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新整備場駅を出て徒歩3分もかからないところに、目指す「JALメインテナンスセンター」があります。普段は当然部外者お断りの施設なので、こうして見学などでなければ入ることもかないません。
ゲートのインターホンで来訪目的を告げると、受付の人が案内してくれます。
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格納庫見学の説明が始まるまでは自由にフロアを見て回れます。
エントランスには日本航空で代々使用されてきた航空機の模型が飾られています。その中に経営統合で消えた「日本エアシステム」のA300の模型も展示されていました。このA300B2の発展型であるA300-600がJALで使用された最後のエアバス機でしたが、いよいよ2019年後半からは最新型機のA350がJALのフリートに加わります。
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壁側に置かれているのは巨大なタイヤ。機体の重量のほぼ全てを支える主脚に取り付けられるものです。着陸するときには地面とこすれて300度もの温度になるのだとか。自動車とは比べものにならないぐらい、重さと熱への耐性がなければなりません。
ちなみに表面がすり減ると、3回まで貼り替えて再利用できるようになっているそうです。
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今のように便利なジャイロセンサーや衛星がなかった時代、飛行機は星の位置を参考にして自分の飛んでいる位置や方向を確かめていました。時代の進歩で必要がなくなったものですが、今でもソ連製の輸送機アントノフAn-124には航空士(日本の免許では「航法士」となっていますが)が乗って自機の位置を計測しています。
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世界で唯一超音速で旅客を運んだコンコルド。飛行機好きでない人でさえその名を知っている、まさに伝説のような旅客機です。
メーカーのアエロスパシアルは消え、BAeも軍需産業へと移行し、共同開発した両社ともに今は旅客機の開発は行っていません。その「作品」であったコンコルドも2003年に全て退役し、超音速で旅をする時代は一瞬で終わってしまいました。
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ここで説明し始めると楽しみがなくなってしまうので省略していきます。様々な歴史を学ぶことができるので、ぜひ応募して行ってみてください。
国際線のフラッグシップとして君臨する、B777-300ERのエンジンにつけられているファンブレード。主材料はカーボンファイバーで、前縁だけ異物を吸い込んだときに破損しないようチタンで補強されています。このブレードはとんでもなく高価。後ほど見学の時にも説明されましたが、この羽根1枚で1,000万円以上するのです。ワンセットじゃありませんよ?1枚で。
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国際線の機材に装備されるシート。最近のものはリクライニングをすると座面が前に出て、背もたれが後ろの席を圧迫しないタイプのものが割と当たり前になってきました。もちろん場所を取るのでビジネスクラス以上のシートがほとんどです。
残念ながら実物展示は近距離国際線用のビジネスクラスのシートだけで、最新のSKY SUITEはビジネス・ファースト共にパネルでの展示のみでした。
長距離国際線のビジネスクラスは半個室で真っ平らになるのが、世界中で当たり前。こんなベッドなら12時間だろうと14時間だろうと、いくらでも快適に移動できるでしょうねぇ…
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格納庫の見学へ行く前に、歴史や路線展開、運航機材などの日本航空の概略を説明されます。注意事項を告げられた後、いよいよ見学へ。格納庫内ではヘルメットを装着し、勝手な行動はしないよう改めて念を押されます。
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そしてちょうど見学しているタイミングで、B777が1機ドックインしてきました。トーイングカーにひかれて慎重に所定位置へと入ってきます。
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普段はなかなか見ることが出来ませんが、コクピットの窓が開けられています。緊急時の脱出や窓の掃除にも使うので開けられるようになっているのですが、最新型機のB787では形状の都合で開けられなくなってしまいました。そのためB787のコクピットの窓は、クルマのようにウォッシャー液が出て掃除できるようになっているのだそう。
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1つ隣の格納庫は小型機用のもの。この日はB737が1機だけ入っていたので、下に降りて外を見ることができるようになっていました。
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数少なくなったJAL EXPRESSのロゴが残る機体。ロゴの手直しが進められて、もはやJEXロゴは風前の灯火です。
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エンジンの空気取り込み口が真円ではないように見えますが、錯覚ではありません。B737は初期の頃の設計をそのまま流用しているので、大口径の効率がいいエンジンを搭載しようとすると脚が短すぎるのです。
あまりに取り込み口が地面に近くなると地上の異物を吸い込んだりして面倒くさいことになるので、あえておにぎり型にして地上との間隔を確保しています。回転部分に描かれている渦巻きはバードストライクを防止するためのものですが、実際のところ効果があるかは微妙らしいです。
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格納庫からはA滑走路に着陸する飛行機が間近に見えます。間近とはいえ、見ている対象が大きいので実際のところは100m以上はあるはずですが…
それでも地面の高さから間近で飛行機を見る機会はなかなかありませんから、貴重な体験です。
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ほとんどの人たちは間近にある機体に気を取られていましたが、これを忘れてはいけません。B777-300ERに装備されるモンスターエンジン、GE90-115Bが整備のために置かれているではありませんか!
エンジンの直径は3m、先ほどホールで展示されていたファンブレードが装着された本物です。1枚1,000万円以上と言ったカーボン製の羽根が22枚、つまりこの1セットでおよそ3億円…
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こちらはB767に装備されるCF-6エンジン。GE90と同じくアメリカのゼネラル・エレクトリック製です。
ファンブレードに注目。GE90では1枚1枚独立していますが、このエンジンではスナバーと呼ばれるパーツで全ての羽根が結合されています。このエンジンが設計された当時では羽根1枚あたりの強度もさほど高くはなかったため、こうした手法が取り入れられていました。
ファンブレードそのものの枚数も、GE90に比べると明らかに多いのがよくわかります。
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お尻にはAPUという小型のエンジンが入っているので、その排気のための穴が開いています。
おまけみたいなエンジンですが、その機能はとても重要。ジェットエンジンは自力では始動できないので、まずこのAPUから圧縮空気や電力を送り込んで、エンジンを回してあげなければなりません。地上ならまだしも、飛行中に万が一止まってしまったら大変。空気が薄い中でもAPUは始動できるような設計になっていて、止まってしまったエンジンを再始動できるようになっているのです。
ただ単に地上でエアコンや電力のためにある、おまけのエンジンではないのです。
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というわけで、もりぞーのおかげでなかなか見られない部分を間近で見る体験ができました。感謝感謝です。
一連の見学は全て無料ですし、飛行機の入り方によって見学のルートも変わるそうですから、「1回行ったからもういいや」というものではなさそうです。まだまだ見たいものはいろいろありますから、次の機会があればぜひまた来てみたいですね。