あさかぜみずほの趣味活動記録簿

旅行記や主に飛行機の写真をひたすら載せ続ける、趣味のブログです。たまに日記らしき投稿もあり…?

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あの震災を学ぶ、ひとりドライブ旅 - 2日目【夜ノ森駅】(2022年7月11日)

続いて夜ノ森駅を目指して北上します。
国道の交通量は増えてきましたが、すれ違うクルマの多くは商用バンかトラックです。普通の乗用車は数が少ないながらも走っていますが、県外ナンバーはほとんど見かけない印象。

R6より東側は多くの場所が一般人の立ち入りが禁止されています。東側に入る道路には検問が設けられて、許可車以外が入れないようにチェックされていました。
立入禁止エリアでなくとも大熊町双葉町にかけて広い範囲で帰還困難区域に指定されており、クルマや電車で訪れることはできても滞在をすることはできないのが実状です。

 

2011年3月11日から時間が止まったままの建物がひたすら並ぶ国道沿い。何の変哲もなく営まれていた日常生活がある日突然変わってしまった、生々しい現実が突きつけられます。
そしてそれが11年以上が経った今日でも未だ戻ることがないという事実も…

たまにTwitter上の写真で見る機会がありますが、やはり目の当たりにするとショッキングです。

 

 

かなり交通量が増えてきて、1回の青信号で抜けられない交差点なんかも出てきました。

完成当時はまだ真新しかったであろうケーズデンキの先を左に曲がり、R6を離れて夜ノ森駅へと進んでいきます。

 

夜ノ森駅の東側、つまり国道6号線が通っている側は未だに帰還困難区域に指定されており、人が暮らすことができません。駅に向かう道路沿いには戸建てやアパートが並んでいるのが見えますが、どこもかしこも無人
左側のアパートらしき古びた建物は植物に飲み込まれつつあるように見えます。

 

● スタート地点から:475km

国道から5分ぐらいで夜ノ森の駅前に到着しました。ここも広い駐車場が併設されていて無料で止められますが、あさかぜの他にはプロボックスが1台待機しているだけでした。

駅舎は2020年に旧駅舎の雰囲気を再現して建て直されたもの。古い駅舎はいつ建設されたのかはっきりわからないそうですが、1921年の開業当初からあった可能性もあります。
歴史の証人として残してほしいという意見もあったものの、駅舎そのものの老朽化に加え、除染の課題もあったりして解体せざるを得なかったそうです。

 

www.jreast.co.jp

 

 

駅の西側は居住できるようになっているので、住宅や店舗があって生活が営まれているのがわかります。先ほどクルマの中から見た東側の景色とは大違いです…

 

富岡と同様、夜ノ森も駅構内に空間線量が表示されていました。基準値の毎時0.23マイクロシーベルトは下回っているものの、富岡駅よりも倍以上ある0.167を示しています。やはり福島第一原子力発電所に近づくにつれて高くなっているんですね…

 

ホームに降りてみました。
ホームは10両分は止まれるぐらい長く設けられていますが、今走ってくる電車は5両しかないので半分以上のホームは立ち入れないようにされています

使われていない部分は草蒸していて、とても普通に使える状態ではありません。

 

駅の東側の散策に出てみます。
駅前すぐには自動販売が並んでいますが、2011年3月当時の商品サンプルがそのまま入っていて驚くやら悲しいやら…

 

わかりやすいのはタバコかもしれません。あさかぜはタバコを吸わないのですが、仕事柄同僚や上司が吸っている銘柄を見たり、値上げの悲しみを聞かされていたのでなんとなくはわかります。

そもそも今は千円札1枚でタバコは1箱しか買えない時代ですが、この当時は2箱でもおつりが来る頃。それどころか、まだこの自販機にはマイルドセブンのパッケージが入っている…!
マイルドセブンは2012年8月に「メビウス」へとブランド名を変更しています。改称して10年も経っているのであさかぜの周辺では「マイセン」と呼ぶ人はもういませんが、祖父が吸っていたのをふと思い出して懐かしい気持ちになりました。

 

駅の周辺には一見すると至って普通に家々が立ち並んでいるように見えます。
が、少し近づいて見るとどこも障子はビリビリ、瓦が落ちているだけでなく屋根が傾いている家屋もいくつかあります。家の前に置かれているクルマはとっくにタイヤの空気が抜け、車体にサビが浮いているものも…

近い将来には駅の西側のように生活できるようになるのでしょうが、住めるようになるには並大抵ではない労力が必要になりそうです。

 

たまに国道の混雑を避けたクルマが走り抜けていく以外は、全くもって自分以外の人の気配がありません。雨がぱらつき、霧が立ちこめていることもあって、静けさがより強調されます。
周りに誰もいないのに信号機だけは煌々と灯っているのが異質さをさらに強め、恐怖すら覚えるほどです。

表現が不適切なのは百も承知の上で言ってしまうと、ホラーゲーム『サイレントヒル』の冒頭部分のよう。実況動画でしか見たことがありませんが。
ここに以前のような賑わいが戻ってくるのはいったいいつの日になるのでしょうか…

 

駅前すぐにあるJAの建物も当然ながら無人駐車場はアスファルトの隙間から雑草が伸びて、クルマを乗り入れるのにも苦労しそうです。

人間という敵がいないからか、JAに限らずいたるところの建物に大きなクモの巣が張られていました。

 

あるものは時間が止まり、あるものは着実に風化が進む中、駅前の住居の一角に立っている自民党のポスターだけが新しくなっていました。唯一ここだけが2022年の夏であることを示しています。

 

国道6号線へ戻るべくクルマを走らせます。
葬儀場も手入れが入っておらず、荒廃し放題…いたるところにツタ植物が絡みついて、まるで最初から人間などいなかったかのようです。

 

先ほど曲がった国道との交差点まで戻って来ました。大型トラックから商用の軽バンまで大小様々なクルマが往来し、夜ノ森駅前の物音しない光景とは対照的です。

 

しかし信号が青にならないこと…!


検知中という表示は出てるんだし、少し待てば変わるだろう」と気長に待っていましたが、待てど暮らせど国道側の信号は変わる気配を見せません。5分ぐらい待ってやっと信号が切り替わりました。普段からこの信号はこんなに待たされるんですかね…?

 

周囲に人が住んでいる気配が全くない国道をひたすら北上していきます。
ガソリンスタンドも、コンビニも、クルマのディーラーも、パチンコ屋も、どこもかしこも人が使っている気配がありません。

たまに営業しているガソリンスタンドや、復興や廃炉作業にあたる建設業者が事務所として使っている建物には明かりが灯っています。そういったところに近づくと、なんとなく安心感が出ますね。

 

>>つづく<<