あさかぜみずほの趣味活動記録簿

旅行記や主に飛行機の写真をひたすら載せ続ける、趣味のブログです。たまに日記らしき投稿もあり…?

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初めての台湾ひとり旅~宅男應該去旅行!~ - 2日目II(2023年9月5日)

花蓮車站(駅)は人口10万人以上を擁する花蓮市の表玄関たる立派な駅舎です。現在の花蓮駅は1979年に開業したもので、ナローゲージ区間が解消された1982年に旧駅から「花蓮」の名を引き継ぎました。現在の駅舎は2018年に完成したもの。

1910年から72年間にわたって使われた古い花蓮駅は展示施設「花蓮鐵道文化園區」として再整備され、朝に見たLDK50型蒸気機関車などが動態保存されています。
さすがに次の列車への乗り継ぎ時間30分では旧花蓮車站まで行っている余裕はないので、駅構内をウロウロして暇つぶしすることにします。

 

運転本数の多いターミナル駅の前とだけあってバスロータリーや車寄せも広大。駅の向こう側には所狭しと建物が建ち並んでいますが、そこまで背の高い建物がないので空が広く見えますね。

そしてなんと言っても蒸し暑い
梅雨時のような湿度の高さで、空気がねっとりと体にまとわりついてきます。ちょっと歩くだけで汗がにじみ出てくるので、歩き回って観光するには厳しい気候です。慌ただしく旧花蓮駅まで行っていたら熱中症でぶっ倒れていたかも…

 

 

主要な駅には駅弁だけでなく鉄道のグッズショップもあるようです。台北にもありましたし、ここ花蓮にもコンコースに大きめの店舗が設置されていました。
臺鐵便當も購入できるようなので、花蓮を訪れた「鉄道迷」は寄るのをお忘れなく!

 

www.railway.gov.tw

 

 

まだ少し時間があるので駅構内で撮り鉄を。
台北方面の自強号で到着したのはTEMU1000型「太魯閣(タロコ)号」です。2006年から日立製作所が製造した振り子式特急車両で、カーブが多い台北花蓮間の所要時間を3割も縮めることに成功しました。

ベースの車両はJR九州885系「白いかもめ」で、先頭形状などからなんとなくその雰囲気を感じ取ることができます。なお8両編成ゆえに輸送力はいまひとつ足りていないようで、あさかぜがオンラインで予約をしようとしたときもほぼ満席でした。

 

タロコの後を継いで2013年から導入されたのがTEMU2000型「普悠瑪(プユマ)号」です。こちらは日本車輌が製造を担当し、N700系新幹線のような空気バネによる車体傾斜装置が搭載されました。
やはり8両編成で輸送力が足りていないようで、こちらも満席になっている便が多い印象です。

PP自強号と違いタロコ、プユマともに全車指定席となっていて、立ち席乗車が認められていません。事前に指定券を購入しないで乗車すると50%の追徴料金を取られるとか。

 

青い車両はローカル区間区間車に使用される4両編成の車両たちです。
写真は1995年から韓国・大宇重工が製造したEMU500型電車。

 

これから乗るのは最新型の自強号、EMU3000型です。2021年から導入の始まった日立製作所製の車両で、同社がイギリスに納入しているClass800型シリーズとよく似たデザインになっています。

タロコとプユマでは輸送力が足りないと散々言われたこともあり、12両という長い編成が組まれています。一方で車体傾斜装置は搭載されていないため所要時間は延びていますが、安定的に大量輸送ができることの方が優先された様子です。
12両編成×50本=600両という大型発注になっていて、台鐵を代表するフラッグシップ車両となる見込みです。

 

www.hitachi.co.jp

 

 

従来の車両とEMU3000型の大きな違いは6車(号車)に商務車「騰雲座艙」が設定されたこと。商務車とはJRでいうグリーン車に相当する座席クラスで、台鐵では初めての導入です。

せっかくならと、あさかぜは今回その商務車を選んでみました客室内は1+2の大型シートが並び、足下の余裕も十二分にあります。
ちなみに商務車には食事サービスまであり、予約時にお弁当の有無やドリンクの種類を選んでおくことができます花蓮を発車してまもなくアテンダントのおじさんがカートを押して回ってきて、乗車券と一緒に出てきたミールクーポンをチェックするとテーブルにお弁当と炭酸水を置いていってくれます。

 

台鐵はよほどEMU3000に力を入れているようで、お弁当の帯や炭酸水のボトルだけでなくお手拭きにまで台鐵のロゴと形式名が印刷されています。
ちなみに炭酸水のボトルはガラスビン。「ビンよりもペットボトルの方が軽くて扱いやすいのに」とは思ってしまいますが、その重厚感を含めて商務車の空気を味わえ、ということなのでしょうね。

 

特別メニューということをウリにしている商務車の臺鐵便當。確かに駅で売っているお弁当よりも見た目は豪華になっています。
とはいえ、あさかぜはつみれのような魚肉ボールはあまり好きではないので、煮卵の方が良かった。ピンク色の添え物は甘酸っぱく味付けされた海藻らしきもので、これも口に合わず…

個人の好みによるので一概に言えるものではありませんが、これなら駅で普通に売っている臺鐵便當で良かったなぁ、という気がしてしまいました。

 

それよりもEMU3000の不満は座席です。見た目に反して全くクッションが利いておらず、アイロン台に座っている感覚に近いものがあります。真っ平らでホールド感はさっぱりなく、横の出っ張りもないので頭を預けて眠ることもできません。この座席の出来の悪さは現地の人からも不満が上がっているようで、早いうちの改良が望まれますね。

