日が傾き始めた「道の駅 発酵の里こうざき」へ来ています。
これから人生で初めての長距離ドライブ旅行に繰り出します…!
これまではひたちなか市や伊豆半島までがせいぜいでしたが、今回は一路北へ向かって岩手県を目指す旅。長旅へこぎ出す前に、飲み物やエナジードリンクを補充して準備を整えておきます。
ところで、なぜこんな中途半端な場所の道の駅からスタートするかというと、NEXCOが提供しているETC限定の周遊プラン「ドラ割」を利用するからです。
「東北6県周遊プラン 首都圏発着」の商品(3日間16,000円)では、発着するエリアの出入りICが決められています。決められたICがある区間を通過するだけではダメで、必ず出入りを伴わなければプランが適用されないルール。
我が家から向かった場合だと1つ手前の圏央道 下総ICが自宅から一番近い対象ICになりますが、どうせなら何もない下総で出入りするぐらいなら道の駅がある神崎ICまで来た方が長旅のスタート感が出ます。旅というのはいつだって駅や港から始まるものなんですから。
…それに道の駅を始終点にした方が旅行記も書きやすいですし。
片側1車線区間が多い圏央道。常磐道に近づくにつれて交通量が増え、軽く渋滞気味になってきます…急ぎの旅ではないとはいえ、延々と60km/h以下で走られたのでは何のための自動車専用道路なのかわからなくなってきます。
牛久市に近づいてくると牛久大仏がシルエットで浮かび上がりました。昼間に順光で見るのとはまた違う荘厳さが伝わりますね。
つくばJCTで広々とした常磐自動車道に合流して、ひたすら北上。
スバル・レヴォーグの「アイサイトX」には半年以上経っても未だに使いこなせない機能があれこれついていますが、高速道路でのクルーズコントロールは真っ先に覚えた方が良い便利機能です。
設定速度を法定速度上限に設定しクルコンをONにすれば、あとは勝手に車線を維持しながらひた走ってくれます。前のクルマに追いついたら自動的に速度を調整して安全な車間距離をキープしてくれる「アダプティブ・クルーズ・コントロール」つき。
アイサイトXの場合、ドライバーの様子もモニター上に装備されたカメラで逐一チェックされています。よそ見、居眠り、車線逸脱…などなど、「そこまで口うるさく言わなくても…」と感じることがたびたびありますが、高齢ドライバーが増えている現代では求められている安全装備なのでしょう。
水戸ICで片側2車線へと減ります。交通量もぐんと減りましたし、夕暮れも相まってだんだんと寂しい景色になってきました。
● スタート地点「道の駅発酵の里こうざき」から:81km
水戸ICを過ぎてすぐにある田野PAでトイレ休憩。トイレと自動販売機しかない小規模なPAですが、小休止ならこれぐらいの設備で充分です。
少し手前には設備の整った友部SAがありますが、大規模で設備が良いところはそれだけ人が集まりますし、その分クルマの運転に気を遣います。いくらこちらが気を遣っていても、周りに人や死角を生むクルマがいたら事故の可能性は上がりますし。
ですから一人で長距離・長時間にわたってクルマを運転するときは、こうした人があまり集まらなそうな休憩ポイントを選ぶのも案外大切です。
そもそも神崎を出てきたのが17時半と遅かったのでもう日没の時間…あっという間に暗くなってしまいました。
今日はいわき市内のインターネットカフェに宿泊するつもり。
ですが思っていたほど福島県いわき市というのは自宅から遠くなかったようで、クルマで一直線に向かえば3時間ほどで到着してしまいます。せっかく定額の周遊プランを使っていることですし、高速道路は可能な限り長く使っていきたい。
それに旅先ならではのものだって食べたいですから、わざと寄り道していくことにしましょう。
というわけでいわきJCTから磐越自動車道へと入り、福島県内を西方向へと進んでいきます。
磐越道に入ると常磐道よりもさらに交通量が少なくなりました。ICの周辺以外は照明もないのでひたすら真っ暗な道が続きます。
● スタート地点から:208km
阿武隈高原SAで2回目のトイレ休憩。田野PAから無停車で100km以上走ってこられたので、かなり良いペースではないでしょうか。
ついついレストランのおいしそうなメニュー写真に惹かれてここで食事をしてしまいそうになりますが、それでは何のために寄り道をしているのかわからなくなってしまいます。
たくさんの虫が叩き付けられて汚れたフロントガラスを掃除して、再び真っ暗な磐越道へとアクセルを踏み込みます。
まだそんな遅い時間でもないのに、対向車が来ない時間が数分続くことも珍しくなくなりました。自分だけで真っ暗な中をひたすら走っていると、なんだかこの道を走っていてもいいのだろうかと疑心暗鬼になってきます。
たまに対向車が現れてホッとするのもつかの間、「いったい何キロ出てるんだ…?」というクルマに抜かれたりも。この交通量の少なさですから、飛ばしたくなる気持ちはわかりますけども。
阿武隈高原SAから1時間近く走り続け、ようやく街並みの光が見えるところまで出てきました。安心感と同時に忘れかけていた空腹感が一気に押し寄せてきます。
会津若松市、ようやく夕食にありつける場所まで出てきました。
夕食の前にクルマにご飯を食べさせておきます。高速道路しか走っていないのでタンクの残量はまだ半分以上ありますが、早めに給油しておけば気持ちの上でも安心感ができます。
