<2019年に設立60周年を迎えたチャイナエアライン>
COVID-19の医療用支援物資を自社の貨物機で空輸する際、台湾を表す表記が機体にも荷物にもなく、しかも「CHINA」とロゴが入っているので、中国本土のエアラインと思われてしまうというのが理由だそう。台湾人の誇りのためにも、混同される社名から台湾らしいものへとこの機会に変わろうというわけです。
「チャイナエアライン」、機体に「台湾」表記を=首相、名称巡る議論で - フォーカス台湾
http://japan.cna.com.tw/news/apol/202004140007.aspx
ちなみに14日には首相にあたる行政院長からチャイナエアラインに向けてロゴマークを削除するように求めたとのこと。あくまで輸送する物資に対しての要求ですが、社名変更への動きの一部と見られなくはありません。
「チャイナエアライン」、機体に「台湾」表記を=首相、名称巡る議論で - Traicy
https://www.traicy.com/posts/20200415153471/
チャイナエアライン、中国との混合を避けるためブランド変更を検討 台湾航空などが候補 - sky-budget
確かに
China Eastern Airlines(中国東方航空)
China Southern Airlines(中国南方航空)
China Airlines(チャイナエアライン)
と並べられたときに、一発で台湾の航空会社がわかる人はそうそういないでしょう…
台湾の国土交通省のような存在である交通部のトップも社名変更には前向きな姿勢を示しており、近い将来台湾らしい社名へと変わる日が来るかもしれません。とはいえ社名やブランドの変更にはそれなりに混乱が伴いますから、おいそれと進めるわけにはいきません。世界中に路線や支社・支店を持つ大きな航空会社ですからなおさらです。また最低40億円はかかるとされるコストも大きな障壁です。
当然「台湾」を強調した社名にすることで、領有を主張する中国の反発も想像されますし、そこから発生した圧力による不利益も起こりえます。社名一つ変えるにしても、考えることが多すぎますね…
<ブランド名のせいなのか、中国本土への路線は持たないタイガーエア台湾。ちなみにチャイナエアラインの完全子会社>
ちなみに『skybudget』によるといくつか候補が挙げられているとのこと。ちょっと調べたところでは情報の出所はわからなかったのですが…
https://sky-budget.com/2020/04/14/china-airlines-brand-change/
岐路に立つ台湾の国民党の「親中」 - 毎日新聞
福爾摩沙(Formosa)航空、玉山(Yunshan)航空、台湾(Taiwan)航空などが挙がっているのだとか。
「Yushan ユイシャン」は台湾の中心に位置する標高3,952mの山、台湾の最高峰です。日本統治時代には新高山と呼ばれていました。真珠湾攻撃を命じた暗号電文「ニイタカヤマノボレ 一二〇八」の中にも登場します。統治時代から国立公園に指定され、日本一高い山として名を馳せたといいます。
両方ともなじみのない名称ですが、由来を少し調べてみるとなるほど台湾を象徴するものだというのがよくわかります。単に「台湾航空」とするよりもより台湾らしいネーミングにはなりますが、一方で現在とは違う意味ですぐに台湾とはわかりづらいですね…
2019年に行われた
「自分を 1.台湾人 2.台湾人であり中国人 3.中国人 のどれだと思うか」という調査では、「1.台湾人」を選んだ人が58.5%、特に20代では80%以上になったそうです。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200412-00000028-mai-int
中華航空 China Airlinesの社名変更という動きには、現在の台湾における「ナショナリズム」の高まりも背景にあるのでしょう。だとしたら遅かれ早かれCOVID-19とは関係なく出てきた話だったのかもしれません。あくまできっかけが新型コロナウイルスだったというだけで。
<最新型A350-900の機体に描かれているのは台湾の国鳥「ヤマムスメ」>