※ このブログ記事で取り上げているのは2023年開催の第1回JAPAN MOBILITY SHOWです!
■ LEXUS
毎度のごとく先進的すぎるコンセプトカーを出してくるのがレクサス。今回は2台のクルマが台座の上でクルクルしていました。
どうやらサルーンを意識したらしいLF-ZL。(イカれた)見た目のインパクトだけでなく、独自OSを用いたコネクティビティみたいなものも意識しているようです。
自動運転の時代を意識しているからか、ハンドルはゲームのコントローラーみたいですね。
2026年の導入を目指すというLF-ZC。ZLに比べるとまだ現実味のありそうな見てくれをしています。
未来志向の企業が大好きな「サステナビリティ」を意識し、内装は「Bamboo CMF Concept」というバンブー素材を用いたものになっているそうです。
横文字のBambooだとなんだかカッコよく見えますが、つまりは竹です。
■ Honda
次は本田技研工業。世界に名だたるクルマメーカーでありながら、実は日本語社名に「自動車」が入らないのがホンダです。
目を引くのはホンダジェットのモックアップ、2022年に改良されたHondaJet Elite IIのものです。7人乗りというビジネスジェットの中では小さい分類の機体で、間近で見ると想像以上に小さな機体であることに驚きます。
エンジンはホンダとGEが共同開発したHF120。推力1t弱の小さなジェットエンジン(ターボファンエンジン)なので、乾燥重量は211kgとかなり控えめです。これを2つつけただけで2,500km以上飛べるというのもすごい話ですね。
ホンダジェットの特徴はなんといっても主翼の上にエンジンを取り付けたこと。
小型のビジネスジェット機は機体最後部の左右にエンジンをつけるのが標準です。常識を覆した構造によって機体後部のエンジンを支える構造が省略でき、その分機内を広くすることができました。
ついついヒコーキオタクの血が騒いでしまいました。
特に注目を集めていたのがプレリュードのコンセプト。Preludeといえばホンダが生産していたFFスポーツクーペで、2001年にインテグラに統合されて名称が消滅、そのINTEGRAも2007年には製造が終わってしまいました。
20年以上の時を経てプレリュードの名前が復活するとあって注目を集めています。こちらもスイフトと同様ほぼ市販車に近い状態のコンセプトモデルで、近い将来の市販化が期待されます。
アメリカのゼネラルモーターズ(GM)、その傘下のGMクルーズ、そしてホンダが共同で計画を進めている自動運転タクシーに使われる予定の「クルーズ・オリジン」という車両。BEVのようです。
対面3人掛けの6人乗りで、完全自動運転となるため運転席がありません。
無人運転タクシーは2026年から東京でサービス開始を計画しているそうで、SF映画で見た世界がもう目前まで迫っていることを感じさせます。
※ GM Cruiseはアメリカでの事故を受け2023年11月以降テスト走行を中止していましたが、Gigazine誌の報道によるとクルーズ・オリジンは2024年7月に開発中止が発表されたとのこと。幻の車両になってしまいました。
https://gigazine.net/news/20240724-gm-cruise-origin-robotaxi/
大きくなった手押し台車に見えるこれは「Honda Autonomous Work Vehicle」といい、決められた経路を最大907kgの荷物を載せて自律走行できる電気自動車。ハンドルっぽく見えるところにはよく見るとライトなのかセンサーなのか、透明な部品がついています。
■ Kawasaki
続いてカワサキのブースへ。
Ninjaのロゴの上には「HEV」の文字が入っています。今やバイクもハイブリッドカーの時代になっているんですね…本体価格は200万円近くしますが。
NINJA 7 HYBRIDは走行時もモーターでアシストするストロングハイブリッドと呼ばれるタイプで、燃費走行だけでなく1,000ccクラスの加速も得られるのはさすがKawasaki。距離はわかりませんがモーターだけでも走れるようです。
なお「ウォークモード」なる機能がついていて、微速で前進後退ができるのだとか。すごく便利そう!
