しばらく前のブログ記事で書いたとおり、2020年8月13日でファーウェイの既存機種に対するTCL(Temporary General License Rule=一時的一般許可証)が期限切れとなりました。9月15日からはアメリカ由来の技術を用いた半導体部品の購入も認められなくなり、ファーウェイはスマートフォン製造において重大な危機へと陥っています。
…つまりどういうこと?
横文字と漢字を並び立てればいいってものではありません。以前の記事と内容がかぶる部分もありますが、簡単に箇条書きにすると以下のようになります。
・ファーウェイのスマホにはアメリカの技術を使った部品を使っちゃダメ。
・アメリカ由来のアプリもダメ。
・つまりGoogleがデフォルトで用意するGmailとかGoogleマップとかPlay Storeとか(→GMSと呼ぶ)もダメ。
・いきなりダメにしても問題があるから、しばらくの間はすでに出ている機種は製造してもいいし、GMSも載せてよし。→TCL
・TCLは2020年8月13日で期限切れ。以降は使っちゃダメだし提供してもダメ。
<左がHuawei P20。価格の割にスペックがよくとても使いやすい端末だったのだが…>
まぁAndoid自体は誰でも使える「オープンソース」なので、それをベースに自社でOSを開発すればいい話。ファーウェイは”HarmonyOS”とやらを「自主開発した」と言って回っていますが、ベースは従来通りAndroidと言われています。
日本をはじめGoogleの恩恵を受けられる国では全く得をしませんが。
問題は9月15日からの制裁内容。
・アメリカの技術を使って作った部品も、ファーウェイは許可無く使っちゃダメ。
ファーウェイに限らずどこのメーカーも、高い技術を必要とする重要な半導体部品は専門のメーカーに製造を委託しています。ファーウェイは台湾のTSMCや中国のSMICというメーカーに製造を委託しており、純粋な中国の技術ではこの2社に並び立つことができていません。
そのファウンドリー2社が使っているのはアメリカの技術を使った製造機械。特にTSMCの技術は圧倒的に高いようです。今まで抜け道のようにTSMC製の部品を使えていたのが、新たな規制によって買い付けることも事実上NGとなりました。遅れている中国の技術では現在のような性能を保つことはとてもできず、つまりスマートフォンを作ることすらままならない状況というわけです。
アメリカはかなり本気でファーウェイを潰しにかかっているのがわかります。
アキレス腱を抑えられたファーウェイの行方 - WEDGE Infinity
スマートフォンが作れなくなったのはここではオマケの話なので置いておきましょう。次から買うことはないのですし。それよりユーザーとして問題なのはGmailやGoogleマップなどの特にGMSアプリのアップデートです。
本来ならTCLが切れた以上、GMSのアップデートはできないはず。とはいえ利用者はもちろん、Googleとしてもセキュリティ上の問題が判明したときに対応できないので、ファーウェイ端末を野放しにするのは避けねばなりません。
結局アメリカ政府とどう折り合いをつけているのかはわかりませんが、2020年9月23日現在でもGmailなどのGMSアプリは新しいバージョンへのアップデートが提供され続けています。アンインストールしても再インストールできるのかはさすがに試していませんが…
<P20のPlayストア画面。9月23日時点でも各Googleアプリのアップデート表示が並ぶ>
ファーウェイ端末の所持者としてはいつまでアップデートやサービスそのものが提供されるのか、曖昧で見当がつかず困ってしまいます。明確に「○月×日でサポート終了、以降はアップデートは提供しない!」と言い切ってもらった方が、次の端末を探すという意味ではむしろ楽なんですけどね。
どのみち今の米中事情や中国共産党の横暴を考えると、次の端末に中国メーカーのものを選ぶことはありませんけども。
<右は中国のOPPO・Reno A。たまたま安く買えたものの情勢的にメイン端末として使うのは避けたい状況。ただのゲーム機と化している>