頭に糖分を送り込んだところで、国道120号線を進み続けます。中禅寺湖の北側にある湯元温泉を過ぎると景色はだんだん春から逆戻りしていきます。
このあたりは積雪も多いようで、12月下旬~4月下旬までは通行止め。今年もつい先週ぐらいに開通したばかりでした。
ちょっと窓を開けるとかなり冷たい風が入ってきます。バイクで来なくて良かった…
峠をくぐる金精トンネルを越えると…
道路際にはまだ雪が残っていました。窓を開けるとやっぱり寒い!
夏タイヤで大丈夫だったのだろうかと一瞬不安になりましたが、山の下からトヨタ・86が駆け上がってきたので大丈夫そうです。どう見ても夏タイヤの後輪駆動車が事故ることなく上がってきたなら問題ありません。
金精峠を過ぎると山道は下る一方で、エンジンが非力なフリードでもそれなりに走れるようになります。ホンダが売りにする低重心構造はなかなかのもので、セダンやスポーツモデルにはもちろん劣るものの他社のミニバンに比べればコーナーを攻めやすい。
途中には「菅沼キャンプ村」というキャンプ場もありました。この時期だとまだまだ寒そうですね…
さて、この菅沼を過ぎた少し先に丸沼という湖があり、その先端に丸沼堰堤というダムがあります。このダムは日本に8基しかない珍しい建設方法で造られており、「バットレスダム」という形式です。
こんな貴重なダムは見ておくしかない!というわけで寄り道します。光徳牧場で「丸沼ダムに寄ってからいきます!」と宣言しておいたので平気でしょう。
と意気揚々とクルマを降りてきたのですが、ダムの全景を見るのがかなり難しい…
天端に通じる道は木々がうっそうと茂っており、ダムを見渡すのは困難です。
途中の道を分かれて斜面を降りていくと川べりに出て、さらにドラム缶のいかだに乗ればダムの正面へ行けるらしいのですが、ドラム缶のいかだってかなりハードルが高いですよね…ちゃんとひっくり返らないようにはなっているそうですが。
しかも分かれ道の入口には「ツキノワグマも山の住民だから、出会わないように装備を調えてうまく付き合いましょうね」みたいな内容の看板が立っており、クマが出ることは明白です。
…うん、下に降りるのはやめましょう。
というわけで正面から見るのはまたの機会に回し、ダムの説明看板でお茶を濁すことにします。
バットレスダムとは水の重さに対して直角に立ったコンクリート製の壁(扶壁=バットレス)で支えるダムのことで、日本語では「中空堰堤式」とか「扶壁式」とか書かれることもあるようです。
コンクリートの使用量を減らすことができる建設方法で、1931年に完成したこの丸沼ダムは現在でも日本で最も大きなバットレスダムとして君臨しています。
ただコンクリートの価格低下で節約する意味が薄れ、逆に複雑な設計や地震への弱さというデメリットの方が目立ってきたためになおさら建設の理由がなくなります。先述の通り8基の建設にとどまり、現存するのは6基。とても貴重なダムです。
丸沼高原はスキーリゾートや温泉地となっているようです。
ダムを正面から見られる場所がないかちょっと調べてみましたが、このあたりにはなさそうですね…先を急ぎます。
途中のドライブインではちょうどマスツーリングの人たちが出発するところでした。あのクソ寒かった金精峠を越えてきたのでしょうか…?
