あさかぜみずほの趣味活動記録簿

旅行記や主に飛行機の写真をひたすら載せ続ける、趣味のブログです。たまに日記らしき投稿もあり…?

どこかで働く駅員がひたすら旅行記や写真(主に飛行機)をひたすら載せ続けるブログです

↓活動拠点のホームページはこちら↓
https://cyberperorist.web.fc2.com/

男3人湯けむり旅行 - 1日目【後編】(2020年9月5日)

f:id:cyberpero:20210331154618j:plain

万座ハイウェーの途中にきれいな木目調の建物が見えました。いい加減クルマに乗ってばかりで少し飽きたことですし、なかなか雄大な景色になってきたので降りてみることにします。

2018年にオープンした「万座しぜん情報館」環境省の設置した国立公園の案内施設だそうです。
すぐ裏には万座空噴という岩の割れ目から火山ガスが噴き出すエリアがあり、クルマを降りただけで硫化水素のニオイがツンと鼻をつきます

 

www.manzanc.jp

 

f:id:cyberpero:20210331154707j:plain

硫化水素が噴き出すあたりは植物もろくに生えていません。当たり前ですが人間にとっても硫化水素は猛毒なので各所に立入禁止のロープが張られています。

 

  

f:id:cyberpero:20210331154723j:plain

ここからそう遠くないところにそびえる草津白根山は噴火警戒レベルが2に設定されている活火山。2018年1月には突然噴火し、近くのスキー場で訓練していた自衛隊員1人が亡くなるという痛ましい事故も発生しています。
一方で草津の豊富な温泉の供給元となっているとても重要な火山でもあり、人々に計り知れない恩恵を与えているのももう一つの姿です。

 

f:id:cyberpero:20210331154756j:plain

風に乗ってずっと流れてくる硫化水素のニオイにウンザリしてしまいました。このままだと頭が痛くなりそうです。
「万座しぜん情報館」の館内にはこの上信越高原国立公園内で見られる動植物が展示されています。この写真はサンショウウオの子供たち。かわいらしいですね。

 

f:id:cyberpero:20210331154816j:plain

さらに30分ほどかけて日本の国道最高地点にやってきました。道路脇には記念の石碑と駐車場が用意されていますが、土曜日とあって駐車場は埋まっていました。このあとお昼ご飯も食べることですし、少し先の「渋峠ホテル」にクルマを置いて10分ちょっと歩いてきます。

 

www.kurumatabi.com

 

f:id:cyberpero:20210331154924j:plain

晴れてはいますが、ひっきりなしに雲が流れてきていて下の景色はクリアに見えません…

 

f:id:cyberpero:20210331154933j:plain

右方向を向けば荒涼とした白根山が見える…はずですが、やはり雲が多くて全体を見ることはできません。ちょっと残念。
それに標高が高い分薄着で来ると肌寒いぐらいです。男3人で並んで記念写真を撮り、自分たちを覆う雲で異世界感を味わったところで渋峠ホテルに戻ります。

 

f:id:cyberpero:20210331154953j:plain

渋峠ホテルのフロントでは国道最高地点を訪れた記念に1部100円で証明書を発行してくれます。日付と時間が入るので旅の良い記録になることでしょう。カードの図柄は何種類かあるので、何度も訪れてコンプリートするのも面白いかもしれません。

 

f:id:cyberpero:20210331155015j:plain

少し遅いお昼ご飯を渋峠ホテルのレストランでいただきます。山の上にあるからさぞかし高額だろう…と勝手に思い込んでいましたが、かき揚げそばが900円カツカレーが1,100円と良心的な価格設定
木が多用されたレストランはとてもおしゃれで落ち着いた雰囲気。分厚い木の板で作られたテーブルはなめらかに磨かれています。ここで紅茶やウイスキーなんかを片手にハードカバーの本を読めばサマになりそうですが、あさかぜがやっても勘違いして気取ったオッサンにしか見えないか…

 

shibutoge.com

 

f:id:cyberpero:20210331155111j:plain

ホテルの正面にあるのは渋峠ロマンスリフト。すぐそばにある横手山に設置されているスキー場のためのリフトで、夏場は観光用に営業しているのだとか。片道だけ利用してどちらか片方はトレッキングすることもできるようですが、装備も靴も体力も無い我々はおとなしく往復のリフト券を買って乗り込みます。

