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時刻は朝の6時前。かなり早起きをして歩いてきました。
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本当は大阪発長野ゆきの特急「しなの」に乗りたかったのですが、前回のダイヤ改正で残念ながら運転取りやめになってしまいました。
新幹線でササッと移動してしまうのも味気ないので、近鉄特急を利用してみます。すでにホームには6:00発の名阪特急が待っていますが、これは見送り。1本あとの多停車型の名阪特急を待ちます。
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近鉄は車両の区別が細かすぎて、形式がさっぱりわかりません。
写真は9820系という、「シリーズ21」というグループの一角を成す車両。このシリーズ21というのもクセモノで、素人には外見から形式の違いがさっぱりわかりません。
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8810系という奈良線へと入っていく車両。Wikipediaを見る限りでは試作的要素も強そうな車両です。しかもこの車両の量産タイプが9000系や9200系を名乗っているというのを見て、理解を諦めました。
識別灯の光り方で種別を表す、というのは関東の人間にとってはなかなか新鮮です。
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6:30発もアーバンライナー+での運行です。近鉄では速達型を「甲特急」、多停車型を「乙特急」という分け方をしているそう。この列車は名阪乙特急です。
欲を言えばビスタカーか汎用車のACEに乗ってみたかったところですが、幸か不幸かいつも通りのアーバンライナー。
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乗るならやっぱりデラックスシートです。+510円でこの快適なシートは魅力的。
リニューアルによってシートは座面と連動してリクライニングする電動のクレイドルシートになっており、座った途端に眠くなります。
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運転台は今や懐かしの縦軸式ツーハンドル。リニューアルによって「アーバンライナープラス」の名称が与えられているとはいえ、まもなく30年選手の大ベテランです。今なお名阪特急の顔として活躍し続けるのは大したことですが、そろそろ後継車両のアナウンスが聞こえてきてもおかしくはないところです。
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地上に出てゴミゴミした鶴橋周辺を抜けていくと、だんだん景色は郊外の雰囲気に。
旅情が出てきたところで朝ごはんにします。連日の食事で著しく野菜が不足しており、珍しく体が野菜を欲しています。
このあと名古屋できしめんを食べるので、内容は軽めに。
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右へ左へとカーブしながら高さを稼いでいきます。なかなか他の私鉄では見られない本格的な峠超えです。
昔から難所であった「青山峠」。単線の青山トンネルで峠を越えていましたが、輸送力の限界が来たために1975年に複線の新青山トンネルが完成し、現在に至ります。
特殊な架線の吊り方をしており、西へ向かう列車は時速130kmで通過することができるようになっています。
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だんだん名古屋に近づいてきました。四日市の工業地帯が見えてきます。
ここまでほとんど乗客がおらず、静寂を保っていたデラックスカーが騒がしくなってきてしまいました。四日市から乗ってきた家族連れが騒がしいの何の…上級シートというのはお金で静粛性を買っているようなものですが、それを邪魔されてはたまったものではありません。自分の子供たちが騒いだり走り回ったりしても、注意しない親も親です。一緒になって歩き回ったりしていますし。
連休中なので仕方がないとはいえ、マナーが守れない人たちには困ったものです。
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最後の最後で気分を害されてしまいましたが、列車は定刻通り近鉄名古屋に到着。
新幹線「のぞみ」ならば新大阪~名古屋間は50分ぐらいで走破するのに対し、名阪乙特急で要する時間は2時間半。3倍以上の時間をかけたわけですが、快適な座席のおかげで疲れを感じさせません。緑がたくさんある山の中を走り抜ける旅行感も、新幹線ではなかなか味わえない独特の雰囲気のものです。急ぎの移動に疲れた方は近鉄特急のご利用もいかがでしょうか。
