで泊まってきたホテルもお寺のトイレも、トイレットペーパーは流して問題ありませんでした。バンコクのような都市部に限った話なのかもしれませんけどね。
再びBang Phai駅に歩いて戻ります。近くにバイクタクシーのたまり場があって乗せてくれそうな雰囲気でしたが、料金交渉をしなきゃいけないのでこれもまた観光客にはハードルが高い…
>>つづく<<
※ 2024/1/28:誤記を修正