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夕方のラッシュがそろそろ始まる頃。大荷物を抱えた人が多く見受けられる5番線へと上がってきました。17:12発予定、寝台特急「北斗星」の入線まであと10分ほど。
個室寝台の車両の前には長い列ができていますが、前方の開放B寝台の方はまばら。人気がないのでしょうかね。
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新千歳空港から快速「エアポート」が到着。札幌で向きを変え、旭川ゆき特急「スーパーカムイ」となります。
利用者が多い区間を走るため、片側2ドアの特急型車両では乗降にも時間がかかります。733系の投入はこの「カムポート」の運用をなくすためじゃないか、という噂もありましたが、今のところは以前と同じく1時間に1本が運転されています。
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札幌発上野ゆき、寝台特急「北斗星」が入線しました。DD51形機関車2両を先頭に、24系25形客車が連なります。
乗車車両は1号車1番下段。昔ながらの開放式の寝台です。
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今となっては珍しくなった寝台列車とあって、入線前にも停車後のホーム先端にも、多くの人が写真を撮りにやってきます。
うーん…それにしてもフラッシュを焚く人が何人も。鉄道車両の先頭に向かってフラッシュは禁物、というルールを知らない人なのでしょう。暗くなったとはいえ、フラッシュは御法度。運転士の目を眩ませる危険な行為です。
むしろそういうことをやる人は、普段は鉄道を撮らない故にルールを知らない、一般の人が多いようです。
まぁ自分がクルマを運転してて、いきなり道路際からフラッシュを焚かれたらどうなるか、常識的に考えればわかりそうなものですが。周りに配慮できない自己中心的な人たちなんでしょうね。
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「北斗星」を牽引するDD51形ディーゼル機関車。青い車体に金色の帯、そして側面には特徴的な星のイラスト。よく見るとぼかし塗装になっています。
漢字の「函」はJR北海道の函館運輸区を、その隣の「重」は重連(機関車2台を連結して動かすこと)を意味します。途中の急勾配や、列車の高速性を維持するために、北斗星はDD51形の重連が引っ張ります。
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機関車の後ろに連なる青い24系25形客車。
2015年3月の廃止もささやかれていますが、果たしていつまで残ってくれるのでしょう。車齢から見てもそう長くはありませんが…
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今回乗車するのは、開放式B寝台の1号車。欲を言えば個室が良かったのですが…きっぷを取りに行った頃にはロイヤルは当然のことながら、Bソロまでいっぱい。
まぁ昔ながらの寝台列車の旅を味わうために、開放式B寝台もいいかもしれません。
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幼少期、九州の祖父母のところには寝台特急「はやぶさ」で帰省していました。通路の壁から引き出すイスに腰掛けて、富士とか静岡の駅名標を眺めていたのを今でも思い出します。
やがて帰省が新幹線「のぞみ」に代わり、さらに飛行機の時代へ。
いつの間にか東京発九州方面の夜行列車は絶滅し、祖父母も亡くなり、いよいよ九州に縁がなくなってしまいました。何とも寂しいものです。
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幅の狭いベッドが2段、向かい合わせて配置してあります。1号車のみ4人のコンパートメントとして扉が閉められるようになっていますが、さすがに扉は開放位置でロックされていました。
シーツ、毛布、枕、浴衣が備え付け。浴衣は着ないのでその辺に置き、寝具だけセット。上着もハンガーで引っかけます。
収納が少ないのが泣き所。ベッドの下にはほとんど何も置けません。
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向かいのベッドには誰も来ません。独り占めでうれしいような、誰も来なくて寂しいような…
途中機関車のブレーキ異常で非常停止し、8分遅れで函館へと向かっていきます。途中駅でも個室車両のあたりは乗客がいますが、前はやはりほとんどいません。
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さて、駅弁を開けましょう。まずは「うにめし」。ウニの入った炊き込みご飯の上に、蒸したウニが載っている、ひたすらウニだけのお弁当。
うーん…
味が薄い。繊細な味といえばそうなのかもしれませんが、あさかぜにとっては薄味を通り越した薄さ。ご飯ばかりいっぱい詰まっていて、途中で飽きてしまう味です。
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「北の海 幸づくし」。
新千歳空港でも売っているようです。ウニ、カニには別添の醤油を、上半分はマグロの漬けとイクラの醤油漬けになっていて、バラエティ豊かな味が楽しめます。いかにも北海道という味。これは気に入りました。
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22時前、遅れを取り戻せないまま函館に到着。ここで札幌から牽引してきたDD51形ディーゼル機関車を切り離し、反対側におそらくED75形電気機関車が連結されます。
函館と青森の間は、青函トンネルを通る都合上進行方向は逆。
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先ほど発車した函館でも、このコンパートメントにはついに誰も乗ってきませんでした。次の客扱いは早朝4時半頃の仙台。つまりはここから先は誰も乗ってこないということです。