長さおよそ900mと聞くとそこまで長いようには思えませんが、乗っている時間は10分以上あります。

 

志賀高原 横手山渋峠
https://yokoteyama2307.com/

 

f:id:cyberpero:20210331155415j:plain

終点は標高2,307m地点。頂上のカフェやレストランはスキーシーズンじゃ無くても営業しています。普段であれば賑わっているのかもしれませんが、カフェを覗いてみると半分も席は埋まっていませんでした。今年はどこの観光地もこんな有様なのでしょうねぇ…

 

f:id:cyberpero:20210331155432j:plain

カフェの入っている建物はリフトののりばも兼ねており、それに乗れば横手山の反対側に降りることもできます。が、駐車場のある渋峠ホテル側に戻ってくるまでとんでもない距離を歩く羽目になるので、覚悟のある方だけにしましょう。
こちらのリフトの方が傾斜が急に見えますので、よりスリル感が味わえそうです。

せっかく頂上まで来たことですし、のんびりと食後のコーヒーとでもしゃれ込もうと思っていましたが…
「ちょっと空模様怪しくない…?」
とですうと氏が心配し始めます。確かに遠くの方から濃い灰色をした雲が流れてきていますし、心なしか気温も下がってきたような気がします

 

f:id:cyberpero:20210331155516j:plain

芝生ででんぐり返しするズッキー氏を冷ややかに眺めながらリフトに戻ります。青い空に雲が白く光って眩しい…!
写真も白飛びしてしまっていますが、これはカメラ(Cyber-shot RX-100)の設計が古いので仕方がない部分ではあります。数年の間にカメラのセンサーのダイナミックレンジは大幅に向上しました。

 

f:id:cyberpero:20210331155558j:plain

5分も経たないうちに灰色の雲が太陽にかぶってきました。気温もはっきりわかるぐらい下がっています。上りのリフトには今から山頂へ向かう人がちらほらいますが、きっと乗ったことを後悔しているんじゃないでしょうか…

 

f:id:cyberpero:20210331155618j:plain

さらに3分、雲の中に突入しました。さっき国道最高地点で巻かれていたような白い雲では無く、天候悪化待ったなしの灰色の雲です。そして気温がぐっと下がってすごく寒い!お願いだから早く下に着いてくれ…

 

f:id:cyberpero:20210331155644j:plain

渋峠ホテルは群馬県と長野県の県境に建っており、さっき入っていたレストランは群馬県側です。建物の屋根や色合いも県境で変わっていて面白い意匠ですね。

…なんて御託を並べているほど余裕がありません。ポツリポツリと冷たい雨粒が落ちてきていますし、何しろ寒くて仕方ありません。クルマのオートエアコンも暖房にモードが切り替わっていますが、そもそもエンジンが暖まっていないので温風が出てこない…

まもなく雨はザーザー降りに。これでのんきにコーヒーなんて飲んでいたら今頃ビショビショになってクルマに乗っているところでした。
雨に加えて雲に覆われて視界がかなり悪くなっている中、細心の注意を払いながら山を下ります。山の天気が変わりやすい怖さを身をもって思い知りました。

 

f:id:cyberpero:20210331155822j:plain

渋峠から草津の温泉街へ抜ける志賀草津道路草津白根山の火山活動を受けて通行規制がかかっています。17時以降の夜間は通り抜けられない他、万が一の噴石の被害を抑えるためバイクやソフトトップのクルマは常に通行禁止となっています。

そもそもこの辺りは「殺生河原」という物騒な名前の付いたエリアで、人体に有毒な火山ガスが高濃度で吹き出している場所です。道路沿いにはずっと「駐停車禁止」を呼びかける看板が立ち並んでいますが、ところどころにある緊急時の停車スペースにはそれに従えない家族連れもいるようです。指示を破ってガスや噴石で死ぬのは勝手ですが、他の人に迷惑をかけないで欲しいものです。

草津温泉に近づいてくると雲が晴れて雨もやみました。中心街まで入ると駐車場が有料になってしまうので、西のはずれにある「天狗山第一駐車場」にクルマを置いて歩くことにしましょう。

 

www.shigakogen.gr.jp

 

f:id:cyberpero:20210331155950j:plain

西の河原公園を抜けていきます。湯量の豊富な草津温泉らしく、公園内の至る所から温泉がわきだしています。歩道の側溝に流れているのももちろん温泉で、試しに手を入れてみると熱いぐらい。

