10時半という中途半端な時間に、羽田空港の第1ターミナルにある「空港ラーメン 天鳳」で朝ご飯とも昼ご飯ともつかない食事をとっています。
ソースやきそばとは違う、中華醤油を使った上海やきそば。いつも行っている中華料理屋とは違う甘さが強めの味付けで、これはこれでおいしい。
旅行のスタート日なので本来はとっくにラウンジに入ってビールの1杯でも悠々とキメている頃合いですが、今日はにっちもさっちもいかなくなってしまいました。
第1ターミナルの展望デッキからは寒い冬の日らしく富士山がくっきりと見えています。
一方これから向かう北海道は大雪…
すでに昨日の時点で、今日乗るつもりでいた路線は夕方頃まで全列車の運休が発表されています。日本航空からも朝起きるなり「午前中は飛べるかわからないから搭乗手続きを中断している」という内容のメールが送られてきて、雲行きは最悪。実際、羽田9:30発の便までは欠航しています。
チェックイン機のそばで「11時過ぎになれば飛ぶかどうかわかると思います」と教えていただいたので、それまでスポッティングでもして暇を潰すことにします。
JA710J / Japan Airlines / Boeing777-200ER
普段なら近距離の国際線が主戦場となっているはずのB777-200ER。国内線のB777が抜けた穴を埋めるため、羽田を中心に福岡・那覇・札幌といった幹線に投入されています。
短時間とはいえ国際線用のビジネスクラスをクラスJとして味わうことのできる貴重な機会なのですが、みんな考えることは同じなので当日のアップグレードはほぼ確実に無理…
JA151A / All Nippon Airways / Airbus A321-200N
去年の8月にデリバリーされたばかりでピカピカなA321neo。プレミアムクラスには、国内線専用機材ながら電動リクライニングを備えたレカロ製シートが搭載されています。
ANAではA321neoを22機導入予定なので、これでようやく半分といったところでしょうか。
22機そろったら4機だけ存在するA321ceoは売却…?
JA329J / Japan Airlines / Boeing 737-800
2021年8月から就航した「JAL JOMONジェット」。同年7月に東北北部~北海道南部にかけての縄文時代の遺跡が世界文化遺産に登録されたことを受けて、青森県の児童が描いたイラストを基にしたデザインが機体後部に描かれています。
JAL JOMONジェットは2022年秋頃まで運航される予定です。
当初の出発時刻の11時半を回ってようやく出発時刻が定まり、JAL513便の出発は1時間半遅れの13時になるそうです。定刻で飛ぶ12時半発の515便に追い抜かれる格好ですが、乗ろうとしていた列車は運休が決まり、今日はもうまっすぐ札幌に行くしかないので何時になっても構いません。
今日使うつもりだった乗車券は空港に来る途中で払い戻しも済んでいるので、パニックになっているであろう新千歳や札幌のみどりの窓口に行く必要がないようにしてあります。
サクララウンジで駆けつけ1杯。こういう話をすると友人には呆れられますが 、午前10時を過ぎれば飲酒の時間。仕事終わりのビールは昼間だろうと何だろうとおいしいものです。
予定よりも早く搭乗が始まっていたようで、のんきにラウンジのトイレで用を足していたら優先搭乗のタイミングを逃してしまいました…
チェックイン時にアップグレードしたA350のクラスJへ収まります。各座席に備えられた個人用モニターは機外カメラにセット。垂直尾翼から見下ろすアングルで見られるのはエアバス機ならではです。
スムーズに羽田空港を飛び立ち、順調に巡航高度を上げてきました。関東近辺はこんなに青空なので、北海道では降りられるかどうかという状況が想像できません。
当然というべきか、こういう時恒例の「新千歳に降りられない場合は、他の空港に降りるか羽田に引き返します」という条件付き運航となっています。大丈夫だろうと思いつつもちょっと心配。
席はエンジンの真横ですが、ロールスロイスのTrent XWBエンジンは驚くほど静か。座席もほどよい硬さで快適ですし、非番の疲れもあってドリンクサービスを受けるなり眠りこけてしまいました。
目が覚めればすでに北海道苫小牧市の上空。見える限りではそこまで荒れた天気には見えないのですが…
千歳市上空をぐるりと回り込んで、北側から新千歳空港に降り立ちます。当初の予定より1時間半遅れの15時、とりあえずは無事に北海道へ上陸できました。
札幌よりも海に近い苫小牧や千歳は雪の少ない印象ですが、今日は滑走路横の芝生にうずたかく雪が積まれています。
なお羽田を出発する時はJR千歳線の運転再開は15時頃の見込み、と出ていましたが果たして…?