配慮して自分のベッドの上にまとめていた荷物を向かい側に置き、広々と足を延ばして横になります。おそらく読書灯の位置からして通路側に頭を向けるのが本来の寝方なのでしょうが、外の様子がわかるように窓の方に頭を向けます。
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青函トンネルに入りました。ひたすら窓の外を蛍光灯が流れるだけの景色になったので、いよいよやることがなくなります。
就寝前のトイレを兼ねて、車内をうろついてみます。リニューアルされたものの、車両はやはり国鉄時代。各所に時代を感じさせるパーツがいくつも。
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せっかくなので、幼い頃の思い出に浸るため上の寝台によじ登ってみました。幼少期は難なく上っていた梯子も、大人になって体も固くなった今は、逆にこんなに高かったんだと思うぐらい。
両親は上段のベッドにあさかぜを寝かせてくれませんでしたが、その気持ちは今になってわかる気がします。
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青函トンネルを抜け、日付が変わる頃。想像以上に遠かった青森に到着。ここで再び進行方向が変わります。
乗客の乗降を行わない「運転停車」なので、ホームに出ることはできません。青森到着前に見えた青いEF510形500番代が連結され、一路上野へ。
ちなみに会社の同期が大阪発のトワイライトエクスプレスで札幌へと向かっていますが、彼が青森に着くのは午前2時過ぎ。惜しいところで離合はできません。
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わずかに聞こえる、機関車のインバータ音に耳を澄ませながら就寝。そもそも乗客の少ない1号車は静かです。
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停車の衝動で目を覚ましました。午前6時前、福島に到着です。
昨日はお金をケチったので、ディナータイムもパブタイムも食堂車へ足を踏み入れる機会はありませんでした。せっかくですから、朝食ぐらいは食堂車で食べたいもの。
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営業開始とほぼ同時に食堂車へ。昨日はほろ酔いの人たちに埋め尽くされていたロビーも、早朝で閑散としています。
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何両も車両をわたって、食堂車「グランシャリオ」に到着。
朝食のメニューは洋食と和食の2種類。値段はどちらも1,620円。まぁ食堂車ならこんなものでしょう。少したどたどしいNREのお姉さんが注文を取りに来たので、洋食メニューを注文します。
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まずサラダ。昨日からろくに野菜を摂っていないので、すごく生野菜がおいしく感じられます。
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少ししてメインが持ってこられます。
ハッシュドポテト、スクランブルエッグ、ソーセージ、ハムとよくあるオーソドックスな感じ。そこに別の皿でバターデニッシュ。デザートは夕張メロンのゼリー。あまり朝食を食べないあさかぜにとって、かなりの量。ふうふう言いながら食べきります。
列車はいつの間にか郡山を過ぎ、栃木県へと入ります。
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朝食代を支払って自分の寝台に戻れば、あとは終点の上野に着くまでひたすら待つだけ。
通路側の車窓には那須の山々が広がります。新幹線であれば1時間ほどで着いてしまう距離ですが、「北斗星」はまだ2時間以上かけて走ります。
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午前8:10過ぎ、栃木県の県庁所在地宇都宮に到着。もはやここまで帰ってきてしまえば「東京近郊」。
駅構内に居並ぶ車両が見慣れたものになり、旅の終わりが近づいていることをイヤでも実感します。
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午前9:05、大宮に到着。
…どうにも様子がおかしい。
先に発車するであろう、隣のホームのE231系が出ていきません。ホームの案内放送に耳を澄ませると、京浜東北線日暮里で人身事故のため、上野方面が運転見合わせとのこと。つまりあさかぜはここで足止めというわけです。
急ぎでもないですし、車内に長くいられる分には別に構いません。荷物をまとめたりしながら発車を待ちます。
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結局20分ほど遅れて大宮を発車。終点上野まではあと30分もありません。
車窓右側に田端運転所と尾久車両センターが見えてくると、もう上野は目の前です。
「北斗星」は上野到着後、機関車に押されてバックで尾久車両センターに入庫し、夕方まで整備清掃を受けます。そして再び下り「北斗星」として、札幌に向けて夜通し走ります。
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9:38着予定が大幅に遅れ、午前10時前に終点上野に到着。ドアが開くなり、多くの人が先頭部に駆けつけEF510形機関車と記念写真を撮っていました。
これだけ開放寝台が空いているなら、次も何かの折りに乗ってもいいかもしれません。
…なんて思っていたら、「北斗星」が15年3月のダイヤ改正で廃止という報道が。北海道新幹線の開業が翌年に迫ること、そして車両そのものの老朽化が原因とか。そもそも「北斗星」「カシオペア」にEF510形500番代が導入されたときも、最終的にはJR貨物に機関車を売却することが念頭に置かれていました。
いよいよ寝台列車という存在が過去帳に入るときが近づいています。おそらくお名残乗車の人々で開放B寝台までいっぱいになる日もまもなく。
今回が最初で最後の「北斗星」となってしまうであろう旅でした。