やはり内陸部ゆえにちょっとガソリンの値段はお高め。ロシアのウクライナ侵攻のせいで燃油価格が上がっているのも輪をかけていますね。迷惑な話です。
● スタート地点から:289km
21時過ぎ、「喜多方ラーメン来夢 会津若松駅前店」に到着。待ちに待った夜ご飯です。
限界まで食べたい気持ちでいっぱいですが、普段の鉄道旅行なら眠っている間に移動できても、クルマだとそうはいきません。
というわけで喜多方チャーシュー麺(1,080円)と餃子(5個380円)にセーブしておきます。味が染みたチャーシューはビールへの欲望もかき立てますが、それもできないのはクルマ旅の悲しいところ…
あっさりしたスープはついつい際限なく飲んでしまいます。あとで猛烈にのどが渇くことはわかっていても。
ところで、せっかく会津若松まで来ているのなら猪苗代湖も見ておきたいですよね。
職場の福島県人の後輩には「夜の猪苗代湖は心霊スポットですよ?」と脅かされたものの、旅の記念に見ることぐらいだったらどうということはないでしょう。
幸いなことに交通量もほとんど途切れることなくあって、ヤバそうな雰囲気ではありません。
● スタート地点から:305km
会津若松の市街地から20分足らずで猪苗代湖畔に到着しました。昼間は遊覧船が発着する観光スポットですが、夜10時なので休憩中らしきクルマが他に2台いるだけです。
聞こえてくるのはチャプンチャプンという波の音と、時折通るクルマの音のみ。
せっかく猪苗代湖まで来ているのでクルマの写真を撮ろうとしたのですが、小さな羽虫が多すぎる!
長時間シャッターで撮ると白い光の筋みたいなものがたくさん写りますが、これが全部飛び回る虫。油断すると目や服にも飛び込んでくるのでうっとうしいことこの上ない。
クルマのヘッドライトにつられているのかと思ったらそうでもないようで、とにかくどこを歩いても無数の虫にぶつかります。勢いよく口の中に飛び込んでくるのもいたりして、深呼吸なぞもってのほかという感じ。
トイレを済ませて早々に退散しましょう。
ちなみに肉眼では係留されている遊覧船の姿は輪郭がわかる程度にしか見えませんが、Google謹製のスマートフォン Pixel 4a 5Gではご覧の通り船の形はもちろんのこと色までわかります。
さすがにISO感度が思いっきり上げられているので画質はガビガビに荒れてはいるものの、決して破綻した写りになっていないのは驚き…!
しかしISO感度6817って…なんだそのモヤモヤする数字は…?
と思ってしまうあたり、現代のスマホカメラについていけないオッサンの悲しい生態なのかもしれません。
体中が虫まみれになってしまいましたし、開けていた窓からクルマの中にも虫が入り込んでいます。ある程度は入り込んでくる風でクルマの外に出て行きましたが、しぶとくダッシュボードに残留し続けるのもいたりして気が散ります。
気を取り直して、すれ違うクルマもほとんどない猪苗代湖沿いの道をひた走ります。旅に出る前に考えていたよりも時間が押しているので、一番近いインターチェンジから磐越道に入ってしまいましょう。
猪苗代磐梯高原ICから磐越道に入り、先ほど来たルートを東へ戻ります。
23時を回っているというのに、まさかのパトカーが先導に入ります。しかもこの交通量の少なさで…
気が狂ったように飛ばす常習のクルマがいるのでしょうか?
パトカーは郡山JCTで東北道方面へ抜けていき、多くのクルマもそれに続いていきます。磐越道を直進するクルマはあさかぜのみ…
カーブと急な坂が続く山間の区間へ入ってきました。日中との気温差があるのか、だんだんと霧が濃くなってきます。
このクルマにはオートハイビームの機能がついていて、周辺にクルマがいないときは自動的にヘッドライトを上向きに切り替えて視界を良くする機能がついています。
ハイテクだなと感心するのは、他のクルマがいるとその場所だけ光が当たらないようにする機能があること。他のクルマを眩惑させないようにしつつ、自分の視界を確保するという仕組みになっているのです。
車を運転する人は教習所で「霧が立ちこめている時にはハイビームにしてはいけません」ということを教わったと思いますが、実際に濃霧の中でオートハイビームが動作するとその理由がよくわかります。
目の前の視界がパッと白くなって、一気に見通しが利かなくなるからです。
いくらハイテク装備がついているレヴォーグでも霧までは検知できないので、手元でオートハイビームが動作しないようにしてやる必要があります。
霧の反射は他のクルマにも影響するようで、普段だったら気にならない高速道路の対向車のハイビームが強烈に光り輝いて見えました。ホントに眩しい…
海に近づいてくるにつれて霧は晴れてきました。
いわきJCTで常磐道へと戻り、いわき中央ICで高速道路を降りて市街地へ。
● スタート地点から:418km
日付が変わる前、ようやく本日の睡眠ポイントとなる快活CLUB いわき平店に到着しました。
「平日の夜なのでネカフェなんて空いてるだろ」
と思い込んでいましたが、意外と駐車場にはほとんど空きがありませんでした。幸いフラットシートは確保できましたし、シャワーも待つことなく浴びることができたので、ネカフェ自体はそんなに利用者はいなかったのかもしれません。
近くのコンビニで缶チューハイでも買って一杯やろうかと考えていましたが、横になるなりあっという間に意識が失われてしまいました…