あさかぜがミニバンで割り込む理由もないので先を譲ります。紳士的なライダーばかりでわざわざ手を上げてお礼をしてくれました。こういう心遣いはとても大切ですから自分も見習わねば。
マスツーご一行は片品村の道の駅へと入っていきました。
あさかぜは国道120号から外れ、小さな川に沿って走る群馬県道64号線をのんびりと走っていきます。
お昼ご飯を食べる道の駅「川場田園プラザ」に到着しました。駐車場だけでもかなりの広さです。
「1日まるごと楽しめる」のキャッチコピーの通りビックリするほど広い敷地です…見渡す範囲が全て道の駅。こんな広々とした道の駅は初めてかもしれません。
ツツジが鮮やかです。目の前の池には錦鯉が泳いでいますし、橋まで架かっています。農地の蔵や住宅をイメージしたような建物にはそれぞれ物販店やレストランが分かれて入っているようで、どこに入ろうか迷ってしまいます。
なお道の駅だけでなく周辺にはキャンプ場や日帰り温泉、はたまたホテルまで整備されており、川場村の一大観光スポットになっていることがよくわかります。
ちなみにNIKKEIプラス1によれば家族で一日楽しめる道の駅の東日本部門で第1位だそうです。すごいですねぇ…
温泉があるとなれば入っていきたいところですが、午前3時起きでそこそこ眠くなりつつあるこの状態で入ったらおそらく家に帰れなくなるでしょう…
悩んだ結果、お昼ご飯は観光案内所の隣にある「麺屋 川匠」に入ることにしました。
ラーメンを売りにしている店に入っておきながら、「群馬まで来たなら上州牛だよなぁ」と「上州牛のすき焼き重」を選びました。券売機で購入すると自動的に厨房にオーダーが反映され、番号が呼ばれたら取りに行くスタイル。
すき焼きというだけでおいしいので、あまり上州牛という感じはよくわかりません。薄切り肉ですし、甘辛く味付けがされていたら何でもおいしいものです。欲を言えばもっと味が濃いめだったらよかったかなぁ…?
ラーメンを大盛りにしていた後輩は結構な量が来ていました。道の駅らしいお得感。
少しばかりおみやげも買って、田園プラザをあとにします。少しばかり田園風景の中を走ったら左に折れてまた山の中を進んでいきます。
今まですっきりと晴れていた場所ばかりでしたが、赤城山に近づくにつれて雲が増えてきました。クルマの外気温計を見ていてもどんどん気温が下がってきます。とりあえず雨さえ降らなければそれでいいのですが…
道中には薗原ダムという重力式コンクリートダムがあってそこにも立ち寄ろうとしていたのですが、入口の看板を見落としてしまい通り過ぎてしまいました…
右側に見えるのは赤城山の足下に広がる大沼です。雲はだいぶ分厚く垂れ込めてしまい少し残念です。
山を下ってくるルートはそれなりにコーナーは攻められる、という話を午前中にしましたが、ミニバンで攻めると前のクルマはなかなか譲ってくれません。ガラの悪いスポーツカー集団が後ろから来たらどかなきゃってなりますが、フルノーマルのチンケなミニバンが後ろから追いついたところで「なんだコイツ、調子乗りやがって」となるのでしょうかね…
というわけで大沼湖畔の「おのこ駐車場」に無事到着。まだお昼2時過ぎですが、雲が分厚くてもう夕方の雰囲気です。
まだ赤城の山は新緑に輝く季節には早かったようで、素寒貧とした寂しい風景が広がります。気温もだいぶ低く、上着をクルマに置きっぱなしにしたことを後悔するほどです。
時期が早いのかコロナ禍のせいなのかはわかりませんが貸しボートは休業中のようで、湖の上には何もありません。
我々以外には数台のクルマしか駐車場にはいませんでしたが、土産物屋やレストランは何件か営業しているようです。人が少ないのは快適でいいのですが、やはりどうにも張り合いのない光景ですねぇ…
みんなで集まった記念写真を駐車場で撮ってから、南西方向へ峠を下っていきます。次に集まる前橋市内のコンビニが解散場所です。
道中には桜のような花がいたるところで咲いていますが、ずいぶん遅咲きの桜なのですね。
左側に見えているのは姫百合駐車場で近くの荒山、鍋割山への登山口となる場所だそうです。すぐ裏側にはヤドリギの群生地もある、とGoogleマップには出ていました。
前橋市内に入ってくると突然目の前に現れる大きな赤い鳥居にビックリします。近くに神社があるわけでもないのにこんなところに鳥居…?