座席に設置されたUSB電源もまた微妙…
ふくらはぎの裏あたりとかいう絶妙に使いづらい位置についているのはまだいいとして、出力が弱すぎる。ないよりはマシ程度の充電しかされないので、EMU3000に乗るときはUSBケーブルだけでなくACアダプターごと持って行った方がいいかもしれません。

 

デザインや雰囲気がすごくいいだけに実際に乗ったときの感覚がアレなのは残念な車両ですが、まぁなんだかんだ今後は改良が施されていくのでしょう

再び山がちな景色を走るようになりました。このあたりもカーブが多いようで、右へ左へと車体を揺さぶりながら駆け抜けていきます。なかなか攻めたモーター音が聞こえてきて、音鉄としては楽しくなってきます。

 

山間に入ってから空模様が悪くなってきました。昨日の台風の残り香でもあるのでしょうか、車窓に見える川は濁流になっているようなところがいくつもあります。

このあたりは台湾で最も高い山「玉山(ユイシャン)」が見えてくるはずなのですが…あいにく分厚い雲に覆われてしまっていて山肌をみるのがやっとという状態で、どれが玉山なのさえわかりません
日本統治時代、玉山は富士山を越える日本の最高峰として「新高山(にいたかやま)」と呼ばれていました。そう、真珠湾攻撃決行を知らせる暗号電文「ニイタカヤマノボレ 一二〇八」に出てくる新高山がまさに玉山だったのです。

 

www.taipeinavi.com

 

 

台湾島の南東部、台東県の玄関口である台東(たいとう / タイドン)車站に停車。ここもまた立派な駅ですが、このあたりはローカル列車の多い区間ではないらしく、発着列車のほとんどは自強号が占めているようです。

すでに花蓮から台東まで2時間かかっていて、思っていた以上の台湾の広さに驚きます…

 

台東を出るとひたすら海沿いを走って南下していきます。山があり海があり、という車窓の変化を楽しめるところが東部幹線・南迴線の大きな魅力

 

定刻より2分早く終点の新左營(しんさえい / シンズォーイン)車站に到着花蓮からの所要時間は実に4時間以上、途中眠ったりしていたとはいえそれなりの長旅でした。

いやまぁ座席が快適だったらそこまで「長かったな」と思うほどではなかったのかもしれませんが、アイロン台に4時間座っていたらそりゃあねぇ…

 

普通車を外から覗いてみると、まぁ似たり寄ったりの座席です。というか大きさ以外はほとんど同じなんじゃないかと思うぐらい。

移動距離が全然違うので単純な比較はできないものの、花蓮~新左營間で支払った金額は1,086NTDと2.5倍ぐらいになります。日本よりは安いですし、わざわざ弁当とドリンクがついてくるとはいえ、ちょっと割高感は否めない感じ。
座席の座り心地にいたってはPP自強号の方が良かったですから、フラッグシップという立場にふさわしいだけのものへバージョンアップされることを願っています

 

なんだかんだ言いつつ、グリーン車相当の座席に4時間乗って5,400円ほどだったのでどのみち破格ではありました。あれやこれやケチのついてしまうところがあったとはいえ車内は清潔で静かでしたし、長時間の乗車でお弁当や飲み物がついてくるのも助かります。

まだデビューから日が浅い車両ですから、今後あっちこっち改良も入っていくことでしょう。2~3年経てば素晴らしい車両に仕上がっているかもしれません。

 

反対側のホームに入ってきたのはEMU800型電車。2012年に日本車輌で2編成16両が製造されたのち、同社の子会社である台湾車輛で残りの41編成が製造されました。スタイリッシュな流線型の先頭形状にふさわしく最高速度は時速130km。

EMU900型が10両編成で投入されているからか、8両編成のEMU800型はあまり台北近郊では見かけない印象ですが、実際のところの運用範囲はどうなっているのでしょうね。

 

多少の遅れを見越して余裕のある行程にしておいたものの、全く心配はいりませんでした。12両編成の特急が走るところからもわかるように台湾は鉄道需要がかなり高いですし、台鐵には高速バスという強大なライバルがいるので、そう簡単にダイヤがグダグダになったりしないのでしょう。

油断は禁物ですが、鉄道を旅程に組み込むことは全然問題ないと感じました

 

新左營駅は2006年に開業した比較的新しい駅で、高雄市の中心部からは10km近く離れたところにあります。中心部の高雄車站へ出るには台鐵を利用してもいいですし、高雄市街に広範なネットワークを持つ高雄メトロ(高雄捷運)を使うのも便利です。

もちろん台鐵もMRTも悠遊カードは当然のように利用できますし、高雄捷運が発行している一卡通(iPASS / イーカートン)も悠遊カードと共通利用できるので非常に便利。

ちなみにセブンイレブンが発行している愛金卡(icash / アイジンカー)も鉄道メインなら上2つのICカードとほぼ共通利用が可能です。ただしバスは使えない事業者が多い様子
万能なのは悠遊カードですが、好みのデザインや形状があるならiPASSやicashを持っていても損はないと思います。とにかく、台湾で公共交通機関を利用して移動するならICカードは必須です。

 

この謎のオブジェはいったい…?

 

駐輪場の裏側には一見すると蒸気機関車の給水塔のようなコンクリート製の塔が立っています。最初は6月に訪れた早岐駅のような遺構かと思っていましたが、この新左營車站は新幹線建設に伴って新しく作られた駅なので機関区の遺構というわけでもなさそう。

表面には斜めに何かを取り付けてあったような跡も残っていますし、一体何なのでしょうね

 

 

>>つづく<<