あさかぜみずほの趣味活動記録簿

旅行記や主に飛行機の写真をひたすら載せ続ける、趣味のブログです。たまに日記らしき投稿もあり…?

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北海道のあれもこれも乗りたい! - 3日目【後編】(2022年6月16日)

函館駅まで戻って来ました。帰りは普通列車を使って、なかなか通らないルートで途中まで戻ろうと思います。
1両で入線してきた普通列車長万部ゆきには、仁山・鹿部経由という但し書きが添えられていました。

 

函館本線は森・大沼・七飯を頂点に、いびつな8の字を描くように線路が延びています。このうち本線格となる線路は西側を通るもので、新幹線との乗換駅となる新函館北斗も下半分の本線上に位置しています。

一方、東側を通る藤城(ふじしろ)砂原(さわら)の両支線は急勾配を緩和して輸送力の増強を図ったもので、藤城支線は1966年に新設、砂原支線は渡島海岸鉄道という会社が1927年に開業させた路線を1945年に買収・国有化して誕生しました。

 

 

14:21に函館を発車。次の五稜郭を出ても1ボックス1~2人程度というまばらな乗客数です。
クッションが利いているとはいえ、背ずりが直立したキハ40系はいかにも国鉄型といった座り心地で旅情をかき立てます。昨日のキハ54形の方が快適なのは間違いありませんが、キハ40はキハ40ならではの良さがあります。

 

七飯で分かれる藤城支線は北へ向かう下り列車専用になっており、2016年の北海道新幹線開業前は特急列車と貨物列車のメインルートとなっていました。新幹線ができてからは特急は全て新函館北斗経由となったため、今は貨物列車と細々とごくわずかな普通列車が通り抜けるのみ

この列車は藤城支線を経由せずに仁山駅回り。

 

新函館北斗ではサラリーマンの男性たちが降りていき、乗り鉄と思しき人が2人乗り込んできました。

新幹線ができる前まで、この駅は渡島大野という普通列車しか止まらない駅でした。
新幹線の駅への建て替えにあたって新駅名にすることが決まったのですが、駅の所在地である北斗市が仮称の「新函館」に異議を唱えます。せっかく新幹線の駅、しかも当面の終着駅ができるのに、函館市だけクローズアップされた駅名になるのは北斗市としては何も得しません。
両者の要素を取り入れた「新函館北斗」に決まったのは2014年6月で、2年近くにもわたる協議を重ねることになったのでした。

 

新函館北斗を出るとブルブルと重そうに車体を震わせて坂道を登っていきます。特急列車は性能の向上で藤城支線を経由しなくても難なく山道を克服できるようになりましたが、古びたキハ40系では頑張りが伝わってきます。

大沼で6分間の停車。雨はいよいよ本降りになってしまいました。

 

特急列車の行き違いを待って、長万部ゆきの普通列車は砂原支線へと踏み出します。駅を出てすぐに左へ分かれていくのが本線
砂原支線では35.3km走らなければならないところ、本線なら急な坂やカーブがあっても22.5kmで済みます。10kmは割とバカにならない所要時間の差になるので、性能の良い特急は本線を突っ走るわけです。

あさかぜは「はまなす」や「北斗星」といった夜行列車が現役だったときに砂原支線を通っているはずですが、真っ暗で記憶には全く残っていないので乗っていないも同然。初めて乗る路線としてワクワクします。

 

ワクワク感にさらに華を添えるべく、ラッピでテイクアウトしてきたラッキーエッグバーガー開封しておやつの時間にします。
これもまたずっしりとしたボリューム感…!目玉焼き、ハンバーグ、チーズという王道の組み合わせが最高にうまい。おやつにしてはなかなかヘビーな量ですが、ペロリといけてしまうのが不思議です。

たっぷりとソースが入っているので、包み紙に盛大にこぼれてしまうのが難点でしょうか。行儀が悪いのは百も承知で、周りの目を盗んでレロレロと包み紙についたソースもおいしくいただきます
ソースの風味がビールにも合ってしまうのもいけませんねぇ…



列車はだだっ広い空き地の横を通過します。
ここにはJR北海道が主体となって開発した流山温泉という温泉施設がありました。2002年に温泉やレストラン、翌年にパークゴルフ場やキャンプ場なども備えた複合リゾート施設として完成。廃車された200系新幹線を3両並べるなどして客の呼び込みを図ったわけですが…

アクセスも悪く案の定というべきか、毎年順調に赤字を積み上げていくことに。加えて浴室の木材が落下(して責任をなすりつけ合ったり)する事故や、従業員が誤って(?)液体洗剤を沸かして紅茶を提供し客が搬送されるといった、ブランドを傷つける不祥事も発生
結局、せっかく用意した一連の施設は2015年2月末で閉館することとなり、跡地では北海道産の馬「どさんこ」を育成するパド・ミュゼが牧場を経営しています。