JA824A / All Nippon Airways / Boeing 787-8 Dreamliner
冬のJR北海道の再開見込みがアテにならないのは、数度の経験でなんとなくわかっています。案の定運転再開見込みは17時へと伸びており、この調子でいくとさらに遅れる可能性が否定できません。
Twitterを見るとJRに乗れない人がバスのりばに長蛇の列を作っており、その空港連絡バスも高速道路の通行止めを受けてめちゃくちゃになっているらしい…
この状況でバスのりばで待っていても得られるものは何もないので、とりあえず趣味のことをやっておきましょう。
風向きが変わったようで、さっきとは逆の北向きへ飛行機が離着陸するようになりました。太陽は全く姿を見せない天気ですが、それでも雪の反射が機体の影を打ち消します。
羽田から乗ってきたJA11XJは東京への折り返しに向けて「デアイシング」と呼ばれる作業が始まりました。温水を混ぜた除氷液で機体表面の氷を溶かし落としたあと、除氷液を機体に散布して特に翼へ雪や氷が付着するのを防ぐものです。
絶妙なタイミングで始める必要があり、ギリギリに始めると出発時刻に遅れてしまいますし、早すぎても除氷液の効力が切れてしまうのでやり直しが必要です。
作業する人とトラックを運転する人も息を合わせなければいけないでしょうから、難しい作業です。こうした仕事の積み重ねで飛行機の安全は守られているわけですね。
JA11XJ / Japan Airlines / Airbus A350-900
すっかり日が暮れてきました。可能な限りレンズを窓に近づけて撮っているものの、背後の案内サインやフードコート店舗の看板がしっかりと写り込んでいます。冬の期間は展望デッキが閉鎖されているので仕方がありません…
羽田からお世話になったJA11XJが折り返していきます。去年の9月に導入されたばかりのピカピカの機材で、機内はまだ新品の匂いがしていました。
乗ってきた機体が飛び立つのを見届けた後で、エネルギー補給をしておくことにします。あと30分でJR線運転再開予定の17時になるわけですが、Twitterを見ている限りでは到底動きそうにありません。
こういう時だからこそ慌てず騒がず腰を落ち着けて、必要なことを済ませておくのが大切。
札幌市電のレプリカ車両が据えられた「市電通り食堂街」の突き当たりにある、「味処 きくよ食堂」で北海道らしく海鮮丼をいただくことにします。メニューによっては自分の好みの海鮮丼の具材を選ぶことができ、あさかぜは「四種お好み丼」の中でうに・いくら・かに・ほたてを選びました。2,680円という価格は空港の中ではかなり良心的だと思います。
載せられた具を食べてみれば価格に納得です。関東で回っている安い寿司ネタとは到底比較にならないレベルの新鮮さと味の良さ。
「ウニは臭くてダメだ…」という苦手意識を持っている方は、ぜひこうした新鮮なウニを食べてみていただきたい。これを食べてダメなら本当にウニはダメだと思う、それぐらいおいしいウニですし、ウニに限らずどの海鮮も同じです。
海鮮丼に舌鼓を打ったあと1階に降りてJRの様子を見に行ってみましたが、運転再開見込みはさらに伸びて20時になったとか。この様子では今日中に動かないんじゃないかという気がしてきます。
JRが動くのを待っているのは得策ではないようですから、北都交通のカウンターに行ってバスのチケットを買っておきました。
どのみち乗ろうとしているバスの発車時刻まではまだ余裕があります。以前から気になっていたターミナルビル5階の「新千歳空港温泉」で疲れを落とし体を温めましょう。
洗い場も浴槽もかなり広く、その割には利用客が少なかったのでのびのび体を伸ばすことができました。怖いもの見たさで露天風呂に出てみましたが、ビシビシと吹雪が叩きつけてくる中で入るというのも刺激的な経験です。湯船に入るまでに凍り付くかと思いましたが…
www.new-chitose-airport-onsen.com
