あさかぜみずほの趣味活動記録簿

旅行記や主に飛行機の写真をひたすら載せ続ける、趣味のブログです。たまに日記らしき投稿もあり…?

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エアアジア・ジャパン 事業終了へ

「2020年10月1日から夏ダイヤ最終日の24日まで全便を運休する」

エアアジア・ジャパン、10月は全路線全便運休 先行き不透明 - Aviation Wire

突如9月16日にそう発表して物議を醸したエアアジア・ジャパン。就航の遅れで運航路線・便数ともに少なく、元から国内では最も小さなLCC(ローコストキャリア、格安航空会社)であるだけにいよいよ撤退かというウワサが流れ始めていました。

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<マレーシアを拠点とする本家エアアジア。日本以外にもインドネシアやタイなどに子会社を持つ>

そもそも中国発端のCOVID-19のせいで親会社のエアアジア自体が致命的なまでのダメージを受けており、本国マレーシアでの事業継続にいっぱいいっぱいで周辺国の会社を支えられる状況ではないようです。9月7日にはエアアジアCEOのトニー・フェルナンデスが「日本事業(エアアジア・ジャパン)は検討の必要がある。現金があれば継続する」と撤退をほのめかす会見をしていました。

エアアジアグループ、日本事業見直しへ ロイター通信報道 - Traicy

”撤退されたくないならカネを出せ”と言外に含ませていたようにも感じ取れる内容ですが、主要株主である楽天を含めて資金提供はなかったのでしょう。ついに9月30日になって「事業撤退を検討」と報じられます

エアアジア・ジャパン2度目の撤退へ 9月4連休が最後 - Aviation Wire

今のところエアアジアグループから正式な発表は出ていませんが、SNSには「10月5日(月)に正式発表」などという書き込みもあり、週明けの動向に注目です。

…今さら覆されることもないとは思いますけどね。

COVID-19の中なんとか持ちこたえてきた日本の航空会社でしたが、ついに悪い意味で世界の潮流に飲まれるところが出てきてしまいました

これでエアアジアが日本市場から手を引くのは2度目になります。
最初にエアアジアが日本に参入したのは2011年のこと。この時は全日本空輸ANA)と手を組んで乗り込んできましたANAが関わった日本初のLCCピーチ・アビエーション(APJ)」はまだ設立されたばかりで、拠点は関西空港になる予定でした。
ライバルの日本航空JAL)はオーストラリアの大手LCCジェットスター」と手を組んでジェットスター・ジャパン」を設立、成田で運航を始める算段を整えていました。
「このままでは首都圏のLCCの座をJALへと明け渡すことになってしまう」と焦ったANAがパートナーとして見つけてきたのが、アジア最大のLCCへと成長していたエアアジアでした。
エアアジアとしても進出を考えていた日本市場への足がかりとなるため、一刻も早く成田に就航させたいANAと利害が一致、エアアジア・ジャパン」として2012年8月に成田をベースに就航します。

しかし「事業展開にはスピードが命!」というスタンスのエアアジアと、「当局と連携を取って、うまく日本になじむやり方を」という慎重派のANAの風土が合うはずもなく、早くも2013年の夏ダイヤ最終日をもってエアアジアANAとの共同事業をやめて、飛行機ごとさっさと引き上げてしまいました。
JJPを前に引き下がれないANAは「バニラ・エア(VNL)」とブランドを改め、2019年10月末にAPJへ統合されるまで成田ベースのLCCとして運行を引き継ぎました

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<仲違いの結果生まれたバニラ・エア。設立理由はどうあれ、リゾートLCCという新たな方向性を生み出した立役者でもある>

一方、仲違いして引き上げてきたエアアジアとしても、開拓の余地がある日本市場をみすみす放り出すのは惜しい。保守的な既存エアラインと手を組んだことが敗因と考えたエアアジアは、今度はどこの航空会社とも関わらず、IT大手の楽天と手を組んで2014年に2代目の「エアアジア・ジャパン」を設立しました。
本拠地も他のLCCとかぶらない愛知の中部国際空港セントレアに定めます。
エアアジア楽天という知名度マーケティング力を武器に日本のLCC市場、さらには航空市場へと殴り込みをかけていく…

はずでした。

過去の事故などの経験から、日本の航空行政はとても厳しい。慎重に慎重を重ねるやり方は世界の潮流から後れを取っている要因ですが、一方で厳しいチェックによって重大な事故を起こさないようにしているのも事実です。一概に批判はできません。
しかもどこかの航空会社の後ろ盾があって整備や運航管理のノウハウが期待できるならまだしも、新しいエアアジア・ジャパンは完全な独立系自ずとチェックは厳しくなります。
どんなにトニー・フェルナンデスが航空局の仕事が遅いと文句を言ったところで、お役所がウンと言わなければ旅客を乗せて飛ぶことはできないのです。

ようやく就航にこぎ着けたのは2017年10月のこと。「運航開始は未定」とされていた時期もあり、飛ばないまま消えてしまうのではと心配していたぐらいです。
さらに手間取っている間にライバルの1つであるJJPはセントレア発着の路線を拡充し、さらに夜間の駐機・整備も可能にする拠点化を2018年3月に整えました。実績のあるJJPの攻勢に押され、「2020年度に8機体制として、以後は年間5機のペースで増やしていく」と豪語していた勢いはどこへやら、2019年3月にようやく3号機を受け取ってから停滞してしまいます。

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<ハイペースで路線拡大を進めていたジェットスター・ジャパン。成田・関西・中部に拠点を持つ日本最大規模のLCC

そして2020年、例のCOVID-19の世界的流行で利用者は壊滅的なまでに減少。他社がわずかずつでも便数を戻して移動需要を取り込む中、エアアジア・ジャパンは回復軌道に乗ることができませんでした9月の運航路線は中部~札幌(新千歳)のみ、運航日は12・13・19~22日のたった6日間とおよそ定期路線を持つエアラインとは思えないほどです。使われた機体も3号機だけ、4連休が終わるとまた全便運休となっているので、このまま人を乗せて空を飛ぶ姿を見ることはなく終わってしまいそうです。

セントレアならいつでも行ける」
「就航したばかりだし慌てて撮ることはない」
と余裕をぶっこいていた結果、あさかぜはエアアジア・ジャパンの写真をほとんど撮っていません。「日常記録は大切」などと言っておきながらこのザマです。趣味人として反省せねばなりません


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<手元に唯一あるエアアジア・ジャパンの写真。一番奥に1号機が写っている>

いずれにせよ来週にあるかもしれない正式な発表を待たねばなりませんが、今後連鎖的に運航を取りやめる航空会社が出てこないことを願うばかりです。日本経済に与えるダメージも大きなものとなっていきますし。
まさかこんな形で幕を下ろすことになろうとは、去年の今頃は全く想像もしていませんでした。1つの疫病が世界中のありとあらゆることに影響を与えるなんて…

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<元から調子はよくはなかった中・長距離部門のエアアジアXは、ウイルスの影響でさらなる窮地に追い込まれている>