玉名市内のお寺で祖父母の法要を終え、自宅へ送るみかんを買いにスーパーへ来ました。関東で買うよりはるかに安く買うことができますし、大きさや形の整った箱詰めのものでも関東の2/3未満といったところでしょうか。
こんな価格で利益が出るのだろうかと心配になってしまいますが…
伯父伯母とはここでお別れし、我が家の3人はこれから天草へ向かってドライブすることにしました。といっても運転はあさかぜがするのですが…
今回借りているのは写真の左端に写るトヨタ・ヤリス。
おそらく3気筒1,000ccのエントリーモデルですが、車体が1tを切る軽さだからか鈍重な印象は受けません。シャシーがしっかりしているので不安がありませんし、カーブもキビキビ曲がれるので運転していてかなり楽しいです。
さすがに大人3人乗ると重たいなという印象はなくもありませんが、ストレスに感じるほどではありません。やはりトヨタのクルマってよくできているんですね。
この車体で1.5Lエンジンを搭載する上位モデルは相当速いのでは?
国道501号線で金峰山を海側から回り込み、宇土市内で国道57号に入って宇土半島を西へ進んできました。玉名市内からおよそ1時間で「道の駅 宇土マリーナ」に到着です。
海に突き出した防波堤からは陽光に輝く美しい有明海が一望できます。マリーナという名の通り防波堤の内側には小型船がたくさん。
釣りスポットでもあるようで、防波堤からはたくさんの釣り竿が海に伸びていました。どんな魚が釣れるのでしょうね。
そういえば女子校生が釣りの楽しさに目覚めていくコミック『放課後ていぼう日誌』(小坂泰之、2017-)の舞台は熊本県芦北町です。同じ熊本県といえど南北に広いので、玉名市内から鹿児島県に接する芦北町までは高速道路を使ってもクルマで1時間半はかかってしまいます。さすがに遠かろうということで目的地を天草にしたのですが、結果的に所要時間としてはあまり変わりませんでした…
まぁ親をコミックの舞台に連れて行っても文句しか言わなそうですし、聖地巡礼はいつか一人で時間を作ることにします。
少しもやがかかっているものの、対岸の雲仙岳の全景が見渡せます。
熊本と島原半島は有明海を挟んで目と鼻の先ということもあり、熊本港や天草の鬼池港などから複数のフェリー航路が用意されています。『放課後ていぼう日誌』の原作では芦北からぐるっと佐賀県まで回って陸路で長崎港へ向かうシーンがありましたが、単純に熊本市内周辺から長崎へ向かうのならフェリーを使う方が早そうです。
あさかぜが2歳の頃に島原半島へ渡って長崎観光をしたことがあるらしいのですが、きれいさっぱり記憶に残っていません。それゆえあさかぜにとっては「長崎県はまだ訪れたことがない場所」に分類されています。
もちろんいろいろ行きたい場所はあるのですが、残念ながらまだタイミングに恵まれず…
お昼1時前になってお腹が空いてきてしまいました。両親はそんなに空腹ではないというので、あさかぜだけ道の駅併設のレストランでお昼ご飯を食べることにします。
いろいろあって目移りしてしまいますが、このあたりで取れるらしいコウイカを使った「甲イカかきあげ丼」900円をいただくことにしました。たっぷりとアサリの入った味噌汁も一緒です。
サックサクのかき揚げにしっかりとした弾力のイカが入っていておいしい。甘辛いタレも絶妙です。ただし量は結構ある、というよりかき揚げなのでそれなりに重たいメニューですから、さすがにデザートまではいらないかな…
三角(みすみ)付近から大矢野島に入っていよいよ天草へと突入します。いくつもの橋で海を越えて島を渡り歩き、有料道路を通り抜けて天草上島の左上あたりにある「道の駅 有明(リップルランド)」まで来ました。ずっと西に進んで下島まで行くと天草四郎で有名な崎津天主堂などの観光地があるのですが、そこまで行くにはさらに1時間半ほどを要します。
このあとまだ用事があるので、この道の駅を折り返し地点とすることにしましょう。
国道にかけられた歩道橋を渡ると岩でゴツゴツした海岸へと降りていくことができます。海の向こうに見える雲仙岳はだいぶ遠くになりました。
その海岸の手前に立っている巨大なタコのオブジェ…
道の駅が面している国道324号線のうち、有明地区の区間に「天草ありあけタコ街道」という愛称がつけられています。天草の特産品がタコであることのアピールのために設置されたものだそうです。デフォルメも何もなく、たこつぼから顔を出すタコがやたらめったらリアルに作られています…
なお道の駅では受験の験担ぎとして、Octopusの語呂合わせで「置くとパス」なる合格祈願のぬいぐるみが販売されているそうです。
ところで道の駅のホームページでは「たこ飯のリップルランド」というタイトルになっていますが、レストランのメニューページには一つも見られないのはなぜ…?
