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おはようございます、朝風呂を済ませて朝食の時間です。レストランの朝食は1,000円のバイキング。
社会人になって数える程しかない良いことの1つに、朝ごはんがしっかり食べられるようになったことが挙げられます。学生時代ならもったいなくてとても有料の朝食なんて手を出せませんでした。
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中高年の集団が過ぎ去ったあとなのか、レストランは静かな空気。デザートに加えて優雅にお茶まで飲んで、こんなに時間にゆとりのある朝ごはんなんていつ以来でしょう。
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さて、朝の散歩で甲板に出てみましょう。
朝風呂をした時にもうわかってはいましたが、濃霧の中を「いしかり」は航行しています。ロビーにあるモニターによれば内浦湾のあたりにいるはずなのですが、数百メートルの視界しかないために何もわかりません。
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見渡す限り淡いグレー…
陸地のある方向を写してはいるのですが、何も見えません。あさかぜのイメージでは、朝の爽やかな甲板に出て「あそこは室蘭の地球岬かな。北海道に来たなぁ!」なんて旅情にひたるはずでした。
苫小牧港に入港するまであと2時間、どれほど天候は回復してくれるのでしょうか。
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甲板にいても湿気がすごいだけなので、ベッドに戻ることにします。大浴場の向かいにあるゲームコーナー。
フェリーにはだいたいこうしたゲームコーナーがありますが、どれもこれも年季が入ったものなのか不思議で仕方ありません。
「いしかり」の就航は2011年と割と最近なのに、ゲーム筐体に映る映像は90年代半ばという感じ。あえてオジサン世代のために残しているのか、単純に新しい機械が出ないのか…
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くじ引きマシンのような機械では、景品の1つにハンディマッサージャーが用意されていました。
うーん、でも「船内での体の凝りをほぐす」というコンセプトではなさそう。商品名にもCuteとか出ちゃってますし。長距離フェリーは少子化にも歯止めをかける存在なのでしょうか…?
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その辺にしておきましょう。
ベッドに転がったり荷物をまとめたりしているうちに、船は苫小牧港へと入ってきました。あと15分ほどで接岸です。朝からの濃霧で遅れているのではと心配していましたが、そんな信頼性の低い乗り物ではないようで何よりです。
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午前11時前、苫小牧港フェリーターミナルに接岸しました。定刻より少し早いぐらい、15時間半にわたる船旅は思いの外あっという間。こんなに快適な移動手段があるなら、もっと早くに試しておくんでした。
飛行機や新幹線に比べれば遥かに鈍足な移動手段には違いありませんが、ゆったりと食事ができて、体を伸ばして眠れて、入浴もできて、と設備は文句のつけようがありません。時間さえ許せば、フェリーの旅は最高です。
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さて、苫小牧港からは3方向へバスが出ています。
ごった返しているのは札幌ゆきの高速バスのりば。近くに北海道中央バスが1台待機していますが、明らかに乗り切れる人数ではありません。
そこそこ空いているのは新千歳空港ゆき。道内各方面への航空便への接続を想定しているのでしょうか。
そして札幌ゆきの列に隠れて見えなくなっている苫小牧駅ゆきの道南バスのりばには、数名だけが待っていました。今日は回り道をしていく予定なので、苫小牧駅へと出ることにします。
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港から駅までは20分ほど。乗る列車まではまだ40分ほどありますが、特に暇をつぶすような場所はないのでひたすらホームで待つのみ…ここまで来てドン・キホーテへ行っても仕方ありませんし。
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室蘭ゆきの特急「すずらん」。これから乗る普通列車より10分ほど早く出るだけなのに、室蘭への到着時間は50分ぐらい変わってきます。
せっかくだからキハ40系に、と思って特急は見送るつもりでしたが、今や貴重になった785系に乗った方が良かったかも知れません。
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キハ40かと思ったら君か…
