あさかぜみずほの趣味活動記録簿

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エアバス、ついにカタールの受注残を取り消す

しばらく前のブログ記事で触れた、ヨーロッパの航空機メーカー「エアバス Airbus」とカタールのエアライン「カタール航空 Qatar Airways」との間のいざこざ

 

mizuho-asakaze.hateblo.jp

 

2022年9月8日、エアバスカタール航空にまだ納入していない19機分のA350-1000のオーダーを取り消したと発表しました。以前から「取り消したらしい」と話は出ていましたが、正式な発表がされたのはこの時が初めてです。
19機の中にはすでに製造済みで受領を拒否されているものも含まれており、5機が最初のテストフライトを実施済み、1機は組立済みとなっているとか。

 

<今後増えることは見込めなくなったカタールA350-1000。ここまでこじれるとは予想していなかった…>

 

なお、Aviation Wire誌では今回も
カタール航空側がオーダーを取り消した」
という内容になっていますが、Business InsiderやSimple Flyingといった英語のニュースサイトを見ると、sky-budget誌が書いている
エアバス側が取り消した」
というのが正しいようです。

 

Aviation Wire誌ではA321neoのキャンセルでもカタール航空側の意思でキャンセルしたと取れる書き方がされており、「なぜ…?」という感じがありますが…

 

カタール航空としてはA321neoは導入したかった様子。ただエアバスとしてはA350のような「クレーム」を避けるための一大決心だった模様>


ともあれ、エアバスの言い分としては
カタール航空は今後エアバス製のワイドボディ機を買うつもりがないことが明らかだから」
だそうで、表面的には和解を模索していると言いつつも、実際は溝が深まる一方です。

 

確かに傍目から見れば
エアバスとは今後取引をしない」
「A350FはやめてB777XFを導入する」
などといったカタール航空のアクバルCEOのコメントを聞けば納得せざるを得ません。これがCEOお得意の「交渉術」だったとしてもです。

 

いずれにせよこの19機分のオーダー取り消しで、特にできあがっている6機については「買い手はいるけど受け取ってもらえない、ただ場所を取るだけの不良在庫」という状況から抜け出したことになります。
つまりA350を欲しがっている航空会社に売却できる、ということ。

 

<A350Fの導入も検討されていたが、塗装問題のこじれで結局ボーイングへと鞍替えすることに。B777XFは正式オーダーした模様>

 

A350に限らず、最新の機体は多くのエアラインが欲しがります。規模の拡大、サービスの向上、燃費効率の向上、イメージアップ…など理由や効果は様々です。
だがしかし、人気の機材は当然多くの注文を集めますから、注文しても手元に来るまで4~5年待ちというのはザラです。

 

例えば、日本航空JALA350の導入を正式に決定したのは2013年10月7日のこと。当時A350は2014年の運航開始に向けてテストフライトを行っていた時期でした。
国内線用となるA350-900のJAL向け初号機が日本に来たのは2019年6月14日、旅客を乗せて営業運航を開始したのは同年9月1日と、ほぼ6年にわたる導入プロジェクトとなりました。

 

新たに導入するエアラインなら、決定からデリバリーまでの待ち時間の間に仕様を決めたり、パイロットの操縦資格の取得と訓練、整備士の資格取得、客室乗務員の教育…などなどやることが目白押しです。

 

一方で、すでにその機材、今回で言えばA350シリーズの運用実績があるエアラインからしてみれば、「即戦力」として今すぐにでも欲しいわけです。4年も5年も待っていられない!

例えばルフトハンザドイツ航空のような勢いのあるエアラインにとって、カタール航空への販売分が浮いたのはラッキーです。組立済みの機体は塗装の変更や、場合によってはコクピットを含めた機内の改修が必要になるとはいえ、新規に製造されるのを待つよりははるかに早く第一線へと投入できますから。

 

メーカーのエアバスとしても、機体を受け取ってもらえなければカネにならないので不良在庫はさっさと一掃したいところ。
特に2022年に入ってからカタール航空の未受領分に加え、ウクライナ侵攻によるロシアへの経済制裁アエロフロート・ロシア航空向けのA350-900がデリバリーできずにダブついています。

 

旅客機は運航する航空会社に合わせた「セミオーダーメイド」のような部分もあるので、不良在庫をさばくにはカタログ価格ではなく多少の割引が必要です。
とはいえエアバスとしては不良在庫をなくせるし、航空会社としては欲しい機体が安く手に入るのですから、このタイミングを逃すわけにはいきませんA350のような売れ筋商品ならなおさらです。

 

カタール航空との契約を切った理由には、
A350を買う気が感じられない」
という表向きの理由とは別に、実はこんな打算が隠れているかもしれない、というお話でした。

 

<運航再開されたB737MAXだが、カタールが最大50機発注したMAX 10は未だに型式証明を得られるメドが立っていない。機種選択は吉と出るか凶と出るか…?>

 

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参考資料:

エアバスカタール航空発注のA350-1000型機を全てキャンセル A321neoに続き主力機の出荷を停止 - sky-budget

https://sky-budget.com/2022/09/09/airbus-cancel-watar-airways-a350s/

 

Airbus Removes Qatar Airways' Outstanding A350s From The Order Book - Simple Flying

https://simpleflying.com/qatar-airwasy-airbus-a350-order-canceled/

 

Airbus canceled all of Qatar's A350 airliner orders in a rare move as the battle over paint issues continues - Business Insider

https://www.businessinsider.com/airbus-canceled-remaining-19-a350s-that-qatar-had-on-order-2022-9