いよいよアメリカが本気を出してきています。
米商務省がHuaweiに事実上の「禁輸措置」 スマホやタブレットへの影響は?
https://www.itmedia.co.jp/mobile/spv/1905/22/news059_0.html
要約すると、
・HUAWEIの中国本社と、その関連会社68社を「エンティティリスト」に追加。これには日本法人も含まれる。
・リストに追加された企業や国家への取引は、アメリカ商務省の承認が必要。ただし、承認申請は拒否が原則。
・部品に限らず、サービスも対象=GmailやMapなど(Google Mobile Service=GMS)も規制対象
・Googleの承認が必要な、Playストアを介したアプリのダウンロードも規制対象
・発売・発表済みの機種には引き続き一連のサービスを提供する予定(Google発表)
・AndroidのOS自体はオープンソースなので使えるし、アップデートもおそらく可能
・ただアップデートした後にGoogleのサービスは受けられなくなるのが濃厚
といった具合です。
とりあえず90日間の猶予が認められたとはいえ、ファーウェイ端末のユーザーからすれば何とも先行き不透明な展開になってきており、不安しかありません。
端末の心臓部となるSoCは、ファーウェイの場合は子会社のハイシリコンで製造しています。同社の取引先の中には、今回の制裁に関係するIntel(インテル)やQualcomm(クアルコム)の名前があります。内製化ができているとはいえ、少なからず2社の部品が使われているのでしょうから、どう転ぶかはわかりません。
またOSについても、ファーウェイは(Androidベースと言われていますが)独自OSの開発をほぼ完了したと言っており、これに関しては影響は少ないものと思われます。
仮に内製化が完璧で独自OSを載せられるのであれば、中国国内で販売するのはさしたる問題はないことでしょう。元からGoogleは中国でサービスを展開していませんからね。グローバルな販売が苦しくなるので現状の規模を維持することは不可能でしょうが…
最も煽りを喰らうのは、AndroidとGMSの環境が必須となる非中国のユーザーになるわけです。
…なんて具合に、よくわからない敗北感を味わいながらニュースを追っていたら、さらに暗雲立ちこめる情報が出てきました。
ファーウェイのスマホ事業「崖っぷち」、英アーム制裁追随の深刻度
https://diamond.jp/articles/-/203554
このArmというメーカーは、世界中の9割にも上るスマホ端末にアーキテクチャを供給している企業です。アーキテクチャというのは半導体世界の基礎の設計図のようなもので、それをベースにソニーやらサムスンやらファーウェイやらが独自の機能を加えた「建物」を作っていくわけです。このArmからアーキテクチャの供給を受けられなければ、新たなSoCや端末の開発ができなくなってしまいます。
当初Arm社はイギリスの企業なのでファーウェイの制裁には関係ないと思われていました。ところが同社の開発拠点はアメリカにあるために制裁の基準に引っかかったようです。
基礎を作れなくなる以上、建物が建てられずにっちもさっちも行かなくなります。高度な技術の必要なアーキテクチャの内製化など、とても簡単な話ではありません。いよいよファーウェイは新端末の開発さえできない状況になりつつあるわけです。
どうやらmicroSDカードもWi-Fiも、標準化団体が規制の関係で資格を制限しており(ファーウェイ、SDカードやWi-Fiの標準化団体から追放か 今後のスマホ開発に暗雲 https://japanese.engadget.com/2019/05/24/sd-wi-fi/ )、世界で標準的に使える端末ではなくなってしまいそうな様子です。
おそらくWi-Fiの標準化ができないということは日本の技術適合基準もクリアできない可能性も…?
ユーザーとしては頭が痛い話ですが、最終的にどこまでOKかを判断するのはアメリカ商務省ですし、アメリカという国です。
国家間の争いで無関係な国の末端ユーザーが影響を受けているのは勘弁してほしい話ではありますが、残念ながら強大な勢力の前では我々はどうにもしようがありません。
果たしてZTEのように巨額の制裁金を払わせて手打ちとするのか、Huaweiが倒れるまで徹底徹尾制裁を行うのか、それはもうアメリカという国の一存に委ねられています。
下手すると買ってたった半年でただの薄型カメラに成り下がるのかもしれないと思えば、P20ユーザーとしては暗澹たる思いを抱かざるを得ません…