あさかぜみずほの趣味活動記録簿

旅行記や主に飛行機の写真をひたすら載せ続ける、趣味のブログです。たまに日記らしき投稿もあり…?

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2022年10月17日 あいち航空ミュージアム【前編】

新幹線で名古屋へ、そこからあおい交通のバスに乗って、郊外の商業施設「エアポートウォーク名古屋」までやって来ました雨が降ったりやんだりとあいにくのお天気ですが、今日の目的は屋内が大半なので大きな影響はないはずです。

 

aoi-komaki.jp

 

 

目的地はエアポートウォークから直結の「あいち航空ミュージアムです。県営名古屋空港の敷地の一部を使って建てられた飛行機の博物館で、一見すると格納庫を転用したように見えますが、新たに格納庫“風”に建設された建物なのだそう。
展示する飛行機を直接搬入できる構造になっているのは空港敷地直結ならではでしょう。

入館料は大人1,000円。平日で天気も悪いからか、お客さんの数はずいぶん少ないようです。
入ってすぐに目に飛び込んでくるのは、現状では日本唯一の旅客機「YS-11型」の実機。すごいインパクトです。

 

aichi-mof.com

 

 

 

2階の入口付近には忠実に再現された飛行機模型がショーケースに飾られています。飛行機の草創期からジェット旅客機による大量輸送時代まで、その時々を彩った名機が所狭しと並べられていて圧巻。

写真は第二次世界大戦末期に日本が作ったジェット戦闘機「橘花(きっか)」。ドイツのメッサーシュミット・Me 262を参考として作られたものですが、肝心の設計図の大半を運んでいた潜水艦が撃沈されてしまい、残ったわずかな資料を参考に多くの部分は独自設計になっていたとか。
ターボジェットエンジンを積んだのも、質の悪い燃料でも燃えれば飛ばすことができるという嘆かわしい裏事情があったようです。

結局2機が試作されただけで戦争は終わり、唯一アメリカで保存されている機体(エンジンなし)も試作機だったのかできかけの量産機だったのか、出自がハッキリしないのだとか。

 

こちらの模型は海上自衛隊が運用していた飛行艇US-1」。のちにエンジンがパワーアップされてUS-1Aへと改名されました。開発・生産は新明和工業です。

3mの波があっても着水でき、離水速度も時速100km程度という高性能を発揮。四方を海に囲まれた日本には非常に重要な存在ですが、コクピット部分以外は与圧されていないため人を乗せると高高度が飛べなかったり、アナログな機体ゆえ着水地点を見極めるのが経験によったりするなどの弱点もありました。

新技術を投入したUS-2という後継機が生まれ、US-1Aは2017年12月に現役を引退しました。US-1Aの実機写真は過去の撮影記に少しだけ載せてあります。

 

brhybrid.blog19.fc2.com

 

 

三菱重工黒歴史ともいえるMU-300「ダイヤモンド」
開発の難航やビジネス機の需要低迷、マーケティング戦略の不足などによって100機ほどの生産で終わってしまった不遇の機体です。

プロジェクトが大赤字に陥った三菱は、製造権をアメリカのビーチ・エアクラフトに売り払って1988年にビジネス機事業から手を引きましたが、MU-300改めホーカー400は大躍進。2017年からは最新モデルのHawker 400XPRが生産中で、シリーズ全体の生産機数は850機以上にもなっています。
航空自衛隊もT-400として“逆輸入”しており、まぁなんというか三菱は哀れなものです…

 

MU-300の二の舞となりそう、いや、実用化されていない時点で「未満」になっている旅客機「三菱リージョナルジェット」の模型も置かれていました。
2019年からイメチェンのためにカラーリングと機種名を「Mitsubishi SpaceJet=MSJ」に変えていますが、あいち航空ミュージアムに展示されているのは「Mitsubishi Regional Jet=MRJ」時代のまま。
個人的には実機を見たこともあり、MRJの方がしっくり来ます。

なおここのすぐそばにはMRJ改めMSJの工場とMRJミュージアム(※)という展示施設もありますが、そちらは臨時休館中。もう開かないんじゃないかという気がしてなりません…

 

※2023年6月30日、MSJ開発中止を受けて正式に閉館しました。

 

