あさかぜみずほの趣味活動記録簿

旅行記や主に飛行機の写真をひたすら載せ続ける、趣味のブログです。たまに日記らしき投稿もあり…?

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北海道のあれもこれも乗りたい! - 2日目【中編】(2022年6月15日)

札幌では上着がいらないぐらい暖かかったですが、釧路の空気はひんやりしています。みんな割と薄着でいますが、寒くないんでしょうか…

ここから釧網線に乗り継いで網走まで抜けるのですが、9時前に快速「摩周」が出ていくと14時過ぎの普通列車までなんと5時間半近くも間が空いてしまいます
1本遅い「おおぞら」で来て釧路でお昼だけ食べることも考えていましたが、せっかくの観光シーズンなので「くしろ湿原ノロッコ号」で自然を楽しむことにしました。

 

www.visit-hokkaido.jp

 

 

塘路ゆきの「ノロッコ2号」はほぼ満席。乗客の大半が添乗員に引率された年寄り団体で、個人旅行の人はごくわずか。それどころか「お一人さま」はあさかぜぐらいと言ってもいいほどです。

隣の東釧路根室線から分かれて釧網線へ。釧路市から釧路町にかけての市街地を離れると、車窓の両側には青々とした釧路湿原の景色が広がります。
進行方向の左側に見えてくるのは岩保木(いわぼっき)水門。その後ろにほんのわずかに見えているのが旧岩保木水門の屋根で、歴史的に重要な建物とされています。
この水門については帰りに触れることにしましょう。

 

 

細岡駅に着きました。釧路湿原を巡るカヌーのツアーの発着地となっているそうで、この時もカヌーに乗り降りする客を待っているのか、ワンボックスカーが停まっているのが見えました。

現在はこのようにほぼ観光用としてしか機能しておらず、1日あたりの乗客は0.2人という状況。周囲に住宅があるわけでもなく、達古武湖の対岸にあるオートキャンプ場まで歩くのも現実的ではないので、乗客数がこれより増えることはないでしょう。

 

車掌から「右側にタンチョウの姿が見えます」というアナウンスが入りました。

目をこらすと緑色のスゲの中に真っ白な体が見えるのですが、あいにく望遠レンズを持ち合わせていないので写真には白い点のようにしか写っていません。
とはいえ釧路湿原の象徴ともいえるタンチョウが実際に見られたので、ここまで来たかいがあったというものです。

 

ja.kushiro-lakeakan.com

 

 

車窓の左側にはひたすら釧路川が流れています。豊かな自然が育まれている釧路湿原は、逆に言えば水浸しのジメジメした土地になるほど平たいことの裏返しでもあります。

実際雨が降ると川の流れが変わり、下流にある釧路町釧路市に水害をもたらすことがしばしばあったとか。1931年に人工の新釧路川を掘って市街地への水害を防ぐための治水が行われています。
一方で湿原内の川を直線的に変えた結果、湿原が乾いてハンノキなどの木が大繁殖するような事態に。2010年には直線的に作った部分の堤防を撤去して川を蛇行させる「蛇行復元事業」が行われ、再び豊かな自然を取り戻しています。

 

釧路から45分、終点の塘路に到着しました。駅前には数台の大型観光バスが待機しており、「ノロッコ号」の乗客の大半が吸い込まれていきました釧路湿原の観光はここからバスで見て回るのが定番のようです。

駅から少し離れるとミュージアムセンターや展望台に到達することができますが、30分足らずの折り返し時間の間に見てくることは至難の業なので、バスツアーなら確かに便利。そのまま折り返すあさかぜは大人しく列車内で待つことにします。

 

乗ってきた510系客車の内装はこんな感じ。木を多用したイスやテーブルに、骨組みがむき出しの無骨なトロッコ車両のスタイルは、元の車両が国鉄時代に登場した50系客車であることを連想させません

寒くないように窓がちゃんとついていて、柱部分にぶら下がっているケーブルで開閉します。

 