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本日2度目の朝ご飯です。名古屋に来たらやはりきしめんを食べねばなりません。「名古屋で一番おいしいきしめんは名古屋駅の新幹線ホーム」とも言われるほどです。
その新幹線ホームにあるのと同じきしめん「住よし」は、在来線のホームにも3店舗開設されています。他のきしめん屋に行ったことがないのでわかりませんが、名古屋で降りる機会があるときはほぼ間違いなくここに寄っています。
おすすめは「いか天きしめん」。注文するとそこからイカ天を揚げてくれるので、アツアツのまま天ぷらを食べられます。
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6月に後継車両の開発が発表されたキハ85系。現在は高山を経由して富山へ抜ける特急「ひだ」と、紀伊半島の南端にある紀伊勝浦までの特急「南紀」に使用されています。
JR東海はとりあえず30年間リニューアル工事を行わずに走れる車両を作る、という方針が根底にあるようで、後継車両も2019年頃の登場を予定しています。
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紀伊勝浦へ向かって発車していく「南紀」。車両下部のスカートにやたらごつい装備がついていますが、これは鹿除けだそうです。
紀勢本線は鹿を中心に野生動物の出現が多く、列車にぶつかるといちいち車両側の安全の確認をしてから運転再開、万が一にもブレーキ管に異常が出ようものなら運転中止、と大きな事態に発展することも。その状況を避けるために大きなクッションを装着し、ぶつかっても車両側の被害を抑え、鹿をそのまま線路の外へ押し出せる装備がこれなのです。
あさかぜも北海道で乗車中の特急が鹿にぶつかるという体験をしましたが、そのときも10分以上安全確認のために停車しました。スマートとはいえませんが、列車の安全と定時性を守るには今後有効な道具となっていく…のでしょうか。
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連休中で、所定6両編成の「しなの」は今日は10両編成で運転です。さぞ混んでいるのかと思いきや、指定席は6割程度の利用でしょうか。あさかぜの隣も来ていません。折り返しの午後の列車が混むのでしょうか。
10時ちょうど、名古屋を定刻通り発車。今や懐かしさを感じる、初期のVVVFインバータ音を響かせながら中央本線を東へと向かいます。
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名古屋近郊を離れれば、窓の外はまたのどかな田舎の風景。振り子車両の性能を生かして、山間のカーブをハイスピードで走り抜けていきます。
早起きと満腹感でうつらうつらしているうちに、気がつけば塩尻まで来ていました。青春18きっぷを使っていた学生時代は名古屋からここまで、中津川で乗り継いで3時間以上かけていましたが、特急なら2時間。
確かに抵抗なく特急列車に乗れるような経済力は身についたとはいえ、時間に追われのんびりと普通列車での旅行ができなくなったことを思うと、それはそれで一抹の寂しさを感じます。大学生をあと4回できたらなんて思うこともありますが、叶わぬ願いです。
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県内第2の都市、松本を過ぎてしばらく。山の上に登っていった列車の視界が急に開けます。「日本三大車窓」に数えられる善光寺平の風景です。今日は天気がいいので善光寺平こと長野盆地の景色がはっきりと見えます。
普通列車の止まる姨捨駅からは善光寺平をじっくりと眺められるそうですが、幸か不幸か「しなの」はさっさと通過して走り抜けてしまいます。それでも長野ゆきの場合は進行方向右側、名古屋ゆきの場合は左側に合計2分程度善光寺平を眺められるので、せっかくならそちら側の席を取ってみるのも楽しいと思います。
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名古屋から3時間、終点の長野に到着。通ったのは3月以来ですが、今回は善光寺にはいかずのんびりと温泉に入りに行きます。本当は善光寺も見たいところですが、時間の関係で今回はパス…
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このところしなの鉄道は115系のリバイバルカラーに力を入れています。写真は昔の新潟色。このバリエーションを撮影して回るのも面白そうです。
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JRの改札を出て地下通路を歩いてくると、長野電鉄の長野駅に出てきます。まずは窓口できっぷを購入。
今日使うのは「日帰り楓の湯クーポン」。1,860円の発売額の中に、長野電鉄の往復分と終点の湯田中駅にある町営温泉「楓の湯」の入浴券がセットになった乗車券です。運賃だけで片道1,160円ですから、破格の料金設定です。しかも本来なら特急料金100円が必要な特急列車も、料金不要。利用に必要な条件は、楓の湯で利用証明のハンコをもらうことだけ。素晴らしい。