 

1/25スケールのBoeing 747-400従来機では多数あった計器が、-400では画面に集約される「グラスコクピット」へと進化して、乗員も航空機関士が不要な2名体制が可能に。世界中の航空会社が自社の主要路線に投入したほか、貨物型も作られて能力を存分に発揮しました。

日本では「ハイテクジャンボ」とか「テクノジャンボなどと呼ばれ、国際線はもちろんのこと国内線用に-400Dという専用のモデルまで用意されたほどです。特に日本航空は「世界一のジャンボ編隊」とまで呼ばれ、747シリーズ全体で100機以上を導入しました。
今でこそ活躍の場が縮まっていますが、一般庶民にまで海外の往来を身近なものにしたのは燦然と輝く功績です。

 

2階部分のデッキからは館内の展示が一望できます。どうしても展示物と同一目線になりがちな博物館において、高いところから俯瞰して展示物全体を見ることができるというのは非常にありがたい。特に飛行機のようなサイズの大きなものになるとなおさら。

MU-300も「高みの見物」ができます。

 

少し奥で展示の準備が進められているのは、航空自衛隊の曲技飛行隊「ブルーインパルス」で使われている川崎・T-4です。写真のT-4は1996年からブルーインパルスで使われている機体で、本来の用途である練習機の装備の一部を曲技飛行のために改造しています。

代替わりを経てT-4が使用され続けているものの、新規の生産はとっくに終わっていますから、何らかの理由(耐用回数とか喪失とか)で飛べなくなった場合は代わりの機体を見つけてくることが難しくなっています。
「利益を生み出す」という言い方は正しくないのでしょうが、国防に直接関係のあるものではないだけに、特定の人たちから理解を得られにくい存在であることも事実…

ヒコーキオタクとしては新世代の機体で飛ぶ姿も見てみたいものですけどね。

 

屋上にも出てみましたが、ザーザー降りで何もできないので早々に戻って来ました。非番で疲れていることですし、2階の片隅にあるカフェスペースで一息つきます

国際空港時代を彷彿とさせる広いエプロンには、小型のプロペラ機やヘリコプターが駐機されています。
左側には格納庫が並んでいますが、カフェスペースやその周辺の窓際には格納庫にカメラを向けることのないよう注意書きがされていました。

 

コーヒーブレイクを済ませ、1階の展示スペースに降りてきました。
ドンと1機まるごと置かれている大型ヘリコプターはアグスタウェストランド製AW101です。1999年に警視庁で導入された機体で、当時はEH101という機種名でした。

日本では自衛隊南極観測船「しらせ(2代目)」の艦載機といった軍用型のEH101が多く導入されたものの、民間向けは警視庁に入ったこの1機だけだとか。
2018年に退役し、2019年からあいち航空ミュージアムに住処を移しました。

 

乗員2人+乗客30人を乗せた上で航続距離1,370kmを確保した大型ヘリコプターです。中型のヘリコプターまでは2発のエンジンを装備することがほとんどですが、このEH101は3発のエンジンを搭載しています。

 

大型ヘリであるAW101に搭載されるようなエンジンは大きいものなんだろう、と思っていましたが、実物のGE製CT7-6Aエンジンを見てびっくり。ヘリのエンジンってこんなに小さいのか、と驚いてしまいました。
電力やメインエンジンの起動の時に使うAPUではありません。れっきとしたメインエンジンです。

全長120cm、直径は65cmと観光バスのエンジンルームに収まっていても違和感を覚えないぐらいのサイズ感ですが、エンジンの出力は2,000馬力にもなります。
ターボシャフトエンジンは小型軽量で高出力を出せるのが特徴ですが、ここまで小さいものだとは…

 

メインエンジンの横にちょこんと置かれている小さなものがEH101のAPU(補助動力装置)です。メインエンジンと構造は少し似ていますが、大きさは2/3ぐらい
このエンジンで駐機中の電力を供給したり、圧縮空気を作ってメインエンジンの起動に使用したりします。このAPUが起動しなければ飛行機の根幹のシステムを動かすことができなくなってしまうので、空気が薄い中でも動作できる高い信頼性が求められます。

 

>>あいち航空ミュージアム【後編】へつづく<<