売店にはいくつか「たこ飯の素」が販売されていました。
道の駅の背後に見えるのは併設の「有明温泉 さざ波の湯」。弱酸性のアルカリ性単純泉で、入浴料は500円とかなり安めに設定されています。旅行の習性でタオルは持っているので入ってみたかったのですが、両親は「疲れるからイヤだ」と一蹴。一切運転しないのに…
海岸で家族の記念写真を撮り、帰りは上島の北端まで海沿いの道を走ることにしました。海っぺりを走る区間は思いのほか短く、山の中を右へ左へと進む場所も短くありません。
一世代前のトヨタ・ヴィッツならこうした道は得意ではなかったでしょうが、現行のヤリスはへたることなくキビキビと走って行けるので気持ちがいい。シャシーや車体の造りがぐんと向上しているのがこういうところでよくわかりますね。
宇土市内まで戻ってくると道が一直線となって一気に疲れが襲ってきます。温泉に入らなかったのはむしろ正解だったかも…?
旅館に一旦荷物を置いて、あれやこれや買い物をしに玉名市内へ出てきました。
熊本県を地場とする菓子店「お菓子の香梅」でお土産を購入。「陣太鼓」という求肥を小豆あんで包んだお菓子は熊本の名物です。個人的には香梅のどら焼きがめちゃくちゃおいしいと思っているのですが、不思議と公式ページには全く紹介がないんですよね…
日持ちしないというのもあるのかもしれませんが、宣伝されないのが不思議で仕方ありません。
用事を済ませた後で新玉名駅に立ち寄ります。
ちなみに今日は月食です。すでにだいぶ欠けた月が雲一つない空に浮かんでいますが、目で見ているのとカメラで撮るのとでは見え方がさっぱり違います。まぁ月の大部分が暗くなっているので、月食の最中だというのはおわかりいただけるでしょう…
わざわざ新玉名駅に寄ったのは明日の新幹線の座席指定が目的だったわけですが、なんと空席が数えるほどしかありません。昨日はガラガラだったのに。さすが緊急事態宣言解除後の連休…
へとへとになって宿に戻ってきました。
昨日は創作系のメニューが中心だった夕食は、今日はオーソドックスな懐石風。熊本と言えばやはり馬刺しです。赤い肉の下に見えるのは「たてがみ」という首の後ろ側の肉で、歯ごたえと脂の甘さを両方一度に味わえる贅沢な部位です。
もう1つは「阿蘇のあか牛」のステーキ。火を通しすぎないよう適度なところで溶岩プレートから引き上げて塩をつけて食べると、あまり噛むことなく口の中から消えていってしまいます。
本当においしい牛肉というのは焼肉のタレだとかオニオンソースだとかではなく、塩(とあればわさび)だけでこれ以上ないほど満足出来るのです。この夕食で出されたあか牛はまさにそんな逸品でした。
家族旅行だからこそできた贅沢を堪能し、今日も早めに布団に入ります。明日はいよいよ旅の最終日。そしてあさかぜにはある意味でクライマックスが控えています。