去年のクリスマスに函館へ行けず泣く泣く札幌へ折り返した、苦々しい思い出が蘇ります。洞爺から東室蘭まで戻ってきた時の車両こそ、まさにこのキハ150形でした。
最初から「すずらん」にしておけば良かったと思わなくもありませんが、費用節約の旅行でもあるのでこれでいいのです。
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移動にかかる費用は多少ケチケチしても、ちゃんとした食べ物のためにケチってはいけないというのは、学生時代を過ごしてからの教訓です。
あまり時間はありませんが、室蘭駅に着いたら脇目も振らず駅前の「ちょいす 室蘭店」へと駆け込みます。室蘭から苫小牧にかけて展開する回転寿司チェーンだそうで、初めて入ってみました。
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お昼のピークを過ぎた14時過ぎということもあり、残念なことにウニもイクラも品切れ…せっかく北海道に来たのに残念です。
その辺りは最終日に回すとして、かにみそやタコなど6皿を食べてさっさとお会計。何せバスまで乗り継ぎ時間は20分しかないのです。あれにしようか、これにしようかと悩んでいると時間がとても足りません。
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無事に地球岬団地ゆきの道南バスに間に合いました。天気は期待できないものの、せっかく室蘭に来たのならば景勝地のひとつぐらいは見ておかねばなりません。
室蘭駅前からはバスでおよそ20分。斜面に張り付くようにして団地や戸建ての並ぶ、閑静な住宅街がここ地球岬団地のようです。本州でついていたら「何を大げさな名前を」なんて思う団地名ですが、北海道なら納得がいく不思議。
バスが上がってきた道の先を上へ登っていくと、10分ちょっとで「金屏風」という景勝地を通ります。朝日が射すと反射して断崖が金色に輝くので金屏風というそう。
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金屏風から右に折れて、さらに山を登っていきます。さすがに歩いて地球岬まで行く物好きはいないらしく、みんなクルマでアクセスしています。そもそもこの辺りはクマとか出ないですよねぇ…?ちょっと怖くなります。
地球岬団地のバス停から歩くこと20分ちょっとで、地球岬の駐車場に到着。というか有名な観光地なんだから、道南バスもここまで来てくれればいいんじゃないの、とは思いますが…
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んー、広い!
直径約50kmにもなる内浦湾の奥、遠くの方に低くうっすらと見えるのは渡島半島です。左の端の方に行けば函館があるはず。晴天ならもっとくっきり見えたことでしょう。
手前に見える白い灯台が「チキウ岬灯台」で、1920年から海の安全を守り続けている重要な建物です。残念ながら年1~2回程度しか内部公開はされず、もちろん今日は公開日ではないので外から眺めるだけです。灯台の光が達する距離は24海里、およそ44キロ。Wikipediaでは28海里となっていますが、ここでは設置された看板の数値を信じることにします。
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展望台の上に立つと、まさに断崖絶壁といった雰囲気。今日のところはそんなに波は荒くないようですね。
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反対側を見ると室蘭の市街地が見えます。室蘭市は道内でも有数の工業都市で、室蘭港という天然の良港も抱えて発展した街です。近年では工場夜景を観光の柱の一つとして売り込んでおり、機会があれば見てみたいところです。
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どこの観光地にもありがちな「幸福の鐘」は地球岬にもありました。お金がかかるのでしょうが、上に掲げられている地球を模したモニュメントに比べるとずいぶん小さく見えますが…
あまり力を込めなくても耳をつんざくような音。
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雲が少しずつ晴れて、駒ヶ岳らしき山裾が見えてきました。渡島半島にそびえる活火山です。晴れていればおそらく美しい緑色の姿を見せてくれたことでしょうが、今は雲をまとった不気味な出で立ちを見せつけてきます。
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バスへの時間調整でボーッと景色を眺めていると、柵に人が集まり始めました。双眼鏡を構えている人もいます。そういえば先程の案内看板には「イルカやクジラが見られることもあります」なんて書かれていましたから、もしかしたら…?
