あさかぜみずほの趣味活動記録簿

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実現に近づいてきたジェイキャスと、謎なままのフィールエア

2024年1月に運航を開始した新潟空港拠点の「トキエア TOKI AIR」。
安定的な収益の確保など課題はあるものの、航空会社の新規参入が非常に難しい日本において定期便就航にこぎ着けただけでも大きな成果を上げています。

 

tokiair.com

 

新潟~丘珠・仙台便のダブルデイリー化、2024年9月27日には3路線目となる新潟~名古屋(中部)便を週4便で開設を達成。3号機となるATR42-600(JA03QQ)のデリバリーも秒読みとなっていて、新規エアラインとしては上々すぎて心配になるぐらい成長しています。

そのトキエアが設立されたのは2020年7月、その後2022年6月にフィールエアホールディングス、2023年6月にはジェイキャスエアウェイズという地域航空会社が立て続けに立ち上げられています。先行して運航実績を積み重ねているトキエアに比べて後発組2社がどうなっているのか、上っ面だけですが見てみることにします

 

 

<新潟~丘珠便のダブルデイリー化を果たしたトキエア。ATR42ばかりが発着する丘珠空港の中で一回り大きなATR72はかなりの存在感>

 


このうち、就航が現実味を帯びているのがジェイキャスエアウェイズ。最後発のように見えますが、屋号が現在のものになったのが2023年6月のこと。元となるジェイ・キャスの設立は2018年10月トキエアよりも2年近く先行していたことになります。

 

www.jcas.co.jp

 

資金面の壁は特に高かったようで、就航に向けた準備資金のクラウドファンディングを行ったり、それも目標額に全く届かなかったりして、事業実現への難しさを物語っていました。
トキエアと違って地方空港が拠点というわけではなく、就航地の自治体や企業からの支援が多くなかったというのはあるでしょう。

 

地方が拠点だと集客力という課題が出てくるので、大都市に隣接する関西国際空港をジェイキャスが拠点にするのは間違っているとも思いませんが…

 

ともあれ、しばらく音沙汰がなかったジェイキャスは2024年7月にATR72-600のリース契約締結を発表し、就航に一歩近づいたことがわかりました。
2024年9月には新たに3億円の資金調達ができたことも発表され、事業開始に向けた資金の確保という点では一段落ついたようです。

上記の資金調達のプレスリリースでは2026年春に関西~富山・米子への路線開設が明記され、今後は山陰地方の企業からの出資を目指すなど、さらに歩みを進めていくことでしょう。

 

 

対照的によくわからない存在のままなのがフィールエアホールディングスです。

 

www.feelair-hd.jp

 

2022年7月の英ファーンボローエアショーにて、突如としてATR機36機分のLOI(Letter of Intent=基本合意書)を取り交わして日本のヒコーキオタクを驚かせた同社。
実際の運航は傘下の子会社に委託し、そこが「フィールエア」の名を冠するフランチャイズ方式になるとか。発表では「フィールエアEAST」「フィールエアWEST」など複数の子会社を設立する計画が示されました。

 

将来的な路線網も日本各地の広範囲に及び、さらには国際線も目論むなど計画だけはかなり野心的です。大風呂敷すぎて実現性のほどは「???」ですが…

 

www.aviationwire.jp

 

実際に成田を拠点にすると言われている「フィールエアEAST」は2022年8月に設立されています。しかし例のLOI以降ニュースらしいニュースはなく、企業情報を見ても意識の高そうな理念が書かれているばかりです。

 

ちなみに“ホールディングス”も“EAST”も本社が何度か移転しており、2024年9月現在では両社とも千代田区内の雑居ビルの中に本社を置いています。ちなみに両社の代表は同一人物。
Googleストリートビューの写真を見る限りでは、失礼ながらヒコーキを36機も買う意思のある航空会社が構えるにはあまりに小さなビルです…

 

<ATR72よりも少し小さなATR42。標準座席数は48席と小回りが利くサイズなので、地方路線を中心に活躍の場を増やしている>

 

就航予定の2024年になっても全く具体的な話が出てくることはありませんでしたが、8月になってsky-budget誌がようやく新情報を報じました。

 

sky-budget.com

 

それによると、フィールエアはATR42・72ではなく、より小型の機体で事業を開始するのだとか。


記事の中で触れられている「N類」というのは、最大離陸重量(MTOW)8,618kg以下、乗客数19人以下という分類。8,618kg以下という中途半端な数字は、航空業界で標準のヤード・ポンド法に治すと19,000ポンド未満というキリのいい数字になります。
分類を小さなものに下げることで、パイロットの操縦資格や事業許可が取りやすくなるのかもしれません。

 

2024年9月現在、N類の飛行機(固定翼機)で定期路線を持っているのは、調布飛行場を拠点に伊豆諸島への路線を運航する新中央航空(NCA)のみ
同社のドルニエ・Do228は乗員2名・乗客19名・MTOW6,400kgとまさにN類ドンピシャの機体なので、フィールエアが導入しようとしている機材はこれぐらいのサイズになることが想像できます。

 

新中央航空が運航しているドルニエ・228。2010年以降はRUAG社が製造を引き継ぎ、コクピットやプロペラを改良した228NGシリーズ(写真)が作られている>

 

もう1つ候補として挙がりそうなのはバイキング・エアの製造するDHC-6“ツインオッター”。こちらも乗員2+乗客19・MTOW5,670kgとN類の大きさで、日本では不定期チャーター便ながら第一航空が2機保有しています。

 

この2機種から、あるいは全く違う機種から選ばれるにしても、N類では当初の予定だったATR42(標準48席)やATR72(標準72席)と比べたらずいぶんと小規模な輸送力にとどまります。
LOIを交わした以上は将来的にはATR機を導入することを目指してはいるんでしょうけどね…

 

<ツインオッターはボンバルディアから製造権を引き継いだバイキング・エアが製造する。舗装されていない滑走路でも離着陸できるような堅牢な造りが特徴的>

 


なおそもそもこの「N類の機体から始める」という内容自体、sky-budget誌だけが報じている情報で、業界の雑誌・ウェブサイトにはあさかぜが探した限りどこにも載っていませんでした。
フィールエアの公式ウェブサイトに至っては2022年7月19日のLOI締結の件以外は何もプレスリリースが出ていません。

 

sky-budget誌が掲載しているのでまぁ事実なんだろうなぁとは個人的に思っていますが、“フィールエア”ブランドそのものの実現性そのものも含めて野次馬根性で眺めていきたいと思います。

 

就航が現実味を帯びてきたジェイキャスエアウェイズは応援したくなりますが、いきなり壮大な計画をぶち上げておいてあとは実態不明です、といわれてしまうと、オタクとしてはどうにも好きになれませんね…