1ヶ月半ぶりぐらいの東京駅です。タイミングの悪いことに今日から東京・大阪・京都・兵庫の4都府県で緊急事態宣言が再スタートしてしまいました…よりによって立ち寄る場所全部が緊急事態宣言にならなくてもと思ってしまいますが。
毎度のごとくの単騎遠征(=一人旅行)なので道中で広げて回る可能性は低いとはいえ、なんだか肩身が狭く感じてしまいます。
職場で朝ご飯を食べそびれたので、先月と同様に二郎系ラーメン「ラーメン雷 東京本丸店」で半日分以上のエネルギーを摂取します。こんな悪魔のようなお店、朝8時から開けてちゃいけないでしょう…!
車内で大声の会話を抑制するという名目で改札口付近の売店はお酒の販売がなく、当然車内販売でもお酒の扱いはありません。自己抑制の出来ない人々のせいで、黙ってお酒を飲んで過ごすような一人旅行者まで割を食うのは勘弁してほしいものですが、世の中の流れには逆らえません。
JR東海ツアーズの旅行商品「ぷらっとこだま」では普段だとペットボトルのソフトドリンクか350mlまでのお酒と引き換えられるクーポンがついてきますが、お酒NGの現在ではソフトドリンクのみ引き換えが可能。600mlサイズのジャスミンティーをいただいてきました。
前回来たときは最新型N700Sが入っていた9:57発の「こだま715号」は、今日は従来型のN700a。世の中期待したようにはうまくいきませんねぇ…
とはいえN700aもSのデビューで数を減らしていることですし、今後貴重になっていく車両に今乗っていると思えば前向きな気持ちになれます。大学時代の先輩によれば「シートはN700aの方が柔らかくていいよ」とのことですから、快適に過ごせる3時間が保証されたと思えばいいだけです。
「こだま」らしくグリーン客室はほとんど誰も乗っていません。品川で家族らしい中高年男女4人組がすぐ前の席に乗ってきましたがすぐに熱海で降りていきました。温泉旅行だったのでしょうか。車内は再び走行音が響くだけの空間に。
およそ2時間40分で名古屋に到着しました。数年前まで3時間きっちりかかっていましたから、20分短縮されるとずいぶん速くなったものだと感じます。
改札を出たら足早に高島屋の地下へ。
少し前に職場の先輩に「赤福はおやつで食べられるサイズがない」という話をしたら、高島屋の地下なら2個入りが売っているとのことだったのでそれを入手しに行きます。ついでにこのあと会う友人たちへのお土産に8個入りも買っておきましょう。
高島屋を回って近鉄名古屋駅のホームに入ると13時発の「ひのとり 63列車」がちょうど入線してくるタイミングでした。80000系は鉄道雑誌の写真で見るよりもはるかに迫力のある大きさで、もはや威圧感を覚えるといってもいいぐらいです。
巨体なのは先頭車だけで中間車は普通サイズ。プレミアムシートの快適さを味わいたいのはやまやまですが、今日はとりあえず中間車のレギュラーシートの席を取りました。
荷物棚の下には予約状況を示すランプが点灯しており、緑色なら空席、青色なら予約済みとなっているようです。正しい席に座っていれば車掌は検札を省略する仕組みになっているのも新幹線と同様。もちろんチケットレスも可能となっており、混み合う土休日でも券売機や窓口に並ぶ必要はありません。
13時ちょうど、近鉄名古屋駅を発車。7割ぐらいは乗っているようで日曜日にしては少ない気がしますが、向かう先の大阪府が緊急事態宣言中と思えば多いのでしょうか。すぐに地上へ出るとなめらかに速度を上げていきます。
座席は倒しても後席を圧迫しないシェルタイプなので気兼ねなくリクライニングできるのがうれしい設計です。各座席にはコンセントが備わり、無料のWi-Fiサービスもあるのでビジネス利用にも最適。さすが近畿日本鉄道が威信を賭けて作り上げた車両だけあります。
荷物棚は機内持ち込みサイズのキャリーケースが載せられるのはもちろん、車端部には荷物スペースに加えて車両によってはロッカーまで備え付けられています。
うーん、1月に乗った小田急ロマンスカー「GSE」に比べると非の打ち所がない…