併設された流山温泉駅は営業を続けていたものの、2022年3月のダイヤ改正をもって廃止されました。むしろよく平均利用者数0人で今年までもっていたものです…

 

完全に用済みとなった流山温泉と違い、別の形で生き残ったのは銚子口駅です。こちらも2022年3月に駅としては廃止されましたが、行き違い設備があるので信号場として機能しています。

駅前には大沼電鉄の新銚子口駅があって、海沿いにある鹿部の市街地へ向けて電車が走っていました。戦中の不要不急路線という休止期間を経て1948年に規模を縮小して復活するのですが、1952年に経営が成り立たず廃止となってしまいました。

 

鹿部に到着。20分以上どこにも停車せず走ってきたことになります。ここで乗客の大半が降車し、車内はあさかぜを含め乗り鉄目的の「同業者」だけになってしまいました。
ゼロとか3とかの乗降客数ばかりが並んでいた砂原支線の中では、1日あたりの乗車人員が約80人とだいぶ多い数字。

この鹿部は市街地から5kmとかなり離れたところにあり、大沼電鉄が廃止された現在は朝夕だけわずかに走る路線バスで市街地まで移動することになります。

 

「砂原支線」と呼ばれる由来となった渡島砂原駅。乗降はありませんでした。

 

3分遅れで掛澗(かかりま)に到着しました。反対列車との行き違いのため15分の停車時間が取られます。
重たい貨物列車が主体になっていることもあって、ローカル線にありがちなフニャフニャな線路ではなく頑丈な造りになっているのがわかります。

 

行き違いを済ませて掛澗を発車。長い停車時間のおかげで3分の遅れは吸収されて、定刻通りの発車です。

 

35kmに1時間20分を要し、ようやく合流地点の森に到着しました。表定速度約26km/hという、一般道を走るクルマ並みのゆったりさでした…

 

着いたホームの向かい側からは3分の接続で特急「北斗」が出発します。
…が、これは函館ゆきの「北斗14号」で、札幌に戻るには1時間後の「北斗17号」まで待たねばなりません
函館から来た普通列車に函館ゆきの特急がジャストタイミングで接続するというのも変な流れですが、ダイヤの構成上どうしてもこうなってしまうんでしょうね。

長らく「スーパー北斗」として札幌~函館間の特急の王者として君臨し続けたキハ281系も、いよいよ引退のウワサが聞こえてきています。2022年も引き続きキハ261系の新製投入が行われていますし、キハ281系自身も30年のベテラン走者ですからね。

 

駅に引きこもって1時間を過ごしても仕方がないので、散歩にでも出かけることにしましょう。
森といえば駅弁の中でも長い歴史を持つ「いかめしが有名です。駅を出てすぐ目の前にある柴田商店でいかめしを取り扱っているのですが…

お店のカウンターには「本日の森名物いかめし駅弁売り切れました。」という無情の文字…やはり16時半という遅い時間ではダメだったか…

 

駅から歩いて10分ほどのところに「いかめし阿部商店」というのがGoogleマップで引っかかりますが、ここはあくまでいかめしの製造所であって販売は行っていません

いかめしの販売は駅前の柴田商店か、駅からは歩いて30分ほどかかる「ローソン 森町富士見店」という国道沿いのコンビニに限定されているようです。

 

いかめし製造所の近くに良い雰囲気の神社があったので立ち寄ってみました森町稲荷神社、皆さんご存知豊作や商売繁盛の神として信仰されるお稲荷様です。
習慣的にお稲荷様と呼び続けていますが、正しくは「宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)」というのだそう。

この神社の歴史は300年にもなるといいますが、やはり元から日本だったわけではなく、蝦夷地というほぼ外国のような場所だったこともあって、正確な歴史が残っていないそうです。正徳元年、西暦1711年頃に鎮座したらしい、ということがわかっているだけだとか。

 

ちょっとした商店が並ぶ通りを抜けて線路のそばまで出てきました。線路横の空き地には「森桟橋跡」の石碑が佇んでいます。
明治初期にはまだ道路が函館から森で途切れており、札幌に向かうには室蘭まで船で移動する必要がありました。どのみち道があったとしても、内浦湾噴火湾沿いにぐるりと移動するのは鉄道のない時代には大変な労力です。
1873(明治6)年に全長255mもある大きな木造の桟橋が完成し、湾の反対側にある室蘭との間で汽船による往来が始まります。1881年行幸ではこの桟橋から明治天皇が北海道に上陸したという、由緒ある桟橋なのだそう。

また旅行家として名高いイギリス人イザベラ・バード女史も1878年に北海道を旅しており、そのときに森から室蘭まで汽船で移動しています。一連の日本各地を巡った旅行は1880年に『日本奥地紀行』という旅行記として出版されています。

