あさかぜみずほの趣味活動記録簿

旅行記や主に飛行機の写真をひたすら載せ続ける、趣味のブログです。たまに日記らしき投稿もあり…?

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ひとりでお気楽アルペン紀行 - 2日目【後編】(2020年9月11日)

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ここからは日本で唯一残っているトロリーバスに乗ります。関電トンネル電気バスでも触れたとおりトロリーバスも鉄道の一種。立山トンネルトロリーバスと案内されていますが、正式な名称は「立山黒部貫光無軌条電車線」という物々しい路線名。走っている車両は8000形という形式が振られています。
なおアルペンルートは黒部平から富山県側は全て立山黒部貫光が運営を担っています。社名は時間を意味する「貫」、宇宙を意味する「光」に立山連峰を「貫く」という意味合いを持たせた「貫光」が正しい書き方で、読み方は同じでも「観光」は誤りです。

関電トンネルがトロリーバスだったときに使われていた300形もこれとほぼ同じ構造です。

 

www.alpen-route.co.jp

 

 

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屋根の上には架線から集電するためのトロリーポールが生えています。普通の電車の場合は架線から取り込んだ電気はレールを伝って変電所に戻るという回路ができていますが、トロリーバスの場合はレールがないのでそれができません。なので変電所から送電される架線と、変電所に電気を戻す架線の2本が必ずセットになるのがトロリーバスの特徴。

 

 

 

関電トロリーバス トロリーポールの動き【4K60p】 - [YouTube] every dayday

www.youtube.com

 

こういう機構は見ているととても面白いのですが、保守という手間で見ると電気バスは革命的ですね…

 

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走り出すと1990年代の電車の音がして懐かしい気分になります。鉄道オタク向けに言えば東芝製のGTO-VVVFインバータ制御なので、走行音はまさに電車そのもの。でも乗り心地はバスなのでなんだか変な気分です。

およそ10分でアルペンルートの最高地点室堂に到着します。トロリーバスは全線が地下なので標高を感じるようなものは何も見えません。

 

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さ、寒い…!2,450mという標高に加えて雨が降っているのでめちゃくちゃ寒い!
巨大な「立山」と書かれた石のそばには立山玉殿の湧水」というお土産品にもなっている水が湧き出していますが、あまりの寒さに飲む気も触る気も起きません。とはいえせっかく最高地点まで来ているのです、少し散策しましょう。

 

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室堂は立山と剱(つるぎ)岳へ至る登山道への入口でもあります。ここまで来たとおりこのあたりはひたすら急峻な山々で、方向を案内する看板には半世紀の間に350人以上が転落死したことを示す警告も書かれていました。毎年7人は死んでいる計算です…

 

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室堂ターミナルに併設されている「ホテル立山。室堂も含めていくつも山荘はありますが、一般的な観光客は設備の整っているこのホテルに泊まった方が良さそうです。天気が悪くても外に出ること無くホテルにアクセスできますしね。

 

h-tateyama.alpen-route.co.jp

 

 

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室堂駅から離れるにつれて雨が強くなり、霧も濃くなってきました。さっき「立山」の石の裏側に見えていた室堂山荘も霧に隠れて見えなくなってしまいました。

ロープで仕切られた先には高山植物が育っています。黄色く色づいているのは「イワイチョウで、岩銀杏の漢字が示すように葉の形がイチョウに似ていることからこの名前がつけられました。
右下に見える赤っぽいものは「チングルマの実。夏には白い花を咲かせるそうですが、今の時期は彼岸花のなり損ないみたいな姿になっています…

 

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「みくりが池」の見えるところまでやって来たはずですが、濃い霧に阻まれて何も見えませんアルペンルート公式サイトによれば
北アルプスで最も美しい火山湖と言われている。青い水面には周囲の約3000m級の山々が映り込んで、見事な景観が生まれており、春には残雪の白さが絶妙なアクセントとなって素敵な光景を映しだしている。』
だそうですが…

 

www.alpen-route.com

 

 

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…うん。

室堂ターミナルに戻りましょう。降り続く雨で足下もビチャビチャで周囲一帯が池みたいになっています。そして何より寒い

ターミナル内でおやつにおやきを食べて、立山高原バスの乗車口に並びます。

 

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天狗平・弥陀ヶ原(みだがはら)で乗降するか美女平までノンストップかで乗車口が違いますが、あさかぜは迷うこと無くノンストップ便ののりばへ。もう歩き疲れましたし、この天気では外へ出るのもさすがに苦痛です。

室堂から美女平までは50分と立山高原バスアルペンルートの中では最も長い乗車時間の乗り物になります。座席はリクライニングするし、車内は暖房で暖かいしで一気に睡魔に襲われます。

 

www.alpen-route.com

 

 

