● スタート地点「道の駅発酵の里こうざき」から:418km
なんだか寝たんだか寝てないんだかよくわからないうちに、出発の時間になってしまいました。
…まぁ3時間半程度の睡眠で行動するのなんて仕事で慣れっこですから、きっと大丈夫でしょう。
快活CLUBの鍵付完全個室は非常に快適でした。外の音はだいぶ減衰されるので、ついたてしかない普通のネットカフェに比べたら静かさは雲泥の差です。人によってはカプセルホテルに泊まるよりも快適に過ごせるかもしれませんね。ドリンクも飲み放題ですし。
昨晩の道を戻っていわき中央ICへ。朝5時過ぎでも意外と交通量があります。
● スタート地点から:435km
まずは常磐道の四倉PAでトイレ休憩です。ご覧の通り天気はパッとせず、今にも雨が降り出しそう…クルマ移動なのでほとんど影響はないはずですが。
今回の旅の主目的は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の遺構を実際に自分の目で見て学ぶこと。
今までテレビやネットのニュースなどでたくさんの話を見たり聞いたりして来ましたが、「百聞は一見にしかず」ということわざの通り自分で行って初めて学び取れることがあるはずです。
「11年以上も経って何を今さら」というのは自分自身でも思いますが、それでもやはり実際に来るか来ないかでは大きな違いがあるように思えるのです。
PAのトイレ付近に放射線量をリアルタイムに表示するモニターを見て、いよいよ福島第一原子力発電所の影響範囲内に入ってきたことを実感し、気が引き締まります。
ならはPAに併設のならはスマートICで常磐道を降りて国道6号線へ。
雨の降る中、まずはJR常磐線の富岡駅を目指します。
朝早いからなのか、R6とはいえ交通量はまばらです。沿道にあるコンビニもまだ営業時間じゃなかったり、そもそも営業していなかったりと、補給できるような場所がなかなかありません。
市街地を少し離れると家のないところを走ることが多く、コンビニが24時間営業でないのもやむなしです。
この森の間を走る光景が震災以前も同じだったのかどうかはわかりませんが…
R6を右にそれて細い道を走っていくと富岡駅に到達します。
駅の周辺にはビジネスホテルが数軒あるのと、新しめのアパートが何軒も目に入りました。ホテルの口コミを見ていると除染や廃炉の作業に関わる人たちがメインで利用しているようで、新しめのアパートなんかもそうした仕事に住み込みで関わっている人たちが多いのかもしれません。
● スタート地点から:468km
午前6時、富岡駅に着きました。駐車場は無料開放されています。
震災後に整備された富岡駅は駅前広場も広々としています。駅舎には観光案内所が併設されていますし、駅のすぐ隣には飲食店もありました。
人影が他にほとんどないのはまだ朝が早いからでしょう。
ちょうど原ノ町ゆきの電車が着くところだったので、入場券を買って構内に入ってみました。
富岡駅は津波で駅舎が破壊されたあとに福島第一原発の事故で警戒区域に指定され、長らく立ち入りができない状態が続きました。
立入禁止が解除されたのは2017年4月のことで、常磐線が南側の竜田からここまで通じたのも2017年10月です。
駅舎より海側には広い空き地が広がっています。今だから空き地になっているのであって、12年前はそうじゃなかったのかもしれません。
駅舎の出入り口には常磐道と同様、今現在の放射線量が表示されています。現在の富岡駅周辺では1時間あたり0.07マイクロシーベルトという数値のようです。
環境省では1時間あたり0.23マイクロシーベルト以上の地域で除染を行う要件としています。現状ではその数値の1/3未満ですから、生活する分には大きな問題はないということなのでしょう。
逆にそれより高いところは年間の被ばく線量の目安である1ミリシーベルトを超えてしまうので、居住には適さず家に帰ることはできないと…
家に帰ることができるようになって5年が経過しているものの、歩いている人の姿は数えるほどしかなくもの寂しい雰囲気が漂っています。霧が立ちこめた雨という天気の悪さもあるのかもしれませんが…
先ほど富岡駅から乗っていった人もいわき方面に1人しかいませんでしたし、実際に年間の乗降者数を比べても2010年以前の半分程度にとどまっています。
R6に戻る交差点にガソリンスタンドがあったな…と思ったら、片方のスタンドは廃墟でした。
>>つづく<<