 

海岸には「明治天皇御上陸地」という大きな碑が立っているのが見えますが、残念ながら線路に阻まれて近づくことはできません

桟橋跡を解説した森町の案内板によると、桟橋に使われていた橋脚も朽ちた姿で残っているそうですが、ここから視認することはできずちょっと残念です。
桟橋は休止期間を挟みつつ50年以上活躍しますが、1928年にいよいよ鉄道がつながったことで役目を終えました。

 

森駅まで戻って来ました。駅前広場の隅には一昨日に新得でも見かけた「ポケふた」があります。北海道をイメージさせるきつねポケモン「ロコンアローラのすがたと、森町らしいイカをモチーフとした「マーイーカが描かれています。どっちもかわいい。

…まぁマーイーカは進化してカラマネロになると、ビジュアルも能力も全くかわいくなくなるんですけどね。

 

「いかめし」こそ手に入りませんでしたが、それなりに充実した散策時間になりました。そろそろ札幌ゆきの特急「北斗17号」の時間が近づいてきたので、ホームで待つことにします。

 

キハ281系にはタイミングが合わなかったので、帰りもキハ261系です。「北海道フリーパス」の予約枠を使って指定席を取っておきました。
通常時より1両増えた6両編成ですが、2つ並びの席はほとんど1人しか座っておらず車内は割と空いています。往来が集中する朝夕の列車を中心に混み合うのでしょうかね。

 

雨が降ったりやんだりしている中、「北斗」は快調に線路を突っ走っていきます。明治期の汽船がどんな大きさでどれほどのスピードが出たのかは知りませんが、荷物の積み替えがなくなった上に輸送力のある鉄道がつながった効果はかなり大きかったことでしょう。

トラックが主流になって久しい日本国内の貨物輸送ですが、少なくとも本州~北海道間において鉄道は輸送の根幹を担っています
青函トンネルで貨物列車は新幹線の邪魔だから、貨物は船にすればいい」
などという鉄道不要論を超えた暴論を唱える人がいますが、そんなのは貨物輸送の実態を知らないから言える無責任な発言に他なりません。

最近は津軽海峡に2本目の青函トンネル(第二青函)を掘ったらどうか」という話が持ち上がってきていますが、輸送力強化、冗長性確保、国土強靱化という観点から見ていち早く実行すべきことだと個人的には思っています

 

歩き回った疲れでうつらうつらしているうち、終点の札幌まで戻って来ていました。過ごしやすくて快適な車内でした…

弾丸の函館往復でしたが、意外と満足のいく時間が過ごせました。あさかぜは時間の縛りがあると「何を最優先にして効率良く見て回るか」ということに燃える変わり者なので、結構楽しく過ごせるものなのです。
もちろんあれやこれやと観光して回るのであれば、時間の余裕があるに越したことはないんですけどね。

 

せっかく札幌に来ているのですから、味噌ラーメンぐらいは食べておかねばなりません。様々なおいしいものが集結しているのでついついラーメンは後回しにしてしまいがちですが…

当初目をつけていたラーメン屋にはびっくりするほど長蛇の列ができていました。「けやき」や「すみれ」以外にもこんな激しく並ぶお店があるんですね…
長い列が待てないせっかちな性分なので、第2候補にしていたらーめん獅子王」にやって来ました。ちょうど客が入れ替わったタイミングで、待つことなく入れたのはラッキー!20時~26時の営業と、いかにもすすきのらしい営業時間です。

 

濃厚温玉みそラーメン(900円)を選んでみました。複雑でパンチのある味をしていておいしいです。麺が元から固めというのも個人的にはかなり好み。ある程度食べたところで温泉卵を崩すと、味がマイルドになってこれもまたおいしい。
味噌以外にも屋台風の醤油ラーメンなんかもあって、味噌一辺倒ではないようです。

写真には写っていませんが、300円でバターご飯もつけました。細切れのチャーシューが載ったちょっと贅沢なバターご飯で、そのまま食べてもおいしいですし、ラーメンスープとの相性も抜群

さて、部屋に明日のために荷物をまとめておきましょうか。酔っ払ってしまう前に…


■ 今日ののりもの
○ その1
札幌市営地下鉄・5000形】すすきの→さっぽろ:2km

○ その2
JR北海道キハ261系札幌→函館:314km

○ その3
函館市電・8000形】函館駅前→十字街:3km

○ その4
JR北海道・キハ40系】函館→森:63km

○ その5
JR北海道キハ261系森→札幌:265km

○ その6
札幌市営地下鉄・5000形】さっぽろ→すすきの:2km

今日の合計移動距離:649km
Google mapのタイムライン機能より算出