ロッコスタイルになっているのは2~4号車の指定席車両で、自由席となっている1号車は種車の50系の雰囲気をそのまま残しています。昔を懐かしむマニアならむしろこちらの車両を選ぶことでしょう。

あさかぜも帰りの列車が空いていることがわかっていれば、指定席ではなくあえてこの車両を選んだかもしれません。

 

釧路へ戻る釧路湿原ノロッコ1号」は4号車を先頭に、編成の後ろから機関車が押して走ります。そのため4号車のオクハテ510-1にはディーゼル機関車を遠隔で制御するための運転台が設けられているのが特徴。日本では数少ない「プッシュプル運転」を行う列車です。

 

1号は座席の大半が空席のまま塘路駅を発車しました。1テーブルに2~3人程度しか座っておらず、2号の混雑がウソのように快適です。テーブルは6人掛けで、定員で座ると通勤電車のような気分でしたから…

車内の売店で「笑顔のフィナンシェ(250円)を買ってきて一息つきます。今年の夏からスタートしたばかりの新商品(数量限定)だそうで、クラウドファンディングによって企画され実現したのだとか。
ノロッコ号にまた乗りに来て欲しい」、そんな想いが込められたふんわり甘いお菓子なのでした。

 

再び旧岩保木(いわぼっき)水門のところまで戻って来ました
手前側に2つの塔が立っているのが1990年に運用を開始した現行の岩保木水門、その後ろに見えている屋根が1931年に作られた旧岩保木水門です。

釧路川との分岐点に作られたのが旧岩保木水門で、従来からある釧路川へ水が入ってこないように通常時は閉められていました。この門を開けるのは上流で切り出した木材や物資を運搬する船が通過するときだったのですが、1929年には今「ノロッコ号」が走っている釧網本線が開通して、物資輸送は船から鉄道へと移ってしまいます。
結局水門を開ける理由がないまま時間が過ぎ、新しい水門に役割を引き継ぐまで一度も開けたことのない「開かずの水門」となったのでした。

現在の旧水門はカヌーの集合場所として使われているそうです。

 

www.shinko-web.jp

 

 

釧路に到着。
釧路湿原ノロッコ号」は1日1往復を基本に、夏の多客期には2往復が運転されています。最終便となる3号は、先ほどの塘路でバスに乗っていった観光客を乗せて満席に近くなったりするのでしょうか。

 

釧路といえば日本で唯一となる石炭の坑内堀が現存しています。太平洋炭礦が採掘していた坑道を引き継いだもので、地元の企業によって出資された釧路コールマイン」が採炭を続けています

当初は海外の技術者を育成するのを主軸にしていたようですが、エネルギー資源の値上がりに伴って採炭そのものがそれなりに安定的な収益源となっているようです。
徹底して機械化を進めて、人力に頼らない安全な採炭を実現しているとか。

 

1月にはそそくさと折り返した釧路で今日はじっくりとお昼ご飯です。
駅から歩いて5分ほどのところにある公設市場「和商市場にやってきました。市場ならおいしい海の幸が食べられるはず。

市場なので基本的には釧路や道内で採れた海鮮や野菜・肉などを扱っており、食事をできるところは3カ所ぐらいしかありません。自分で具材を選ぶ「勝手丼」ができるところもありましたが、あさかぜはむしろ選択肢を与えられる方が苦手…

というわけで、入口に近い「市場亭へ。

 

www.washoichiba.com

 

 

生ものから焼き魚までいろいろとあってそれはそれで悩みますが、北海道に来ているならやはりこの組み合わせでしょう。選んだのはウニ・ホタテ・イクラが載った「三色丼」(3,080円)、一緒についてくるのはカニの足が入ったカニです。

ただひたすらに「うまい!」の一言。プチプチとはじけるイクラの醤油漬け、プリプリのホタテ、そしてふわりとしたウニ…北海道に来たからこそ味わえる贅沢です。
カニのダシがにじみ出している味噌汁もおいしい。薄ら寒いぐらいの釧路で体が温まります。