純粋な電動バイク「NINJA e-1」。車体を見るとベースは現行のNinja 250/400でしょうか。スペック表を見ると定格出力が0.98kWとのことなので、普通自動二輪の小型限定、いわゆる原付二種の免許で乗れるということでいいのでしょうか。
なお1回の充電で走れるのは55kmとなっているので、これでツーリングするのは厳しい…荷物も載らないでしょうから、買い物の足にも使いづらい。これはただのロマンですね…
■ EV Motors Japan
大阪シティバス(旧 大阪市営バス)が運用を開始する電気バス。
これ、「日本メーカーが開発」ということになっていて“国産EVバス”っぽい雰囲気を醸し出しているのですが…
確かに開発は福岡県の企業「EVモーターズ・ジャパン」が行ったものですが、ファブレス企業なので工場を持ちません。実際は中国のメーカーが製造を担当しており、“中国製EVバスを輸入している”というのが実態です。雰囲気もどことなくBYD製のバスに似ているので、現地メーカーのものがベースとなっているのかもしれません。
まぁ日本の基準に適合させた車体になっているので、ちゃんと国土交通省の「標準仕様ノンステップバス認定」は取得できているようです。
運転席周りも普通の日本製路線バスと同じようになっていますね。
京成バスなどが導入したシターロはウインカーレバーがISO規格の左側だったので、JIS規格に合わせてあるのは日本の設計らしいところ。
シートは日本の路線バスではなかなか見ないハイバックタイプ。
無理に日本仕様に合わせなくていいところは、現地メーカーの標準品が採用されているのでしょう。うまく日本と中国のハイブリッドになっている感じはありますね。
そもそもバスのBEV化は中国がはるか先を行っており、日本メーカーが消極的になっているうちに日本市場へすさまじい勢いで浸透してきました。
日本国内だけでは台数が見込めないので仕方がない部分はありますし、某メーカーの友人曰く「バスはスペース効率が悪いから輸出もしづらいんだよ」とか。そういうところを見ると今後EVバス市場はどんどん中国メーカーが占めていくのでしょうね。
■ レーシングカー
レーシングカーが展示されているエリアに出てきました。
ヤリスのラリーカーを「レーシングカー」と言っていいのかはわかりませんが…
街中で走っているヤリスとは比べものにならないぐらいゴツい。
GT300に出場するスバル・BRZ。GT500になると元のクルマがわからないぐらいになってしまいますが、GT300ならば種車がわかります。
2022年のル・マン24時間レースに出場し5連覇を成し遂げたGR010の実車が展示されていました。長時間の激戦の痕跡がボディの各所から伝わってきます。
「ル・マン」は1週13kmのコースを、ピットインも含め24時間ぶっ通しで走り続ける過酷なレース。走行距離は5,000kmを優に超えて平均速度もなんと時速200km以上!
エンジンは3.5リッターのV6ツインターボ、エンジンとモーターを合わせて952PSというパワーを発揮します。ハイブリッド車ながら車重はたった1,040kgという軽さ…!
ドアは細身の人がやっと一人入れる程度の大きさしかありませんし、外から見る限りシートにも快適性などという言葉とは無縁です。
時速250km以上の高速で攻め続けなければいけないのに、1台あたりのドライバーは3人まで。並大抵の体力と精神力で務まるものではありません…
モータースポーツとはいえ、いやモータースポーツだからこそ、いかに環境への負荷を軽減できるか考えていかねばなりません。
このコンセプトカーは将来的にル・マンをはじめとする耐久レースに出ることを見据えて製作された水素エンジン車。
2023年にマックス・フェルスタッペンがチャンピオンを獲得したF1マシンも展示されていました。レッドブルレーシングはフェルスタッペンが優勝しただけでなく、チームとしても優勝(コンストラクターズチャンピオン)を飾っています。
パワーユニットをホンダが担当していることもあって、日本でも一躍名を馳せるチームになっています。
世界最高峰の技術が惜しみなく注がれるF1レースですが、それだけに開発費もめちゃくちゃ必要になり、結局はカネの力で優勝できるかどうかが決まるといっても過言ではない状態になっています。
レーサーも実力よりスポンサー料を引っ張ってこられるかが重視されるような面もあり、「世界最高峰の自動車レースとはなんだろう…?」と複雑な感情を抱かずにはいられません。
■ SUBARU
メーカー展示に戻ってSUBARUへ。
JMSの直前、2023年10月25日に発表されたばかりの「レヴォーグ レイバック」。ステーションワゴンのレヴォーグをベースに、最低地上高を上げて走破性能を向上させた「アウトバック」的ポジションの派生モデルです。
オンロードでの走りを意識した無印のレヴォーグよりもゆったりとしたシート形状になっていて、むしろ我が家の乗り方だったらレイバックの方が合っているんじゃないかと思ってしまうような造りになっていました。
単にリフトアップしただけではない、スバルらしい専用の仕様になっているそうなので、ちょっと気になるところです。
まぁやっぱり姿を見せるBEV。スバルとてEVからは逃げられない…
とはいえ「SUBARU SPORT MOBILITY Concept」はだいぶ現実味の薄い見た目をしているので、スバルが電気自動車メーカーへと成り果てるのはまだ相当先のことなのかもしれません。
スバルに限らず、いつ実現するのかわからない「空飛ぶクルマ」のコンセプト「SUBARU AIR MOBILITY Concept」。
まるで空を飛べば渋滞がないかのようなイメージが描かれがちですが、そう簡単な話ではありません。現に羽田や成田の到着を見ていると、飛行機が決まったラインに整列されて立て続けに降りて来ます。止まれないから渋滞していないように見えるだけの話。
■ MAZDA
クルマのデザインをアートと見立て、独自の「魂動(こどう)デザイン」を採用するマツダ自動車。
ICONIC SPと名付けられたこのコンセプトカーはマツダの方向性が強く表れているもの。発電用ロータリーエンジン+バッテリーのPHEVになっているのは時代を反映していますが、パワーは370PSとやはり堂々たるスポーツモデルです。
近年はいよいよ日本市場オリジナルの名前をやめて、デミオはMAZDA2、アクセラはMAZDA3といった世界共通のモデル名への統一も図りました。
そんな中で「ロードスター」はMX-5へと名前を変えられることなく生き残っている小型スポーツカー。ブースには1989年に発売された初代ロードスターがピカピカに磨き上げられて展示されていました。
30年以上が経った今でも色あせないデザインの美しさに惚れ惚れしてしまいます。
>>つづく<<