防寒具を整え、意を決していよいよバスの列に並びます。相変わらず札幌市街地ゆきののりばには長蛇の列ができていましたが、1日わずかしかない真駒内ゆきのバスのりばは発車40分前で10名程度にとどまっています。
周囲を見渡してみると、冬の北海道へ来ているというのに内地とさして変わらない服装で来ている人が多いことに驚きます。近くではカイロをカサカサやりながら必死に寒さに耐えている人たちの姿も見えましたが、薄いダウンやコートではどうやっても寒いでしょう…
冬の北海道は風をしっかりシャットアウトし、服の中に体温をとどめる服装がとても大切です。薄着で過ごせるほど暖かいのはあくまで屋内での話。
そもそも天気が悪くなるのは数日前から明らかだったわけですから、雪や風への対策を怠ればひどく寒い思いをするのはわかりきっています。北海道の冬を舐めてかかってはいけません。
仮に札幌などの都市部にとどまる旅程を組んだとしても、オシャレさではなく荒天の可能性を考えた寒さ対策がとてもとても大事です。
あさかぜは上下をワークマン・イージスで固め、マフラーで風や雪が入り込まないようにブロックした上で、長袖の下着とタイツもつけています。頭には耳まで覆うニット帽。温泉に入って体を温めておいたのも正解で、もはや寒くないとまで言えます。
繰り返しますが、冬の北海道に来る服装で大事なのはウインドブレーカーのように風や雪をブロックする外側と、ダウンなどで熱をキープする空気層を中に設けること。これを意識するだけで屋外の北海道はかなりマシになります。
なんだかんだ真駒内ゆきのバスも補助席まで使って満員となりました。トイレに行きたくならないことを願いつつ、荷物を抱えてバスの席に縮こまって座ります。
21時前、なんと新千歳空港から2時間半を要してようやく地下鉄の真駒内駅に到着しました。札幌市街の高速道路は通行止めとなっており、バスは大渋滞の北広島で降りてアウトレットモールを経由し、ひたすら一般道で札幌市南側までたどり着いたと…
この長丁場を運転してくれた運転士さん、ありがとうございました。
例年とは違う明らかに重たい雪が降っています。確かにこんな雪がやむことなく激しいペースで降り続ければ、鉄道に限らず交通がマヒするのも納得せざるを得ません。
そうやって各所が混乱する中、定刻で運転を行っているのが他でもない札幌市営地下鉄です。全線が地下トンネルもしくはシェルターで覆われているので、雪や雨に左右されることなく運行が可能というのは大都市の交通機関としては無敵といってもいいレベル。
今日はいつも以上に地下鉄のありがたみが身に染みます…
中島公園で降りてホテルにチェックイン。
荷物を置いて身軽になってから、いつもの「だるま 6.4店」でジンギスカンを食べることにしました。新型コロナウイルス流行の影響で朝5時までの営業時間が23時に縮まっていましたし、この天気も相まって店内はだいぶ空いていました。
2年ぐらい前に来たときは店内撮影禁止の札が外れていたのですが、いつの間にか復活しています。以前ほどうるさくは言われないようですが…
そしてほぼ全てのメニューが値上がりしています。標準メニューの「ジンギスカン」、柔らかい「上肉」はともに1.5倍ぐらいの値付けに。肉質が悪くなったわけではないので良いとしても、変わらないがゆえにこの値上げ後の価格は痛い。割と財布の中身を気にせずに食べてもお腹いっぱいになれるところも大きな魅力だったのに…
残念ですが、次のジンギスカンのお店を開拓する必要が出てきてしまったようです。
…だから客が少なかったのかしら。
ホテルに戻ってきました。今回はJALパックで一番安かった「ホテルネッツ札幌」という真新しいホテルを選んだのですが、良い意味で驚きです。
設備がきれいなのはもちろんのこと、シングルの部屋なのにトイレとバスが別という好待遇!たかだか個人パッケージツアーで来ているのに申し訳なくなってきます。
シャワーを浴びて、いまひとつ食べ足りなかったのでホテル近くのセイコーマートで買ってきたつまみとサッポロクラシックで晩酌。
はてさて、明日はどんな一日になるのでしょうか。