あさかぜみずほの趣味活動記録簿

旅行記や主に飛行機の写真をひたすら載せ続ける、趣味のブログです。たまに日記らしき投稿もあり…?

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2022年10月18日 フライト・オブ・ドリームズ

>>中部国際空港【後編】はこちら<<

 

カメラの望遠レンズを広角レンズに付け替え、小走りで第2ターミナルの方へやって来ました。T2と隣接したフライト・オブ・ドリームズへはT1から徒歩で5分以上かかります。

B787を間近で見られるフライトパークは17時までの営業。急げ急げ…

 

www.centrair.jp

 

 

平日の閉館30分前ということもあって、1階の「フライトパーク」はかなり空いていました。

エントランスを入ってまず真っ先に目に飛び込んでくるのは、施設の目玉であるBoeing 787-8 Dreamlinerの飛行試験第1号機。全長56.7m、全幅60.1m、全高16.9mというのは知識の上で知ってはいても、やはり実物を間近に見るとその迫力に圧倒されます。

 

 

B787のエンジンは、ゼネラル・エレクトリック製GEnxとロールスロイス製Trent 1000エンジンから選択可能。双方の構造の違いは昨日の「あいち航空ミュージアム」の記事をご覧ください。

飛行試験1号機に装備されているのはTrent 1000。元々は1~3号機まで全てローンチカスタマーのANAに納入される予定でしたが、所定の性能を満たしていないとしてANAは受領を拒否しました。もし初号機が納入されていればここで間近に見ることはできなかったと考えると、ヒコーキオタクとしては運命の巡り合わせに感謝せざるを得ません。

なお両エンジンのインターフェースは共通になっていて、GE←→RRとエンジンを入れ替えることが可能な構造です。普通はメーカーを越えた互換性なんてないのが当たり前ですから、B787独自の画期的なシステム
今のところそれをやった航空会社はありませんが、今後中古機として取引されるようになったら、入れ替えるところも出てくるのかも?

 

機体の横に設置された階段を上がって機内へ。

外側に出てくる旅客機の客用ドアですが、実は開口部より大きく造られています。ドアを閉めるときは少し斜めにして機内に取り込み、内側から押しつけるようにしてロックする仕組み。
飛行中は与圧による機外との気圧差で、外側へ猛烈に強い力が働きます。内側から押しつけることでドアの構造を無理のないものにすることができますし、まかり間違ってもドアがイタズラで開けられることもないわけです。

 

さすがに入れるのはコクピットの直後のデッキ部分だけコクピット本体も客室も入ることはできませんが、現役で活躍する機種のコクピットを間近で見ることができるのは感動ものです。

コクピットのモニタは正面に4面、手前側に1面の合計5面。それぞれのモニタは情報を分割して表示することも可能になっていて、技術の進歩を感じさせます。
ちなみにB787の操縦をコントロールするコンピュータのベースはWindows Vistaとどこかの文献で読んだ記憶がありますが、果たして何だったか…

 

B787の前部胴体は川崎重工業が製造を担当しています。これはその川重によるモックアップ

窓部分だけが展示してありますが、実際には筒状の胴体が一体で成形されているのがB787の特徴です。カーボンファイバーと接着剤で一体成形された部品は、長さ30mもある巨大なオートクレーブで圧力をかけて焼き上げられます。

この窓部分はわざわざ一体成形された胴体部分を切り出して展示しているのだそう。一体成形とすることでリベットでの固定が大幅に減り、構造の単純化や軽量化ができるようになりました。

 

www.khi.co.jp

 

 

その機体各部の材料となるカーボンファイバーの糸も展示されていました。高度な技術を要するものだからか、それともデリケートなものだからなのか、触れないようにガラスケースの中に収められていましたが…

B787では機体重量の50%が「炭素繊維強化プラスチックCFRP」、いわゆる「カーボン」でできています。「たった半分?」と思えるかも知れませんが、カーボンの比重は軽いですし、重たいエンジンを含めた状態での半分ですから、目に見える部分のほとんどはCFRPでできているといっても過言ではありません

部品には、この糸に樹脂の接着剤をしみこませてシート状にした「プリプレグ」を何層も重ねて使います。B787で使うカーボンファイバーは全て東レが供給。

 

www.itmedia.co.jp

 

 

B787のもう一つすごいところは徹底してエンジンからの抽気をなくしたことです。
機内では我々が息をできるように与圧されていますが、その空気はエンジンから抜き取ったものを使うのが普通です。簡単に圧力をかけた空気が抽出できる一方、せっかく圧縮した空気を横から取られてエンジンの効率としてはどうしても落ちてしまいます。

そこでB787ではエンジンからの抽気のほとんどを廃止し、代わりに大型の発電機を活かしてコンプレッサーで機内に空気を送り込んでいます
しかしB787のあとに出たエアバスA350では従来通りエンジンからの抽気で与圧しているので、まるっきり電動コンプレッサーに頼るのも都合が悪い部分があったのかもしれません。

 

大量の電力を使う分、大容量のバッテリーを装備することも必要になったB787機体に搭載するバッテリーはやはり日本のジーエス・ユアサコーポレーションが担当しました(バッテリーを含めた全体のシステムはフランスのタレス社が納入)