両先頭車のデッキにはカフェスポットが用意されており、挽き立てのコーヒーやお菓子、「ひのとり」グッズの自動販売機が設置されています。いまどきの新幹線ではこんな充実した設備はありませんよ…
まぁ今の名阪特急は新幹線に対抗するためにできあがった姿なので、これぐらい設備が充実しているのはこの時代にはふさわしいのかも。
というわけで「ひのとり」マーク入りのコーヒーを購入し、座席で赤福を開けます。
伊勢名物と言えば赤福というぐらい三重県を代表するお菓子となっています。軟らかな餅と甘いこしあんの組み合わせがたまらない。
ただ新幹線の改札内なんかで売っているのは8個入りの「折箱」がほとんどで、車内でちょっとおやつに食べようとするには大きすぎます。2人でも多いぐらいです。
職場の先輩に教えてもらった2個入りの商品は「銘々箱」というそうで、これは販売店舗が限られており高島屋の地下まで走ったのはそのためです。おかげさまで優雅なコーヒーブレイクができました。
名古屋から45分で三重の県都である津に止まると、「ひのとり63列車」は大阪の鶴橋まで約1時間15分にわたってもうどこにも止まりません。名阪間の特急の中でも速達型を「名阪甲特急」と呼びますがその中でもこの列車はさらに速いほうで、多くの甲特急が止まる大和八木さえ63列車はパスしていきます。
速度を落としてポイントをガタガタと渡る音がすると、名古屋線から大阪線へと乗り移る中川短絡線です。1961年に甲特急から使われ始め、2年後には乙特急も含めた全ての名阪特急がこの短絡線を経由しています。伊勢中川駅でスイッチバックをしないことによる時間短縮より、座席の向きを変えさせないというサービス向上の側面が強いそう。確かに優雅にコーヒーを飲んでいる最中に座席の向きを変えなきゃ、というのは気分がそがれます。
コーヒーの効果が発揮されることなく前後不覚に眠りこけていると、もう「ひのとり」は奈良県をとっくに飛び越えて大阪市内を走っていました。レギュラーシートでもこれほど快適なのに、いったいプレミアムシートではどれほどのクオリティを見せつけてくるのでしょう…?
定刻通り終点の大阪難波に到着しました。2時間で降りるのがもったいないぐらい…後ろ髪を引かれる思いです。
タイミングを見計らってかけてきた友人の電話によるとわざわざ梅田で出迎えてくれるそうです。待たせては悪いので急ぎましょう。
「梅田の地下街は迷路」という話はよく聞きますが、なんばも大概です。今乗ってきた近鉄以外に南海電鉄、JRとさらに地下鉄の3路線も加わります。それぞれ微妙に名前も違うし、お互いに顔を合わせて駅が並んでいるわけでもないのでどこへ進めばいいのかもわからない。地下街にはいろいろな店舗も並んでいますが、同じ店を2度目に訪れるのは相当難儀しそうです。
あさかぜは方向音痴ではないものの、やっとこさ目当ての御堂筋線ホームにたどり着きました。なんばから梅田までは地下鉄で約10分です。
21系リニューアル車のドア上に設置された液晶画面はやたら巨大です…こういう画面は汎用品サイズを2つ3つ並べて使うものだと思っていましたが、専用品(Wikipediaによれば32インチ)をわざわざ用意するとはコストがかかっています。見やすいといえば見やすいですけどね。
梅田で出迎えを受け、何年ぶりかわからないぐらい久しぶりの阪急電車で友人宅へ向かいます。ガラリとデザインを変える鉄道会社がある一方で、阪急独特の「マルーン」という焦げ茶色はもはや阪急のブランド。内装も木目調に深緑色のシートと外見に違わずシックにまとまっており、この統一感のある品格の高さは自分の勤める鉄道会社と比べたらうらやましくなるほどです。
寡黙にたこ焼きを焼きまくり、ひそひそと内緒話でもするかのような小声で会話をするのは2年前では異様な光景でしたが、いまやそれが当たり前。バカでかい声を出さないにしても、普段通りにしゃべって笑える日常はいつ戻ってくるのでしょう。
そんなことを考えながら友人宅の布団にくるまるのでした。