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景色を眺めるはずが快適さに負けて爆睡してしまいました…

標高2,450mの室堂から977mの美女平まで一気に降りてきます。雨が上がって霧が立ちこめていますが、暖かく感じるぐらいに気温が上がりました。道路そのものはこの先斜面をぐるぐると下って次の目的地となる立山駅まで繋がっていますが、バスの運行はここ美女平まで。アルペンルートの乗客はここからケーブルカーで山を下りることになります。

一度に数台のバスの乗客がケーブルカーに集中して行列になっているので、バスの合間になる便まで20分ほど待つことにしました。

 

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駅の横にそびえているのは美女平の由来にもなっている「美女杉」。女人禁制だった頃の立山で語り継がれた伝承に由来するもので、現在は恋愛成就のパワースポットとなっているそうです。ほとんどの人が一目散にケーブルカーに並んでいたのを見るとあまり有名ではないようですが…

 

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美女平から降りてくる立山ケーブルカーアルペンルートを締めくくる最後の乗り物です。黒部ダムの建設資材を輸送したことの名残で下側に貨車をつないでいる姿が特徴的です。現在でも室堂のホテルなどへの物資輸送に使われているのでしょう。

高低差487mを7分で降りてきました。さすがにこの時間ともなるとアルペンルート扇沢まで抜けることはできないので、上りのケーブルカーへ乗る乗客はわずかです。ホテル立山などの宿泊客ぐらいですかね。

 

www.alpen-route.com

 

 

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駅舎は富山地方鉄道立山駅と同居しており、天気が悪くても外に出ずに乗換が出来ます。1つ前のケーブルカーなら地鉄に接続できたはずですが、急ぎの旅ではありませんから待つのもまた楽しみです。
観光客の多いシーズンならお土産や宿泊の客で賑わっていることでしょうが、今は人影がほとんどありません。2~3台いた迎えのクルマが走り去ると静まりかえってしまいました。

写真左奥には富山県が運営する「立山カルデラ砂防博物館」があり、立山の自然環境を学べるそう。

 

www.tatecal.or.jp

 

 

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駅構内には無料の休憩所が設けられています。食堂も併設されており、時間帯によってはここで食べてしまった方が色々楽かもしれません。食事とただ休憩する人のスペースは一応分けられており、「ただ座ってるヤツに邪魔されてご飯が食べられない!」ということがないように配慮されていました。

 

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美女平ではいったん上がっていた雨がまた降り始めました。ポツポツと降ってくる雨に濡れながら電車の到着を待ちます。到着したのは元京阪3000系を改造した富山地方鉄道10030形電車。
構内に戻って乗り込みましょう。

 

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ブレーキや台車・モーターなど主要機器は現役時代と異なっているものの、車両そのものは現役時代の雰囲気を強く残している10030形。ちなみに地鉄の形式の付け方はかなり独特で、上3ケタでモーターの馬力、下2ケタで形式を示す5ケタが付番されています。あさかぜの知る限りでは富山地鉄以外に例がありません。

 

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京阪時代のテレビカーというロゴも残っています。本家ともいえる京阪では車内でテレビを見る時代ではなくなったとして2013年までに消滅していますが、富山地鉄では2012年になって京阪時代のカラーリングを再現すると共に写真の10034号車に液晶テレビを復活させています。この日は何も映っていませんでしたが…

そもそもこの10033-10034の車両は塗装の復元と共に京阪から譲渡された2階建て車両を挟んだ「ダブルデッカーエキスプレス」となっていたはずですが、コロナウイルス騒ぎの影響で外されてしまっているようです。残念…
むしろ貴重な姿を見られた、とポジティブに捉えるべきですかね。

 

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車内は転換クロスシートで京阪特急らしい雰囲気。バネの利いた昔ながらの座り心地で懐かしい気分になりますが、シートモケットは現役時代とは異なるそうです。

わずかな乗客を乗せて立山を定刻通り発車しました。ガッタンガッタンと左右に身を揺らしながら常願寺川に沿ってゆっくりと進んでいきます。

 

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立山駅の売店地ビールを買ってみました。「星の空」という名前の室堂で立ち寄った玉殿の湧水を使って仕込んだビールだそうで、「星に一番近い水」なんて大それたキャッチまで打たれています。なお醸造新潟県

原材料には麦芽・ホップに混ざって米が入っています。最近はこういう日本酒の風味が入った焼酎やビールが流行りなのでしょうか。

 

alpen-route.jp

 

 

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岩峅寺(いわくらじ)という駅で不二越・上滝線を分けます。向こうに見えているのは14760形という電車。1979~81年にかけて合計15両が製造された地鉄の主力車両の一角で、この車両よりあとは他社からの譲渡車となっているため、現状では最後の地鉄オリジナル車両となっています。

 

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立山から1時間10分で終点の電鉄富山に到着する頃にはとっぷりと日が暮れていました。
隣にはやけに見覚えのある車両が…言うまでもなく東急8590系で、地鉄に渡ってきてからは17480形を名乗っています。行先表示のフォントまで東急時代と同じなのは芸が細かいですね。