こうした日本企業が機体全体の35%を担っているという背景があって、試験飛行の第1号機「ZA001」が中部国際空港へ寄贈される流れになったわけです。2015年6月22日にセントレアへ最後のフライトをこなし、翌月には正式にボーイングからセントレアへ寄贈。
しばらくは空港の片隅に置かれていたものの、2017年にいよいよ建物の中へと収められ、翌年10月から「フライト・オブ・ドリームズ」で恒久的に展示されています。

 

近年では当たり前になった薄型のシート昔からある分厚いシートとほとんど座り心地が変わらないにもかかわらず、足下をはじめ圧迫感が大幅に軽減されているのは素晴らしい技術です。

クルマのシートを作っていた知見を生かし、航空機用シートにも進出したトヨタ紡織B787ではカタログに採用されるほどの代表的製品になりました。

 

www.toyota-boshoku.com

 

 

こちらは日本航空の近距離国際線のビジネスクラスでしょうか?
少し古い国内線「Class J」シートにも見えますが、マルチタイプの電源ってありましたっけね…?

 

ランディングギアを間近でしげしげと観察することができるのもこの施設ならではです。
まぁ脚部分の緩衝装置をなめ回すように見ながらニヤニヤしている人なんて、ヒコーキオタク以外にはいないと思いますが…

ノーズギアの下から覗くと、最終のフライトに関わったパイロットや整備士のサインが書かれています。いろいろな人から愛されてきた飛行機だったんですね。

 

そろそろ閉館時間の17時が近づいてきたことですし、まだまだ観察したいところはあるものの、展示エリア「フライトパーク」をあとにします
展示施設を出てすぐにあるボーイングのオフィシャルストア「BOEING STORE」は18時まで、周囲にあるレストランやカフェなどは17時以降も営業しているお店があります。

コーヒーを片手にTrent 1000エンジンを近くで観察することのできる場所なんておそらくここしかないはずですから、セントレアに行く機会のある方はぜひ堪能していただきたいものです。

 

www.centrair.jp

 

 

そういえば結局何も食べないまま夕方5時を回ってしまいました。さすがにお腹が空いて仕方がないものの、ひつまぶしの価格を見て少々怖じ気づくあさかぜ…
しかも新幹線に乗る前にきしめんを食べようと考えているので、どのみちひつまぶしでは量が多すぎます。

フードコートの一角に軽食としてちょうど良さそうな富士宮やきそば 柴ふく」があったので、とりあえずそこで空腹を癒すことにしましょう。

 

www.centrair.jp

 

 

しばしば「全国B級グルメ選手権」といったランキングの上位に入る富士宮やきそばコシのある太い蒸し麺をラードで炒め、イワシから作った削り粉がかかっているのが富士宮やきそばにおおよそ共通する点だそう。キャベツがしっかり噛み応えがあるのがいいですね。
本場ではやきそばをおかずにご飯を食べたりお酒を飲んだりもするそうで、主食という位置づけでないことも多いのだとか。

そう言われると実際に富士宮へ出かけて、ご当地の富士宮やきそばをちゃんと味わってみたくなります。行ったことのある職場の後輩にでも聞いてみようかしら。

 

だいぶ控えめな量でしたが、とりあえず空腹感をある程度解消することができたのでヨシとしましょう。来たときと同様、名鉄に乗って名古屋駅まで戻ります

運良くパノラマカーでも来ないものかと思ってググってみたら、1000系「パノラマスーパー」は臨時列車やよほどのダイヤ乱れがないとセントレアには入ってこないそうですね。座席数や荷物置き場の関係なのでしょうか。

 

20時過ぎの新幹線を予約していましたが、これといってやることもありませんし帰りを早めることにします。こういうとき、乗車変更が何度でもオンラインでかけられる「EX予約」はものすごく便利!

そして名古屋駅のホームでかきこむ「きしめん。以前冷たいメニューを食べたこともありましたが、やはりダシと鰹節の香りが立ち上る温かいメニューがおいしい。真夏であってもついつい熱いものを選んでしまいます。

 

たまたま名古屋で入れ替わったので窓側の席が確保できましたが、帰りの新幹線「のぞみ」はほぼ満席…周囲はビジネスマンだけでなく家族連れの姿も目立ちます。

幼稚園児ぐらいの子供が座席で暴れているのを止めもせず、通路を挟んでマスクもつけずに大声で会話している家族がそばにいて閉口しますが…
一見してまともな知性を持ち合わせていないのが丸わかりですし、そういうのはどう正義感が働いたところで無視するに限ります。関わり合いになって不快な思いをするだけでなく、ケガをさせられたりしたら元も子もありませんから。
運が悪かったと思って、イヤホンをつけてYouTubeでも見て気を紛らわせましょう

1時間半ちょっとで品川に到着。新幹線の速いこと…!
帰りの車内で会社の同期から「明日スクートのポケモン来るけど撮りに行かないの?」というお呼び出しが来たので、懲りずに明日も飛行機づくしが確定です。