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いきなりA319の機内から始まります。
何も日本に帰国するわけではありません。今日から約4日間、ドバイへ一人旅です。
バーレーン~ドバイ間には来るときに乗ったエミレーツ航空の他に、バーレーン国営のガルフエア、LCCのフライドバイが就航しています。今回はせっかくなので、中東で一大規模を築いていたガルフエアに乗ってみることにします。
過去形なのは、今や栄光の時代が終わってしまったから。
共同出資していたドバイも、アブダビも、カタールも、オマーンも、みんな自国のエアラインを設立。現在はバーレーンのみが出資しており、事実上のバーレーン国営航空です。
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飛行機の窓に綺麗さは期待しませんが、それでももうちょっと何とかならなかったのかという視界。
さすがにバーレーンとあっては、金色の鷹が描かれた垂直尾翼がズラリと並び、なかなか壮観です。機体も前半分は金色に塗られ、金の取引の多い中東各国を象徴しているかのようです。
しかし、フラッグキャリアが中東随一の都市ドバイへ向かうというのに、飛行機は小型のA319、しかもボーディングブリッジではなくバスでの移動とは…
ちょっと期待はずれな感じです。
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バーレーン国際空港は、ムハラクという地区に置かれています。過去はこのムハラク島がバーレーンの中心であり、王宮(当時は首長なので厳密には違いますが)もムハラクに置かれていました。
現在は写真奥に見えるように、ムハラクではなくバーレーン島に中心が移っており、高層ビルなどが立ち並ぶ姿になっています。
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ちょうど昼時ということもあり、機内食が出されました。
来る時のエミレーツ航空に比べると、随分質素です。ちなみにチキンサンドイッチ。緑の袋にはベジタリアン向けのサンドイッチが入っているそうです。
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約1時間ほどでドバイ国際空港に到着。今度はしっかりとボーディングブリッジが横付けされます。
近くのスポットにはサウジアラビア航空が。他にもカタール航空やシリア航空、ブリティッシュ・エアウェイズなど、世界各国の飛行機が空港を彩ります。
シリアと聞くと身構えますが、農作物が普通に運ばれているあたり、おそらく紛争は都市部だけなのでしょう。いずれにせよ、観光客がフラッと立ち寄るような場所でないことは確かですが。
ドバイは入国料が取られませんし、観光客は30日までビザなしで入国可能。パスポートだけ、白い服を来たアラブ人の入国審査官に渡します。
「どこから来たの?」
「日本です」
「直接?」
「いや、バーレーン経由で」
「ふーん」
そっけない態度でパスポートを返されます。
アラブ人のそっけなさはいつものこと。もう慣れました。「Thank you.」とパスポートを受け取ってドバイ入国完了です。
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せっかくなので、地下鉄でうろついてみましょう。
「シルバーカードをくれ」
と窓口で言ったら、どうやら僕の発音が悪かったらしく、1日券を渡されました。
ここはエミレーツ航空以外が発着する「ドバイ空港第1ターミナル(Airport Terminal 1)」。人影もまばらですが、電車が到着するとスーツケースを持った人々で少しだけ混雑します。
一般利用客にさほど浸透していないのか、日本の地下鉄駅とはだいぶ異なる光景です。
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ドバイメトロの車内。列車は5両編成で構成されており、1両はゴールドクラス(上級クラス)と女性・子供専用車、残りの4両がこのようにクロスシートとロングシートの混在した一般車両になっています。
せっかく1日券がありますので、いったんレッドラインの東の端、Rashidiya(ラシディヤ)駅へと行ってみることに。
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ドバイメトロは完全無人運転を実施中。運転士や車掌はおらず、改札と案内のための係員だけが乗り込んでいます。きっぷはすべてタッチ式のICカードに統一されており、とても近代的。
車両や運行システムは実は日本製。三菱系の会社が主導で建設を行い、車両は近畿車輛が担当。足回りは三菱電機が架装しています。
そのせいで、走行音は日本のE233系などとそっくり。なんとも異国情緒にかける雰囲気です。
なお、集電方式は第三軌条方式を使用。空中には架線がなく、すっきりとしています。
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Rashidiya駅から30分ほどメトロに乗ると、ドバイ最大のショッピングモールの最寄り駅、Burj Khalifa/Dubai Mall(ブルジュハリファ・ドバイモール)に到着します。