 

f:id:cyberpero:20210331160006j:plain

高温の温泉がわき出している場所はしばしば緑色の藻のようなものがくっついています。最初は温泉の成分かと思っていましたが、それにしては噴出口から離れたところにはほとんどありません。

調べてみると「イデユコゴメ」なる藻の一種なのだそう。温度と酸性度の高いところで繁殖する紅藻の仲間(でも赤くない)で、草津温泉では至る所に見られるそうです。pH0.05~5、35~57℃という環境下で育つそうですから、人間にはとても耐えられません…
どんな環境でも適応すれば勝ちなのでしょうね。

 

onsen-kusatsu.com

 

f:id:cyberpero:20210331160108j:plain

温泉街へ入ってくるとさすがに混み合っています。沿道の土産屋は温泉まんじゅうの売り込みが賑やか。どこもかしこも同じようなものにしか見えませんが…

駐車場から20分ほどでかの有名な「湯畑」に到着。ツーンとした硫黄の匂いが鼻をつきます。草津温泉全体の湧出量は日本一、なんと毎分3万リットル以上が湧き出しています。そのうちおよそ4,000リットルが湯畑に湧き出しているのだとか。
この湯畑で空気にさらすことで温度を下げ、人が入れるぐらいに調整して旅館へと送られていきます。また温度を下げることで温泉の中の沈殿物、つまり湯の花が樋に蓄積していきますので、年に数回採集されているとのこと。よく温泉の湯船に浮いているヒラヒラとしたゴミのような浮遊物ですね。泉質によって湯の花に含まれる成分は異なるとのこと。

 

www.kusatsu-onsen.ne.jp

 

f:id:cyberpero:20210331160201j:plain

ここにもいろいろな場所にイデユコゴメが生育しています。近寄るだけではっきりわかるぐらい温度が高い場所で成長していくとは、なんとも不思議な生物です。

 

f:id:cyberpero:20210331160211j:plain

湯畑の一番上に来ました。ここで湧き出す大量の源泉が7本の樋を通って冷まされていきます。草津温泉はとても酸性度の高い温泉でpH2.1にもなります。レモンの果汁と同じぐらいの強烈なすっぱさで、高い殺菌効果があるのだそうです。
いつだか放送していた「ブラタモリ」では、温泉の近くに暮らしていると鉄製品が数年でボロボロになってしまう、なんて話もやっていました。源泉だけで無く湯気でさえも強烈な酸性なんですね。

 

f:id:cyberpero:20210331160231j:plain

草津温泉に来ているのですからもちろん入浴していかねば。西の河原まで戻ってきて「西の河原露天風呂」に入ります。ちなみにここの源泉は万代鉱という草津温泉の西側にある硫黄鉱山の跡地から温泉を引いているそうです。源泉温度はなんと90℃以上という高温…pH1.7と酸性度もかなり高めの透明なお湯。
高温すぎる源泉はそのままでは使えないので、熱交換で55℃まで下げて供給します。熱交換に使った水道水は60℃まで加温されますので、こちらは旅館や家庭で使えるお湯や道路の融雪に利用されるのだとか。自然なエコロジーでよく考えられていますね。
ちなみに万代鉱の周辺は高温の源泉や水蒸気の噴出で危険なので立入禁止になっているとのこと。

西の河原露天風呂は洗い場がありません。掛かり湯をしてほどよい温度のところに入ります。かなり広大な露天風呂なので、お湯の出ているところから離れれば入りやすい温度まで下がります。好みに合わせて場所を選びましょう。
温泉から出たら飲むヨーグルトで一休み。ずいぶん飲むヨーグルトを推しているのでこの近辺のものかと思ったら岩手県の岩泉町のものでした。まぁおいしいからヨシ。

 

sainokawara.com

 

f:id:cyberpero:20210331160401j:plain

草津温泉を楽しんできましたが、今日の宿泊地はここからクルマで1時間ほど離れた伊香保温泉。スーパーに寄ってお菓子などを買いつつホテルへ急ぎます。
夕食はバイキング、しかも自動的にアルコール飲み放題までついていました。一日歩き回って温泉に入ってお酒を飲んでお腹いっぱいになって寝る。旅行の醍醐味ですね。