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元営団地下鉄3000系が停車していました。日比谷線での現役時代を知らないので大きな事はいえませんが、きっと地下鉄の駅に停車している光景はまさにこんな感じだったのでしょう。NAGADENのロゴと赤帯が入っている以外は原型そのものの姿。
わざわざ東京メトロが長電から再び買い上げ、原型の姿に復元して車庫にしまいこんであるそうです。車庫の一般公開の時に見られたりするのかわかりませんが、あの会社の車両基地公開は基本的にファミリー向けなので、独身のあさかぜには入れないイベントなのです…
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湯田中まではもちろん特急を使います。1000系「ゆけむり」と改めていますが、車両は元小田急10000形「HiSE」。ロマンスカーにたった100円の追加料金で乗れるのですから、贅沢なものです。当然展望席も同じ100円。
たださすがに土日で小さな子供が展望席に座っています。そこにズカズカと大きなお友達が割り込むわけにはいかないので、録音趣味もかねて2両目に着席。
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ほぼほぼ小田急時代のままの車内。座り心地やデザインに様々な工夫を凝らした最近の座席に比べると、さすがに古くさく感じられます。
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途中駅の信州中野が路線の区切りとなっており、普通列車のほとんどはここで両方向へ折り返し運転になります。特急はそのまま湯田中へ。信州中野からは同じ長電の木島線が伸びていましたが、2002年に廃止されています。また手前の須坂から屋代線という路線もありましたが、こちらも廃止済み。現在は長野~湯田中間の長野線のみが存続しています。
信州中野を過ぎると上り坂続きとなっているのがはっきりわかります。
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長野から45分で終点の湯田中に到着。以前は勾配の関係でホームを通り過ぎ、バックをして停止位置に戻るという変わったY字形の配線になっていました。そのため、終着駅にもかかわらず駅の先に踏切があり、列車が到着すると必ず駅を通過してくるという不思議な光景が繰り広げられていたのです。
2006年、元HiSEが入線するのに伴いこの不便な状況の解消が図られ、1ヶ月かけてホームの新設と延長が行われます。以前のホームは使用されず、2つあった線路は1つにまとめられて新しいホームからの乗り降りに変更されました。加えて、踏切の先にあった留置線も廃止。きわめて「普通の駅」へと生まれ変わったのでした。
当時の湯田中駅の様子はこちらのホームページに詳しく解説されています。
http://1st.geocities.jp/kyama1031/20060831_yudanaka/suitsutibastuku.htm
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駅を回り込む形であるのが、山ノ内町営の「楓の湯」です。
http://www.town.yamanouchi.nagano.jp/kaedenoyu/index.html
掛け流し天然温泉、入浴料は1回300円と破格です。今回はクーポン券で来ているので、お金はかかりません。タオルだけ100円で購入し、お風呂でゆっくり体を伸ばします。
湯田中の温泉街はここからバスでしばらく行かないとたどり着かないので、あさかぜのような乗りつぶし目的の人間にとってはこうした施設はとてもうれしいもの。
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Google Photoに同期しておいたら、きれいなエフェクトをかけてくれたのでこちらの写真を使うことにしました。
立ち入ることはできないものの、湯田中駅の旧ホームはきれいに保存されています。「木島」「屋代」という文字に時代を感じます。
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こちらが現在使われている湯田中駅の駅舎。駅前のコーヒー店が店内にも販売スタンドを設けており、ちょっとした観光の玄関口になっています。駅前からは志賀高原へと向かうバスが出ています。
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帰りは元「成田エクスプレス」の253系改め2100系「スノーモンキー」に乗車します。2011年から導入されたもので、253系の設備をほぼそのまま使用しています。ただしトイレや洗面所は使用できません。