これは「赤城山大鳥居」といって、元は天明4年(1784年)に飢餓や浅間山の大噴火といった災厄を鎮めよう、このあたりに住む人たちに加護があるように、とのことで「一之鳥居」として建てられたそうです。
現在の鳥居は昭和40年の県道拡張に伴って建て直されたもので、こちら側は裏側なので見えませんが表側からは「赤城山」と書かれた額が見えるそう。
「前橋まるごとガイド」に載っている写真を見ると、天気が良い日は後ろにそびえる赤城山まで見通せるようですね。
大鳥居のすぐ先にあるコンビニで補給と別れのあいさつを済ませたら帰路につきます。ほとんどのメンバーが午前3時起きでそれなりに眠くなりつつあるのでこの辺で切り上げます。まだ夕方4時前ですが、もう起きてから半日以上が経過しているのです…
帰る方向が概ね同じ数台にくっついて前橋市街地へと足を進めます。
さすがに市街地まで出てくるとある程度の混雑は避けられません。今日一日「信号待ち」という概念を持たずに走っていたこともあって、しばしば信号で引っかかる交差点にちょっとばかりいらだちを覚えなくもありません。
それでも割とスムーズに市内を抜けてきたようです。前橋ICから関越道に入り一路東京を目指します。
最後に上里SAでトイレ休憩を済ませて解散。足が遅い上にダム見学をしたがるあさかぜのワガママを聞き入れてくれてありがとうございました!
渋滞の名所である花園ICや高坂SAの周辺は混み合うことなくスムーズに抜けてきました。
関越道はさっき入ってきた前橋ICから起点のすぐそばである大泉JCTまで、90km以上にわたって片側3車線の広々とした道路になっています。ところが今後予定されている最高速度120km/hの区間に関越道が含まれていないのはなぜなのでしょう…?線形もいいですし、流れているクルマの速度もかなり速めです。
むしろ東関東道の千葉北IC~成田JCTが含まれているのは意味不明です。あの道路は中央車線を80km/h台で走る走路妨害のようなクルマばかりだというのに…最高速度を引き上げたら事故かトラブルだらけになるんじゃないかと今から心配です。
…そもそも、左右から抜かれているのに真ん中の車線を走り続ける人の心理ってどうなっているんでしょうね。
所沢まで出てくるとさすがに交通量が増えてきました。去年の9月に友人たちと旅行に行ったときは鶴ヶ島JCTから圏央道に入って東北道へ抜けてから外環道へ抜けましたが、「Yahoo!カーナビ」によれば大泉まで行ってしまった方が早いとの判断。それを信じましょう。
美女木JCTのあたりで左側車線に渋滞が起きていた以外は確かにずっとスムーズに流れていました。
何度か通っていますが美女木というのは恐ろしいジャンクションです。高速道路に信号はないという思い込みを根底から覆してくれます。いや確かに法令上は「高速道路」ではないのですが、時速80km以上でクルマが走っているような道路に堂々と信号があったらそりゃ驚きます。
順調さは変わらず千葉県内まで戻って来ました。三郷南ICから南側は2018年に開業した新しい区間です。これのおかげで千葉県からは首都高を経由しなければ抜けられなかった常磐道・東北道・関越道にスムーズに通り抜けられるようになり、劇的にアクセスが改善されました。
あとは朝の川口JCT周辺の渋滞がなんとかなってくれればいいのですが…
帰りは京葉JCTを素通りしてそのまま東関東道まで進んでいきます。給油ついでに身の回りのものをホームセンターで買って帰らねば…
谷津船橋ICで東関道を降りて今日の旅はおしまい。
普段であれば満タンに入れても36Lしかないのでせいぜい400kmぐらいしか走れないのですが、今日の平均燃費はなんとリッター19kmを上回りました。500km以上走ってきたのにタンクにはまだあと1/3ほど残っているようで、まだあと100km以上走れます。やればできるじゃん!
さて、眠くなって何をするにも面倒くさくなってきたので、気が変わらないうちに買い物を済ませて帰りましょう。