長野市に来たことですし定番の善光寺へお詣りに。長野駅善光寺口にあるバスのりばのうち、1番からのバスは全て善光寺を通るわかりやすい案内です。
普段は善光寺までのバスは10分を切る間隔で運行されていますが、こちらもコロナウイルスの影響を受けて市内の観光循環バスが運休となっています。それでもだいたい15分おきには走っているのでまだマシですが。
あいにく善光寺に着く頃には本降りになってしまいました。旅の荷物があるとなるべく傘は差したくないのですが…気温も下がってきてこのままではカゼをひいてしまいそうです。
善光寺に来たのは職場の班旅行以来なのでおよそ2年ぶりでしょうか。あの時もザーザー降りだった覚えがあります。
前回と同様に「お戒壇巡り」をしに本堂へ入りましょう。
『お戒壇巡りとは、瑠璃壇床下の真っ暗な回廊を巡り、中程に懸かる「極楽の錠前」に触れることで、錠前の真上におられる秘仏の御本尊様と血縁を果たし、往生の際にお迎えに来ていただけるという約束をいただける道場です』(信州善光寺公式サイトより)
真っ暗な中を右手で壁に触れながら手探りで錠前を探り当てるというなかなかスリリングなもので、前後の人の気配を感じながらゆっくりゆっくり進んでいきます。内部は何一つ照明がないので本当の真っ暗闇…!
…だったのは2年前の話。
あの時のスリルを味わいたくてまた入ってみると、密集を避けるためなのかそれとも事故でもあったのか、足下に小さなLED照明がいくつも並べられてうっすら明るくなっていました。「極楽の錠前」の場所も丸わかりで、致し方ないとはいえ興ざめしてしまうのもまた事実です。
お戒壇巡りを終えて出てくると土砂降りになっていました。さすがにこれでは外を歩くことはできませんので、周りの人たちも屋根の下で雨が上がるのを待っています。時にはこうしてじっと雨音に耳を傾ける心の余裕を持つことも大切、という仏の教えなのかもしれません。
10分ほどで雨脚は弱まり、傘が無くても歩けるぐらいになりました。心なしか雨で空気が洗われて景色がきれいになったようにも思えます。
足下は水浸しだし滑るしでヒヤヒヤしますが…
普段なら参拝者で賑わっているであろう参道は閑散としていますし、お店も多くは閉店しているようで全く賑わいがありません。いつになったら全国に活気が戻ってくるのでしょうか。
雲の切れ間から日が差してきました。濡れた石畳に光が反射して参道全体がつややかになり、思わず見とれてしまいました。昔ながらの通りの奥に山門がそびえる景色は善光寺ならではの美しさでしょう。
再びバスで長野駅まで戻ってきました。職場にモバイルバッテリーを充電したまま置き忘れてきたことに気がついたので、駅前のドンキホーテで新しいものを購入しておきます。3,000円ぐらいの聞いたこともない中国メーカー製ですが、とりあえずこの旅行の間だけ使えてくれれば充分でしょう。
当初の計画では夕方の特急「しなの」で松本へ抜け、そこから大糸線の普通列車で目的地の信濃大町へ向かう予定でした。だがしかし善光寺参りを済ませてやることがありませんし、何しろ眠い…
今まで眠くても旅程をカットしようなんて思ったことはありませんでしたが、これが30歳になってしまった衰えなのでしょうか…
善光寺口にあるアルピコ交通の営業所で信濃大町までのバス乗車券を買ってきました。
松本経由で信濃大町へ出るのと、長野駅から出ている信濃大町へのバスに乗るのとでは到着時間に1時間半以上の差が出ます。「しなの」には何度か乗っていますし、バスなら確実に座れて乗換も無く寝ていれば着きます。しかも電車で行くより安い。
…うん、バスを選ぶのは合理的!
高速バスなどは善光寺口とは反対側にある東口のロータリーに発着します。信濃大町へ向かうバスは25番のりばから。
信濃大町経由扇沢ゆきは高速バスに使う大型のハイデッカー車で到着しましたが、乗客はあさかぜと大きな荷物を持ったお姉さんだけ。いくら平日とはいえ寂しすぎる車内です。
長野市内を離れるとバスはひたすら犀川に沿って右へ左へと山に分け入っていきます。バスの暖房と心地よい振動によって一気に眠りへと誘われてしまいました。
およそ1時間で信濃大町駅に到着。
大糸線内では松本に次いで乗降客が多いのがここ信濃大町。1916年に開業した歴史ある駅舎が現役で使用されています。松本から来る大糸線の列車もだいたいが信濃大町を運行の境にしており、この先の区間は運転本数もぐっと減ります。
駅舎は2010年のリニューアルでログハウス風になりました。あさかぜは改装前の姿を知りませんが、Google画像検索で調べると「別の建物でしょ!?」と思うぐらい姿が異なります。ずいぶん思い切ったことをしたものです…
そのおかげでアルペンルートをはじめとした登山口に位置する駅として、ぴったりの貫禄を得たようにも感じられます。
ホテルに荷物を置いてくる前に今夜行こうと思っていたラーメン屋が開いているか見に行ったのですが…
下調べでは17時頃から営業しているはずなのに、18時を過ぎてもお店は暗いまま。変ですね、定休日は昨日のはずなのに。お店の前の札も「仕度中」のままになっていますし、入口から自動ドア越しにチラッと中を覗いても準備している気配がありません。これはもしかしなくてもお休みなのでは…?
仮にやっていたとしても、あさかぜには入店資格すらないということがわかりました。ネット上では見かけていましたが、「県外客お断り」の張り紙を生で見たのは初めてです。お一人さまメインで短時間の滞在がほとんどであろうラーメン屋でさえ門戸を閉ざしているとは…
失望の色を隠せませんが、田舎という狭いコミュニティの中でもし感染者が出ようものなら一時的な休業では済まされず、二度と営業できなくなる運命が待っているのかもしれません。そういう古くからある田舎ならではの息苦しさがあるのかもと想像してみると、県外からの異分子を排除するのも仕方がないことなのかもしれません。
それにしたって今日の夕食はここでガッツリと二郎風ラーメンにしようと思っていただけに、これ以上無くガッカリしてしまったのは紛れもない事実です。
ガッカリしようと何だろうと、やっていないし入れないものは仕方ありません。すぐそばにある「ホテルルートイン 信濃大町駅前」に入ってホテルのレストランで夜ご飯にしましょう。
チェックインすると宿泊者が少ないためか、料金そのままで部屋をダブルにアップグレードしてくれました。広々としたベッドを一人で使えるのは贅沢ですが、広すぎて使い切れません。自分の部屋なんてシングルのベッドのさらに半分しか使わないで寝ているというのに…
温泉に入ってさっぱりしたら晩酌のお時間です。歩き回って疲れたし、食べたいものを食べられなかった代わりにホテルのレストランでガッツリ飲んでやります。
レストランといっても夜は宿泊者向けの居酒屋として営業しているので、つまみ系のメニューは充実していますが主食はそんなに多くありません。お酒を飲んでいるのでそこまで主食が欲しいとは思いませんが、やっぱり何か物足りない…
ハイボールを3杯ぐらい飲んで気分が良くなったところで、煮干しラーメンで締めておしまい。ホテルのフロントで支払いを済ませ、あとは自動販売機で買ったビールを片手に部屋でグータラするだけです。時間はまだ夜8時半、夜更けというにはまだまだ早い…