ドバイモールまでは少し距離があるので、駅前からバスに乗車。先ほど空港駅で購入したチケットは、ドバイのメトロと市内バス共通。機械にタッチすればそのまま乗れます。
ドバイの気温はバーレーンより3~4度ほど高くなっています。その中、重い荷物を持って15分も歩くのはなかなかハード。真夏のドバイはとにかく公共交通機関やタクシーを使い、炎天下を歩くという行為はなるべく避けるのがいいでしょう。
いかんせん着替えやら何やらが入った大きなリュックが重たいので、ロッカーサービスに預けてしまいます。
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預け入れ料金は40Dhも取られました。1Dhがだいたい21~23円ほどなので、ロッカーだけに800円も取られた計算になります。足下見てるなぁ…
しかしロッカー代をケチるとあとで大変なことになります。なにせこのモール、ドバイ最大を通り越して世界最大。延々と続く通路に無数のテナント。重たい荷物を背負って移動などできません。
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なぜこのモールに来たかというと、目当ては世界最大の建物「ブルジュハリファ」。ドバイモールの地下1階に受付があり、そこから地上450mの展望台に上がるシステムになっています。
ブルジュハリファの展望台、「AT THE TOP」は完全予約制。事前予約であれば100Dh、当日に入ろうとすると400Dhもします。夜景を目当てに来るので、夜間は予約でいっぱいです。
ちなみに、写真は入り口の横にあった金の自動販売機。
アブダビのホテルに設置されて一躍話題になりましたが、現在はその設置件数も増えた模様。30分ごとににレートが更新され、g単位で金を購入できます。このときは2gで約850Dh、日本円にして17,000円ほど!
今回の旅行に要する宿泊料金より高いだなんて。いくら中東は金が安いとはいえ、やはり庶民にとっては手の出せるシロモノではないのです。
買う人がいるかと思って見ていましたが、自分のように記念写真を撮る観光客ばかりで購入する人は現れず。
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予約の15分前、16:15に待合室へと案内されます。
ブルジュハリファのミニチュアが飾られており、その下にまとわりつくように再現されているのがドバイモール。いかにドバイモールが広いかということも、ここからおわかりいただけるかと思います。
ミニチュアの部分に緑色に光っている部分がありますが、それがちょうど展望台。地上からの高さは実に442m。世界最大の電波塔である「東京スカイツリー」ですら、展望台の高さは約350m。未知の高さです。
建物自体の高さは828m。展望台からさらに400mも上へ続いているというのですから、もはや正気の沙汰ではありません。
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X線と金属探知機で荷物と身体の検査をしてから、エレベーターへと向かいます。エレベーターホールに誇らしげに輝く、「AT THE TOP BURJ KHALIFA」の文字。胸が高鳴ります。
エレベーターの中は真っ暗…かと思ったら、扉以外の3面と天井に液晶パネルが埋め込まれていて、まぶしく輝きます。
スーッとなめらかに動き出すエレベーターですが、耳が詰まる感覚に「うわ、昇っているんだ」と実感します。エレベーターの階数表示が見る間に上がっていき、猛烈なスピードで上昇しているのを感じさせます。
少し上に引っ張られる力を感じると、もう展望台。1分もかからないほどです。
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そしてこれが地上442mからの展望です。展望台にはテラスのようなものもあり、外に出て町を見下ろすことができるのです。
うーん…実感が湧かない。
確かに周りの建物の見え方や大きさに、とんでもない高さにいることはわかります。案内によれば92km先まで見えるそうですが、遠方は砂塵に煙ってしまってよく見えません。
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下を見下ろすと、噴水ショーを行う巨大な池「ドバイファウンテン」。左側は先ほどまでいたドバイモールです。
確かにこうやって見ると、今まで見たことのない景色を見ています。
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中心部の方をのぞます。極端なデザインのビルが所狭しと建ち並ぶイメージのドバイですが、こうやって見ると1つのライン上に並んでいることがおわかりになると思います。
中心に走る線は高速道路とそこに並行する一般道路で、ドバイの動脈ともいえる道路です。メトロもそれらに並んで走っています。
メインルートを外れると、中低層の建物が建ち並びます。ごく一部に大金持ち向けのマンションやホテルがありますが、ほとんどはドバイに暮らす人々の家や商店です。
