あさかぜみずほの趣味活動記録簿

旅行記や主に飛行機の写真をひたすら載せ続ける、趣味のブログです。たまに日記らしき投稿もあり…?

どこかで働く駅員がひたすら旅行記や写真(主に飛行機)をひたすら載せ続けるブログです

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白銀の札幌へ遊びに行こう【丘珠空港】

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まだ朝8時前ですがホテルをチェックアウトしてきました。この2日間でカロリーを取りすぎたことですし、地下鉄東豊線豊水すすきの駅まで歩いていますが…雪が積もっていてキャリーケースでは歩きづらい。おとなしく市電と地下鉄を乗り継げばよかったと後悔します。

朝になると静かなすすきのの歓楽街。「アジア最北の歓楽街」なんて異名もあるそうですが、ビル2棟がほとんど全部「男性向けのお店」になっているのを見ると納得です。
すすきのの歴史は北海道開拓使の時代にさかのぼり、明治期にはすでに開拓者向けの遊郭として歩んでいました。ちなみに現在では「薄野」という地名はなく、あくまでこの周辺一帯を示す愛称のようなものです。歌舞伎町(東京)、中洲(福岡)と並ぶ日本の三大歓楽街だそう。

 

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東豊線で栄町、さらにそこからバスで札幌・丘珠空港に到着。ここでお昼頃までスポッティングの時間とします。

正しくは「札幌飛行場」と呼ばれる丘珠空港は、札幌市内に位置する空港ながらとても地味な存在です。滑走路は1,500mの短いものが1つだけで、定期便は日本航空グループの北海道エアシステム(HAC)が利尻・釧路・函館・三沢にプロペラ機で就航しているだけ。フジドリームエアラインズFDA)が静岡と松本から運航するようにもなりましたが、雪が積もる冬場は安全のため就航できません。
滑走路を2,000mへと延伸する計画もありましたが、都市部の空港おなじみの反対運動により実現できていません。せめて1,800mあればFDAエンブラエル170が通年で発着できるようになり、うまくいけば東京からも就航できて飛躍的に便利になるはずなのですが…
ポテンシャルはあるだけにもったいない。

 

www.okadama-airport.co.jp

 

 

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御託はさておき、朝ごはんにしましょう。ターミナル2階の「丘珠キッチン」は航空機の発着に合わせて朝7時から営業しているので助かります。10時まではモーニングの時間ということで、朝カレーを頼むとコーヒーもセットでつけてくれました。
ルーに入っているのは地元丘珠産タマネギのチップ。生産量が少なく幻のタマネギとも言われるような「札幌黄」という品種だそうで、ルーそのものにも同じタマネギがたっぷり溶け込んでいます。

 

www.okadama-airport.co.jp

 

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JA03HC / Hokkaido Air System / Saab 340B

スパイスとコーヒーで体を温めたので、3階の展望デッキから外へ出てみます。気持ちのいい晴れですが、やっぱり寒い…!さすがに長時間はいられません。

去年12月に日本エアコミューターJAC)からサーブ340が引退し、国内で同型機を運航するのはHACの3機だけになってしまいました。HACでも後継機にはJACと同じくATR42が選定されており、つい先週の2月16日に初号機が丘珠空港へ到着しています。

 

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JA3950 / 北海道航空 / Cessna TU206G

ブーンと軽やかな音を立てて北海道航空のセスナ206が飛び立ちます。よくあるセスナ172より少し大きな6人乗りの機体です。
北海道航空は丘珠空港を拠点に遊覧飛行を行う他、報道ヘリや救急ヘリの運航を行っています。

 

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発着する飛行機は全然ありませんし、展望デッキも寒いしで2階の展示コーナーに降りてきました。窓側の座席からは展望デッキと同様に空港を見渡せますから、今の時期はこちらのほうがいいかもしれません。ただ混雑時はスポッターはただの邪魔者なので、本来の利用者のためにマナーを守って利用しましょう。

 

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JA02HC / Hokkaido Air System / Saab 340B

きれいな雪山をバックに2号機が降りてきました。

 

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JA02HC / Hokkaido Air System / Saab 340B

スポットに入ってくるところでスポッティングカットをパチリ。2号機の導入は1998年なので、すでに23年目になるベテラン。北海道の厳しい気候を耐え抜いてきた風格が漂います。

 

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JA02HC / Hokkaido Air System / Saab 340B

HACが運用する3機はサーブ340の最終進化系ともいえる340B-WTというタイプで、APU(補助動力装置)がエンジンに組み込まれたおかげで地上での電源車が不要になりました。そうすれば設備の整わないもっと小さな空港でも飛べるようになります。
APUとしてエンジンが動作しているとプロペラも回ってしまって危ないので、プロペラブレーキが装着されて回らないようになっています。

 

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JA6504 / 朝日航洋 / Eurocopter AS350B3

定期路線を持たない航空会社としては日本最大とされる朝日航洋。新木場の東京ヘリポートに本社がありますが、ここ丘珠空港にも支社が置かれています。
フランスのアエロスパシアルが開発したAS350というヘリで、現在はヘリコプター部門の経営統合によりユーロコプターと名を変えています。愛称は「エキュレイユ」、フランス語で「リス」の意味だそう。

 

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丘珠空港陸上自衛隊の丘珠駐屯地も併設されているので、陸自のヘリも発着しています。飛び去っていったのは多用途ヘリのUH-1Jのようです。世界中でシリーズで16,000機以上が製造された、ベル社(アメリカ)の傑作機です。

 

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JA03HC / Hokkaido Air System / Saab 340B