よーく目を凝らして見てみると、10頭ぐらいのイルカが泳ぎ回っているようです。
しかしさすがに遠い。イルカの影は見えましたが、手持ちのレンズでは点にしか見えません。拡大してかろうじて背びれとわかる写真を載せてみましたが、アップローダーの解像度ではおそらくなにもわからないでしょうね。
もっと崖側に近づいてくれないものかと願ってはみたものの、座礁の心配もありますから、あまり浅いところには近づいてこないようです。
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イルカを眺めていたら思いの外時間が無くなってしまいました。早足でバス停へと戻ります。先ほど通った「金屏風」のところを左に降りると地球岬団地ですが、まっすぐ10分ほど歩くとトッカリショというまた別の景勝地と海水浴場に出るそうです。
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まるで関東で見そうな路線名ですが、ここは北海道。
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想像していた以上に山がちな地形です。地球岬からはずっと急な坂を降りてきました。団地の家々は斜面に沿うように並ぶか、平地を選んで集合住宅を建ててあります。
はるか奥に見えるのが室蘭港の入口を跨ぐ「白鳥大橋」、東日本で最も大きな吊り橋です。この橋のおかげで、室蘭市内をぐるりと循環できるようになったそうです。
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地球岬団地のバス停まで戻ってきました。学校帰りの子どもたちがちらほらいる他は、人通りも少なくとても静かです。
バス停の前は広場になっていて、バスの転回には余裕の広さ。15分ほど待っていると折り返しのバスが到着しました。
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再びバスで20分ほどかけて市内に戻ってきました。まだ札幌へ戻るには早いので、少し暇つぶしをすることにします。見えているのは旧室蘭駅で、現在の室蘭駅よりも1kmほど海沿いにあります。明治45年に建てられた北海道で最も古い鉄道駅舎で、国の有形登録文化財にも登録されている由緒ある建物です。1997年まで現役で活躍していました。
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後ろを振り向くと立派な石造りの鳥居が見えました。「室蘭八幡宮」とあります。せっかくですから見に行ってみましょう。
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立派な石段がずっと山の上へと続いています。
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ぜえぜえ言いながら5分以上階段を上がってくると、ようやく社殿が見えました。
室蘭の総鎮守とされ、鯨漁の利益で建てられたことから「鯨八幡」なんていう愛称もついているとのこと。
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振り返ると立派な参道が続いています。すでに足が軽くガクガクしていますが、またこれを戻るのかと思うとちょっとイヤになります…
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現在の社殿は昭和13年、1938年に造営されたものの様子。銅板葺の立派な屋根は緑青が浮いて、荘厳な姿になっています。
交通安全祈祷のための自動車のアクセス路が用意されているようですが、そこを通ると遠回りになってしまうので大人しく先ほど登ってきた階段で戻ることにします。
旅の無事と今後の充実を祈願し、山を下ります。
御守などもあるか気になりましたが、残念ながら社務所は今日のところは開いていないようでした。
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再び長い階段をヒイヒイ言いながら下って、旧室蘭駅に戻ってきました。今日だけで結構な運動量になっているはずです…
軒先に張り出した屋根は「がんぎ」と呼ばれ、駅としてはもちろん建物そのものとしても珍しい形なんだとか。
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構内は広々としたホールになっていますが、この日は写真展が行われており、所狭しと力作の貼られた衝立が並んでいました。
そのホールの端には、ショーケースに入れられた駅で使われる道具の数々が飾られています。帽子や釣り銭をセットする箱、カンテラと言われる合図灯など、時代が進んでモノは変われどやっていることに変わりはありません。
むしろ今の時代は「本業」以外のことも多くなり、駅員とは何なんだろうなと思うときもしばしばあります。
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久しぶりに見た日本航空の旧旧ロゴ。海外の航空会社はしばしば合併前の旧塗装なんかを再現していますが、日本ではなかなかやってくれませんねぇ…
グレーの横帯の入ったJALカラーは幼少期の思い出なので、B767やB777の引退時にはぜひとも復刻して欲しいカラーリングです。
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旧室蘭駅は観光案内所になっています。そこのカウンターでは札幌方面への高速バスチケットも扱っていたので助かりました。大谷地駅までの券を購入し、バスが来るのを待ちます。
ついでに北海道ならではの「コアップガラナ」を飲んで渇いた体に水分補給です。
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毎時1本程度運転されて便利な「高速むろらん号」。前情報では「満席になることはほとんどない」とのことでしたが、東室蘭駅では満席になり補助席まで使うほど。
ただ途中からは増便も行うようで、補助席に座っていた人たちも後続便へと乗り換えていきました。
大谷地からは市営地下鉄ですすきのまで移動し、いったんホテルへチェックイン。たまたま予定があった後輩たちと合流して、毎度のごとく「だるま 6.4店」で気分良く夕食です。肉を喰らい、ビールを飲み干し、近況報告に花を咲かせます。
明日は朝早くからのスタートです。