伊勢湾の真っ青な海が眩しい…!今日は日差しがさんさんと照って風が穏やかなので、少し暑いなと思うぐらいに暖かくなりました。
湾内には坂手島(さかてじま)、答志島(とうしじま)、菅島(すがしま)、神島(かみしま)と人が暮らす大きな島が4つあり、駅の近くにある鳥羽マリンターミナルから市営の定期航路が運航されています。
昨日の志摩スペイン村でも紹介した近畿日本鉄道の企画券「まわりゃんせ」にはこの定期船の利用も可能なので、お時間が許す方は湾内の島々にも足を伸ばしてみるとより楽しめることでしょう。
鳥羽駅から歩くこと10分ちょっと、鳥羽水族館に到着しました。
展示されている生き物はおよそ1,200種類と日本最多。年間入場者も90万人以上を誇る、三重県を代表する集客施設の1つです。
鳥羽水族館の特徴は館内の広さや展示の豊富さはもちろんのこと、見て回るのに順路がないこと!
好きな生き物のところへ直行するもよし、気になった展示にまた戻るもよし、気のまま思うがままに見学できるところが大きな魅力のひとつです。
穏やかな顔をしたこの丸っこいイカは「コブシメ」。なんだか生きているうちから調理済みみたいな和名ですが、食べ物ではなく「クブシミ」という沖縄の方言が変化したもの。たくさん墨が取れる大きなイカという意味だそうで、関東ではそのまま「スミイカ」と呼ばれています。
沖縄では高級イカとして出回っているそうで、機会と予算があれば食べてみたいですね。
オーストラリアの池などに生息し30cm以上にもなる大型のザリガニ「マロン」。稀にこの展示にいるような真っ青な個体が産まれてくるのだそうです。とても自然のものとは思えないほど鮮やかな青色をしていて不気味なぐらい。
ちなみに水槽の説明書きによると、ゆでると赤くなるのだそうです。そこは普通のザリガニと同じなんですね。現地では食用としても養殖されているとのこと。
ゲーム「どうぶつの森」をプレイしているとたまに川で釣れるアロワナが泳いでいました。こちらはアジアに暮らす種類だそう。
淡水魚でありながら世界の広い地域で化石が発見されている魚の仲間なので、世界の大陸が陸続きであったことを示す証拠の1つと考えられているとか。
岩の上ではトドが気持ちよさそうにひなたぼっこしています。ガラスの向こうから人間に観察されてもお構いなし。
スナドリネコもお昼寝中…大きなネコも穏やかに寝ているとかわいらしく見えますね。
英名ではFishing Catと呼ばれるスナドリネコは、水かきつきの前足で魚やザリガニ、貝類を捕まえて食べる珍しいネコの仲間です。生息地は主にアジア南部。和名は漁をするという意味の“すなどる”という言葉が由来で、漢字では「漁り猫」と書きます。
飼育エリアにはスナドリネコの子供も展示されていました。仔猫といってもほとんど大人と変わりないサイズまで育っていましたが…
箱の中にくるんと丸まって眠っているところはネコらしい。
スナドリネコの展示の近くにはドクターフィッシュもいました。説明書きの通り手を水の中に入れてみると、一瞬にして5cmぐらいの魚がわらわらと集まってきてあさかぜの手をついばみます。
ちょこちょこと吸い付いてきてくすぐったい…!