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展望台の上には壁のように建物が続いています。東京ではしばしばこうしてビルを見上げますが、いま自分が見上げている場所は地上442m。いかにブルジュハリファが巨大なことか…
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郊外の方へカメラを向けます。
市街地の拡張は今もなお行われており、ドバイメトロも今後3路線ほどが計画に入っています。とはいえ、昨今の金融危機の影響により、思うように拡張は進んでいません。
このブルジュハリファも、ビジネステナントの入居率は4割ほどだといわれています。「世界最大の廃墟」などとも揶揄されるような、厳しい状況にあるようです。
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あまり実感の湧かない巨大さですが、周りの建物の影と並べてみると一目瞭然。圧倒的な影の長さです。右端にちらりと写るホテルも、高さ200mを優に超える高さであることは確かですが、このブルジュハリファの前ではミニチュアです。
この大きさ、鉄道模型と比べてみましょう。Nゲージの平均的な縮尺、1/150にしてみます。
・ドバイメトロ(18m車5両)=約60cm
・姫路城天守閣(92m)=約60cm
・山手線(20m車11両)=約1m50cm
・東海道線(20m車15両)=約2m
・戦艦大和(314m)=約2m10cm
・東京タワー(333m)=約2m20cm
※ブルジュハリファ展望台=約2m90cm
・東京スカイツリー(634m)=約4m20cm
・ブルジュハリファ(828m)=約5m50cm
ブルジュハリファを鉄道模型で作ろうものなら大変なことになります。
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展望台から降りると、身体検査時に撮った写真を使った記念写真を売っていました。
「記念にいかがですか?」
「いくら?」
「180Dh(約3,600円)」
「えっ、高いなぁ…」
「でもここでしか手に入らない貴重なお土産ですよ!」
「いいです、いらない」
いくらここでしか、といわれたところで、そんな大金出せません。
『でもやっぱり買っておけばよかったかなぁ…』
と後悔したあなた、心配ありません。
ドバイ空港の第3ターミナルでそっくり同じ記念写真が撮れます。どうしても写真が欲しくなったなら、お帰りの際ドバイ空港でどうぞ。
…全然「ここでしか手に入らない」わけじゃないんですよね。お土産なんていつもそんなものです。
ちなみにドバイモールには写真の通り、スケートリンクも置かれています。道具はすべて貸し出してくれる模様。値段もそこまで高くはないようです。
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ドバイモールのフードコートへ。
…なんたる混雑!金曜日の夜なので仕方ないとはいえ、座るところもほとんどない混みようです。ここまで来ておいてあれですが、夕食はバーガーキング。日本であれば700円を超えるチーズワッパーのセットが、ここでは20Dhとリーズナブル。
道に迷いつつも、何とかメトロの駅へ向かうバスに乗り込みます。
メトロの駅からは、ご覧の通りブルジュハリファの全景を見ることができます。夜空にそびえ立つ圧倒的な存在。日本ではとても見られない光景です。
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ではドバイメトロに再び乗って、今日宿泊するホテルへと向かいましょう。
戻る方向、Rashidiyaゆきに乗って中心街へと戻ります。
中心街は地上にメトロを通す空間がなかったためか、地下を走っています。空港の手前、Al Rigga(アル・リッガ)駅で下車し、歩いて5分ほどのホテルへと向かいます。
日が沈んでも暑いこと!大きな荷物を背負って歩いていると、わずか数分でも汗が滲んできます。
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今回の宿泊先、イビスホテル・アルリッガ。
イビスホテルはご存じの方もいらっしゃるかも知れませんが、世界中にリーズナブルな料金でホテルを提供するチェーン。海外版「東横イン」「ホテルルートイン」といった感じです。貧乏旅行にはありがたいことに、3泊で750Dh、15,000円ほど。いかに先ほどの金が高いかおわかりいただけるかと思います。
前払いで料金を支払うと、カードキーだけ渡されます。高級ホテルと違い、荷物を運んでくれるポーターはいません。そのほうがチップを渡したりしなくて済むので、個人的には気楽です。
ホテルは一人で泊るというのに、広々としたダブルベッド。
普段シングルベッドの右半分で寝ているような自分にとっては、落ち着かないほどの広さです。トイレ・シャワーもついています。
インターネットは残念ながら有料。安ホテルですから仕方ありませんが。
ちなみに朝食も付きません。
ベッドの上に置いてある案内によると、食事は24時間ロビーで購入可能とのこと。ピザやパスタ、ケバブなどのラインナップがありますが、全体的に高い…市内のマクドナルドに行ったほうがお得でしょうね。
今日は疲れたのでさっさと寝てしまいます。おやすみなさい。