長野方の先頭車はJR時代にグリーン車だったものを個室部分を除いて普通車に改造したため、回転式リクライニングシート。残る2両は集団見合い式(=回転不可)のシートになっていて、それもJR時代のまま。特急料金100円なら贅沢ですが、近年までこの設備に高額なA特急料金を払っていたと思うとぼったくりもいいところでした。ちなみに個室部分は長野電鉄で唯一となる指定席で販売されています。
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快適なのは長野方先頭車ですが、せっかくですからモーター音を聞きながら長野に戻りたい。というわけであえて登場時の原形を保つ2号車に乗車。ドア付近にはちゃんと行き先表示案内に加え路線図もそれっぽく配置されており、不覚にも胸が高鳴ってしまいます。
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行き先表示も凝っています。「A特急」「スノーモンキー」という表示は長野電鉄のものですが、全体的な雰囲気は253系の表示にそっくり似せています。
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253系の内装ってこうなっていたんですね。幼少期から沿線に住んでいるあさかぜですが、「成田エクスプレス」は停車しない区間だったので1度も乗ったことがないのです。通過するのをただ眺めていた特急電車に今こうして長野県で乗ることになるとは、考えたこともありませんでした。
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再びリンゴ畑を眺めながら長野へと戻ります。空も晴れ渡っていい景色です。
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長野駅に戻ってきたので腹ごしらえです。
JRの改札口を出て右側、善光寺口へ向かう途中にあるのが「ナカジマ会館」という立ち食いそば。2007年に閉店し、2015年に復刻という形でオープンしたきれいな立ち食いそばのお店です。やはり長野と言えばそばの名産地ですから、そばを食べなければ。3月に来たときは時間がなくて食べられませんでしたしね。
オーソドックスに天ぷらそばをチョイス。あさかぜの貧相な舌では本当のそばの味なんてよくわかってはいませんが、そばどころで食べるというだけでなんだか味わいが違ってきます。
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長野駅から「しなの」自由席で松本へ移動してきました。幸いにして座れましたが、連休最終日となれば自由席も満席。この先の「スーパーあずさ」はどうなっているのでしょう。
松本でお土産や酒を買い込んで降りてきてみれば、自由席には長蛇の列。E351系12両編成をもってしても明らかに座れない人数です。小さな子供を連れた家族旅行とおぼしきグループもいますが、連休中で自由席を取らないというのは大きな誤りのような気がします。始発駅なら座れると思うのは無理もないところですが…
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12月からE353系が運行開始という報道がありました。まだJR公式からは発表がないものの(10月26日に公式プレスリリース。この旅行記が投稿される頃にはすべてE353系に)、いよいよ引退が目前に迫ってきているようです。
しかしE351系は12両編成713席に対して、後継のE353系は12両編成674席と約40席(うちグリーン車だけで20席)も減ることになります。何もない平日ならまだしも、このような連休中に40席の違いというのは大きいように感じられます。バリアフリー設備や荷物置き場の関係から仕方がありませんが。
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恒例のカップ酒とおやきの時間です。おやきは買うときに言えば温めてくれるので、車内でもよりおいしく食べられます。
ちなみに指定席も満席。遠くなる2号車でさえ、大混雑の自由席車両からあぶれた人たちが指定席のデッキにも座り込んでいる、なかなかつらい光景が広がっています。車内が混みすぎていて、車内販売は後方の指定席以外は回ってこられないという案内が流れる有様。自由席の光景は想像に耐えません…
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3月の時と同様、大幅に遅れて新宿駅に到着。考えてみれば今日1日で大阪から長野へ抜けて温泉に入って東京まで戻ってきたわけで、ずいぶん濃縮された盛りだくさんな旅程でした。昨日の昼には美しい佐渡の景色を眺めていたことを思うと、大慌ての旅行に社会人としての悲哀を感じざるにはいられませんが…
悲嘆に暮れていても、ここまで戻ってきたからにはもう一目散に家に帰るしかありません。いつもいつも旅行の終わりには、翌日から再開される現実に寂しさと悲しさを感じてしまうものです。