この頃すっかり話題に上らなくなっていたスカイマーク。エアバスA380発注の違約金、エアバスA330のリース契約への違約金などによって、債務の総額は3,000億円を超えています。実際は企業からの「これだけ損失を被った」という申し出を足した額面がこれということですが、大きく額面が減ることって言うのはあり得るのでしょうかね…?
経済に詳しくないのでわかりませんが。
ともあれ、投資ファンド「インテグラル」が当面の資金を提供し、スカイマークの飛行機はいまも安全に日本の空を飛べているわけです。
問題は、今後の支援を続けていく企業の選定。
支援が有力視された会社として、日本の航空大手である日本航空と全日本空輸、マレーシア拠点のLCCエアアジアが挙げられます。
アメリカのデルタ航空は「経営が安定してから共同運航を検討する」としていますので、金を出すと言ったのは日航と全日空、エアアジアといえます。
この他にも異業種からの名乗り出もありましたが、有力視されていたのはやはり航空会社でした。
航空会社がスカイマークを欲しがるのは、もちろん理由があってのこと。それがよく言われる
「羽田空港の発着枠」
という代物です。
羽田空港は日本で最も発着数の多い空港。年間の発着回数は30万回に上ります。離着陸の数は1日平均820回。単純に24時間で平均しても34回、実際は国内線は朝から夜までしか飛びませんから、日中はひっきりなしです。
首都空港ゆえ、航空会社としては需要が見込める羽田発着の便数を増やしたいのは山々。だがしかし、羽田の容量的に各航空会社には発着数の上限が定められているのが現状です。その上限が「発着枠」というもの。
話題のスカイマークの発着枠は36。1日あたり36往復までなら飛行機を飛ばしていいですよ、という内容です。もちろん、使い切れなければ返上し、他の航空会社へと回されますから、発着枠というのは厳しい争奪戦の中にあるわけです。
この36という数字はどこの会社にも魅力的。ライバルより少しでも多く飛ばせれば、座席数も稼げますし、利便性でもアピール可能。自分のものにならなくても、「コードシェア」という共同運航のやり方で自社の座席数と見せかけの便数を増やすこともできます。スカイマークに手を出せれば、羽田~新千歳、福岡といった高需要路線を増強できる。
そういうわけで、日本航空グループも全日空グループも、虎視眈々と「SKY」の座席を狙っていたわけです。
ちなみに羽田空港の発着枠はLCCには与えない、と国土交通省からの宣告があったため、エアアジアは候補から脱落しています。
ただ、国土交通省は支援にいい顔をしません。結局、日本の航空大手が手を出せば、第三極として奮闘してきたスカイマークがどちらかの陣営に加担する。そうなれば、公正な競争のためにスカイマークの発着枠を削り、相手の陣営に渡す可能性も出てきます。
また、日本航空は多額の税金を投じて経営再建をしたばかり。他社に支援の金を出すような立場になるにはまだ早い。
最新の報道では、過半数となる50.1%は投資ファンド「インテグラル」が出資。全日空の属する「ANAホールディングス」は発着枠に影響しない約20%の出資率とし、残り約30%はANAと関係のある銀行や投資ファンドが出資する。出資額の合計は180億円、ということでようやくカタがついたようです。
様々な思惑などで遅れに遅れたスカイマーク支援策ですが、ようやくここに固まった様子。
LCCがすっかり市民権を得た中で、スカイマークがどういう立ち位置で復活していくのか。スカイマークの一利用者として、とりあえずは5年後の姿に期待するとしましょう。