ちなみにドクターフィッシュは通称で、正式な学名はGarra rufaという広くはコイの仲間です。
のべーっと起きているのか眠っているのかわからないミシシッピワニ。
ワニというとどうにも凶暴なイメージを抱きがちですが、ミシシッピワニは比較的温厚で魚を主に捕食して暮らしています。といってもシカなどの大型の哺乳類を捕まえることもありますし、人間の子供が襲われて死亡する事故も起きていますから、どのみちむやみやたらに近づくものではありません。
サッカーボールで遊んでいるスナメリの赤ちゃん。
スナメリは日本の沿岸にも暮らす小型のイルカで、体長は大きなものでも2mほどにしかならないそうです。浅い砂地に集団で暮らしていることから魚を捕る網で混獲されてしまうことも多かったようで、昔に比べると生息数はだいぶ減っているとみられているとか。
3つの亜種がありますが、いずれも絶滅危惧種に指定されています。
スナメリは水族館でよく見るバンドウイルカなどと違って、大きな背びれがないツルンとした体つきをしています。
小型のアザラシがいっぱい泳いでいる水槽に来ました。水槽を見ている人間たちをからかうかのように、みんなスイーッと泳ぎ抜けていきます。
たまにやけに人なつっこいヤツがこちらをじーっと見ていることも…
バイカルアザラシは淡水域に生息する唯一のアザラシで、大人になっても体長1.2m、体重は50~90kgほどにしかなりません。
ちらほら人間にすり寄ってくるところ、なんとなくイヌっぽさを感じます。
すさまじい人混みができている場所がありました。ちょうどラッコのお食事タイムだったようで、愛らしいラッコの食事風景を一目見ようと多くの人が押しかけていました。
今やラッコが飼育されている水族館は、福岡県のマリンワールド海の中道と鳥羽水族館だけ。
ほとんど自分の目で見ることができなかったので、あとでまた見に来ることにしましょう。
建物の屋上は屋外飼育エリアにもなっています。日差しが心地よいのでしょう、アシカは周囲を歩く人間に目もくれることなく爆睡。
2階の一角には「へんな生きもの研究所」という薄暗い展示スペースがあります。世間的に注目を集めるほどではないものの、不思議な見た目や生態をした水中の生き物が紹介されているエリアです。
一時期ダイオウグソクムシが爆発的なブームを呼びましたが、鳥羽水族館にはその親戚のオオグソクムシが展示されています。本州以南の深海にも生息していることから、割と日本人には身近な存在ともいえるようです。
ちなみに食用にもなり、揚げると濃厚なエビの風味がするのだとか。うーん、かなり抵抗がありますね…
「人魚の財布」とちょっと神秘的な名前がつけられているのはナヌカザメの卵。鮫の赤ちゃんは1年間、この鞘の中で成長してから産まれてきます。
よく見ると中に赤ちゃんが入っているのがうっすら見えるはず。たまに中で動く様子も見られるので、足早に通り過ぎるのではなくぜひじっくり見て欲しい展示です。
「インスタ映えします」と書かれた解説にクスッとさせられるウミウシの仲間たち。色鮮やかな姿を見ると「きれい!」と思わず写真を撮りたくなる気持ちはよくわかります。
『英名は「海のナメクジ」…色鮮やかなので、ちやほやされているだけかも。』という解説文の容赦なさにさらに笑わせられます。
調べてみると本当に英名は sea slug で、疑いようもなく海のナメクジでした。
やたらめったら目を支える部分が長いカニがいました。その名も「メナガガザミ」。いったいどういう理由でこんな目が離れた姿へと進化してきたのでしょうか…?
ちなみに今は“収納”されている状態で、活動するときはVの字型に目が立ち上がるようです。その姿も見てみたかった。
お食事タイムが終わってしばらく経ったので、ラッコのところまで戻って来ました。先ほどのすさまじいまでの混雑とは比べたら人影はかなり減りましたが、それでもそこそこ人が集まっているのを見ると人気っぷりがうかがえます。
なおラッコのお食事タイムは9:40・13:20・16:20の1日3回。そこを外せば泳ぎ回る姿を落ち着いて見ることができます。
といっても胸元に抱えた石で貝を割って食べる姿がラッコの本領?なので、それをみすみす見ないというのももったいない気がしますけども。
先ほども述べたとおり、日本で飼育されているラッコは2カ所3頭だけ。
ラッコは毛皮目的の乱獲など、人間の活動によって大幅に数を減らしてしまいました。絶滅危惧種の管理の中では最も厳しい部類に分けられており、現在は水族館の展示のような、学術的な目的を外れた捕獲・展示が禁止されています。
各地の水族館水族館では繁殖の取り組みも進められてきましたがどうにもうまくいかず、ラッコの高齢化が進んで今や繁殖も不可能。水族館でラッコが見られなくなるのも時間の問題どころかカウントダウンが始まっています。
ここ最近は保護活動が功を奏して、数が増えたり生息域が拡大したりしている様子。まだまだ絶滅の危険性が高い状態ではあるものの、何十年かすればまた水族館で見られる日が来る…のかもしれません。
>>つづく<<