 

車内で食べる刺身でも買おうかと真剣に悩みましたが、もし座れなかった場合には大変なことになるので泣く泣く諦めました…

釧路駅に入っているJR北海道釧路支社には歴代の列車のヘッドマークが飾られています。
広い北海道では夜行列車が複数運行されており、この急行「まりも」は札幌~釧路間を結んでいました。1993年に客車列車としては廃止、2001年にキハ183系の特急として復活を遂げますが、2007年に臨時列車となって翌年の夏に廃止されてしまいました。

札幌までの夜行需要は高速バス「スターライト釧路号」の夜行便(2022年6月現在運休中)「釧路特急ニュースター号」の夜行便が担っています。

 

14:14の網走ゆき普通列車に乗るため20分前にはホームに上がってきたのですが、すでに数名の先客が乗車口で待っていました。入線直前には15人ぐらいの列になっていて、想像以上の乗客数にちょっとびっくり乗客の多くはあさかぜと同じく旅行者のようです。

釧網本線を通り抜けようとすると1本前の列車から5時間も開くわけですから、この列車に乗客が集中するのも理解はできます。

 

定刻通り網走を発車しました。再び釧路湿原を横目に見ながら釧網本線を北上していきます。
午前中はきれいに晴れ渡っていましたが、午後になって雲が出てきたので、良いタイミングでノロッコ号に乗れたようです。

 

釧路駅構内に「おにぎり屋 ばんばんというお店があったのでそこでおにぎりと惣菜を買ってきました。
心地よいキハ54形の走行音を背景にザンギとサッポロクラシックを味わうという、北海道の列車旅の醍醐味を楽しみます。

 

gourmet.kushirocoto.com

 

 

車窓には標高1,547mの斜里岳が見えてきました。日本百名山に数えられており、アイヌ語では大きな山や年老いた山を意味する「オンネヌプリ」と呼ぶのだそうです。
登山も盛んで慣れた人なら6時間ほどで行って帰ってこられるそうですが、ヒグマへの対策は必須です。斜里岳の登山情報にもヒグマへの注意が呼びかけられていますが、「ヒグマに襲われたとき:絶対的な対策はない」という文字に恐怖を覚えます。

 

www.kiyosatokankou.com

 

 

時折集落が現れるものの、駅間は人が住んでいる気配のない場所ばかりです。
写真奥の方へ左に伸びているのは知床半島。手つかずの自然が残された北海道の秘境中の秘境といったところで、一般人がそう簡単に入れるようなところではありません。

海上から遊覧船で周遊するのがセオリーですが、4月には乗客乗員26人を乗せた小型の遊覧船が天候の悪化を無視して出港し沈没全員が亡くなる、もしくは行方不明となる凄惨な事故が発生しました。
運航会社のずさんな安全管理によって発生した人災という側面の強い事故ですが、この事故の風評被害を受けて他の観光船事業者でも予約のキャンセルが相次いでしまったとか…

2ヶ月以上が過ぎてもなお行方不明の方がおられるそうで、1日も早く家に帰れることを願ってやみません。

 

原生花園駅の隣には、駅名の由来になった小清水原生花園」の花畑を一望できる展望台が整備されています。5~10月の間だけ列車が停車する夏季限定の臨時駅なのですが、この列車は通常通り30秒ほどの停車時間で発車していきます。

せっかく夏の間に開設されるのに臨時列車が運転されるのは釧路に近い南側ばかりで、5.5往復の定期列車が停車するのみ。網走から近いこともあり、結局は時間に融通が利くのはクルマになってしまいます…

 

www.town.koshimizu.hokkaido.jp

 

 

およそ3時間かけて終点の釧路に到着
釧路からの乗客のほとんどが乗り通していて、そのうち半分ぐらいはドアが開くなり急ぎ足で車両から飛び出していきました。到着が遅れたわけではないのに…

 

 

>>つづく<<