HACのサーブ340は大型の旅客機のようにプッシュバックは行いません。出発時はターミナルの前でぐるんと転回し滑走路へ向かっていきます。

 

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JA03HC / Hokkaido Air System / Saab 340B

そして軽やかに離陸。
冬は太陽の光が雪に反射して機体の下側まで照らすので影がなくなります。「雪レフ」と呼ばれています。めったに雪の積もらない関東で撮影をしているので、なんだか不思議な感じがします。

 

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JA01HC / Hokkaido Air System / Saab 340B

1号機が降りてきました。これで無事、HACに所属する3機すべてのサーブ340が撮影できました。

ご覧の通りHACでは基本的に3機全てを使うダイヤが組まれています。検査時などには運休便が出ていましたが、2015年から同じJALグループの日本エアコミューターJAC)と連携して機材を融通してもらうことができるようになりました。これはATR-42に置き換わっても続く予定ですし、今後はATR-42を導入する航空会社が増えることも予想されますから、グループをまたいだ貸し借りが行われるようになるかもしれません。地方路線を受け持つ航空会社は生き残りのために様々な方策を模索しています。

 

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JA01HC / Hokkaido Air System / Saab 340B

親会社である日本航空の経営破綻によって、2011年からおよそ3年半にわたってJALグループから外れていた時期もあった北海道エアシステム。その間に1号機は緑色の入ったオリジナルカラーにお色直しされました。
2014年10月から再びJALグループに復帰し、以後は真っ白な機体に黒い太字で社名を書く「新鶴丸塗装」に統一されることとなったため、HACオリジナルカラーは1号機だけの特別なものに。最終的に2017年中に3機とも新デザインに塗り直されて現在に至ります。
HACのオリジナルな部分といえば、機体後部にグレーで「HAC」と入っていることぐらい。

 

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しばらく飛行機の発着がないので自衛隊機が演習を始めました。3機のヘリコプターが前後左右に動きを合わせています。地上に近い高さでホバリングするので雪煙がもうもうと上がってなかなか豪快な光景です。

 

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JA02HC / Hokkaido Air System / Saab 340B

気温が上がってスポットの雪も溶けてきました。雪が溶けてできた水たまりに2号機の姿がきれいに反射します。こうして近くからじっくり見てみるとスピード感のある精悍な顔立ちをしています。

1992年からは37人乗りのサーブ340の発展形として58人乗りのサーブ2000というモデルが開発されました。時速700kmに迫るジェット機並みの巡航速度を実現した意欲作でしたが、エンブラエル(ブラジル)やボンバルディア(カナダ)の開発した小型ジェット旅客機との競争に負けて製造されたのはたった63機。スウェーデンのサーブはそのまま旅客機事業から撤退し、現在は本業の戦闘機を含めた軍需品のメーカーへと戻っています。

 

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JA6775 / 北海道防災航空隊 / BELL 412EP

道の防災航空隊のヘリコプターが離陸します。先ほどの陸自機と同じくアメリカのベル・ヘリコプター社が開発したものです。412というシリーズ自体がUH-1Jのベースになったモデルの発展型ですから、姿形はよく似ています。
また陸上自衛隊でも現在運用しているUH-1Jの後継機として、この412をベースとした新機材を導入予定です。

 

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JA02HC / Hokkaido Air System / Saab 340B

2号機が軽やかに地面を蹴っていきます。大型の旅客機とはまた違う力強さと美しさがありますね。

 

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JA01HC / Hokkaido Air System / Saab 340B

地上の整備士の指示に従ってエンジンをスタートさせる1号機。左側の第1エンジンからスタートさせるのかと思っていましたが、写真ではすでに右の第2エンジンのプロペラが回転を始めています。
旅客は左側から出入りするので、エンジンの始動は出入り口から離れた右側からした方がいいのかもしれません。

 

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JA01HC / Hokkaido Air System / Saab 340B

2号機と同じくくるんと転回して滑走路へ向かっていきます。広々とした平地の向こう側に大きな山が見える、なんとも北海道らしい景色です。

 

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JA01HC / Hokkaido Air System / Saab 340B

テイクオフ。3機すべてがどこかしらの目的地に向かっていなくなったので、空港ターミナル内はすっかり静まり返ります。
習熟訓練を実施しているらしいATR-42は函館へお出かけしてしまっているので、この様子では丘珠での撮影は厳しそうです。帰り支度をしつつ、バスの時間までもう少し眺めてみましょう。

 

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JA3950 / 北海道航空 / Cessna TU206G

どこかへ出ていた北海道航空のセスナが帰ってきました。
206Gというモデルは6,500機以上製造されたセスナ206シリーズの中でおよそ3,500機を占める主力モデル。エンジンがターボ付きになるとTUとなるそうです。現在の最新モデルは206H。

ちなみにセスナの代表格ともいえる4人乗りの172というモデルは、現在までの生産機数がなんと43,000機以上!旅客機のベストセラーと言われるボーイング737シリーズが束になってもかないません。

 

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もうそろそろバスの時間。小さいながらもだいぶ楽しめた丘珠空港をあとにして、新千歳空港へ向かうことにしましょう。

冬シーズン以外であれば札幌駅までの直通バスがあるのですが、今の時期は雪による道路事情で到着時間が左右されてしまうので、地下鉄東豊線の栄町からのバスのみが運行されています。
栄町まではバスで10分もかからない程度なので歩こうと思えば歩けますが、夏は暑いし冬は雪があるしでなかなか難儀するのでオススメはしません。

 

>>つづく<<