側面のドアは4つのうち2つだけしか開かないようになっていますが、座席はそのままオールロングシート…これで特急に入ったりするのですから勘弁して欲しいところではあります。10030形で良かった…

 

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電鉄富山駅の斜め前がJR富山駅。大きな駅なので周辺に食事をする場所があり、富山と言えばもちろん富山ブラック」と呼ばれるご当地ラーメンが有名です。スープが真っ黒に見えるぐらいどぎつい醤油味なのが特徴。

富山に降りたのはおよそ10年ぶりなのでラーメンを食べても良かったのですが、今夜は金沢でお寿司を食べるつもりなので後ろ髪を引かれる思いでパスします。これが大きな誤りであったことにあとで気付くのですが、この時のあさかぜは知る余地もありません…

 

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高山本線は大雨で運転見合わせ、再開見込み不明となっていましたが、金沢まではなんともなさそうです。
北陸新幹線に並行するこの区間は2015年の開業と同時に富山県の出資する第三セクター「あいの風とやま鉄道」へと移管されました。会社として保有する区間新潟県側の市振から石川県側の倶利伽羅までと、知っている人からすれば「はぁ?」となるレベルの田舎駅ですが、運行上ではIRいしかわ鉄道(石川県側)~富山~泊と泊~えちごトキめき鉄道新潟県側)と会社をまたぐ運用が主体です。それでも「泊か…」という感じもしますが、市振で下ろされるよりはマシでしょうね。

夕ラッシュ時間帯ということもあって車両はラッシュ対応用に残る413系が充当。あとで調べてみたらほとんどの列車は521系で運転されており、オンボロ413系は3本しか運用されていないようなのでラッキーでした。高岡駅の手前で座れたので半世紀を生き抜く古豪のモーター音を楽しみます。

 

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ちょうど1時間で終点の金沢に到着しました。IRいしかわ鉄道・あいの風とやま鉄道ともに写真右側の521系が主力となっており、413系はあいの風とやま鉄道に4編成が残るのみです。413系は車体こそ1986年製ですが、足回りは1960年代半ばに製造された急行形電車がベースとなっているので半世紀以上に渡って使われ続けています。姿を消すのも時間の問題です。

 

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これで最後になるかもしれない413系の姿を写真に収めておきます。オイスターホワイトをベースに水色と青色の帯を巻いた「新北陸色」でないのは残念ですが、この際贅沢は言っていられません

しかしこの「県境をまたぐと運行会社も変わる」というシステムはなんとかならないものかと思いますね…会社が変わると言うことは運賃も別立てとなるわけで、JR時代に比べると割高感はかなり強くなります。
2020年現在、県をまたいでも同一会社で運行しているのは九州新幹線並行在来線となった「肥薩おれんじ鉄道」(鹿児島県・熊本県)のみ。金沢~富山の往来を見ると決して地域間の結びつきが弱いなんてことはないはずなのですが…

 

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何はともあれ無事本日の目的地である金沢に到着しました。お腹も空いたことですし、ホテルに荷物を置いて息を整えたら夕食を食べに出ることにしましょう。やはり金沢へ来たならば日本海の海の幸をいただかなければなりません。

回転寿司でのどぐろを食べて一杯やるぞ!

と意気揚々とホテルを出てきたのですが、駅ビルで21時半まで営業しているはずの「廻る富山湾 すし玉 金沢駅前店」はすでにシャッターが半分下りて営業終了のご様子…まだ20時間前なのに?

22時まで営業と出ていた駅前の「金沢フォーラス」に入っている「北陸金沢 まわる寿し もりもり寿し 」は無情にもCLOSEDの札が出ていました。

…これは食事をする場所がないのでは?

 

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周辺のコンビニもお弁当の類いはほとんど残っていません。あちこちを放浪した結果、入ったのは「居酒屋 さかなや道場 金沢駅店」…どこにでもあるじゃないか…
何のために金沢まで来たのでしょうね。

 

www.chimney.co.jp

 

 

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刺身3種盛り定食をいただきますが、マグロ・サーモン・はまちと全く北陸感のない組み合わせ。どのみち空腹なのでおいしく感じますが、それがなおさら敗北感を際立たせます。

 

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申し訳程度の北陸要素として「白エビの唐揚げ」を注文しましたが、塩味ばかりが強すぎてなんじゃこりゃ?という味。おかげで酒はよく進みますが、エビらしい繊細な味は全くなくなっています。何も当たりがない夕食となってしまいました。昨晩のルートインの方がまだおいしいものを食べていた気がします。

すぐそばのホテルに戻り、酔いが醒めるのを待って大浴場へ向かうとこちらにも「営業終了」の札が出ているではありませんか!25時まで開いているはずでは?まだ24時前なのに?

しかし開いていないんじゃ仕方ありません。立ち入って怒られたくもありませんし。すごすごと部屋に戻ってシャワーを浴びておしまい。
こういう言い方をしてはアレですが金沢にはガッカリです。もう疲れましたしさっさと寝てしまいましょう。

おやすみ!