すでに話題の旬は過ぎてしまいましたが、8月末に突如として現れたANAの新しい座席配置。当初は「ガセネタじゃないのか」「いくらなんでも」という否定的なコメントも見受けられましたが、ANAの公式サイトに「32G」という形で掲載され、ウソではないことが明らかになりました。
<ANA公式サイトに掲載されている「32G」の座席配置>
通常、ANAのA320-200(A32)は3+3の横6席。座席番号は30番までありますが、4と13がないので実際は28列です。加えて一番後ろの30番は2+2の4席となっているので、全体の席数は166となります。
一方話題の32Gは3+3が30列ぎっちり、180席。この座席配置で真っ先に思い浮かぶのはLCC仕様のA320-200です。
ちょうどピーチアビエーションへの統合の中で、バニラエアからは15機中12機がピーチへと移籍します。つまり3機は余るわけで、趣味者界隈では「この余りの3機がANAへ移籍するのだろう」という予想になっています。
ANAでは初期導入のA320-200の退役が迫り、同じぐらいのキャパシティを持つB737-500も退役が決定しました。一方で後継機となる予定のB737MAXシリーズは事故の影響で未だ全世界で運航再開にならず、MRJ改め三菱Space Jetも予定通りでも2020年半ば以降の引き渡し。
おそらくそのような流れの中で、運用できる航空機の数が不足する可能性が出てきたのではないでしょうか。
<引退まで残りわずかなANAのA320-200。現役の機材はいずれも20年選手>
そんな状況下で、バニラエアのA320がとりあえず3機余剰が出て、しかも導入年次も新しいとなれば飛びつかない理由はありません。そもそもバニラエアの1~3号機は旧エアアジア・ジャパン向けにANAが発注した機体です(その後バニラエアで使うにあたり、エンジンだけは交換しています)。
たかだか本格的な後継機までのつなぎ、短ければせいぜい2年程度しか使わないようなものに、わざわざ座席の交換などをしていては割に合いません。そうした判断もあって、LCC仕様の180席配置のA320を入れることにしたのでしょう。
<バニラエアの初号機。黄色基調の正式なバニラエアカラーをまとう>
ちなみにANAも他社と比べられては困ると思ったのか、投入する路線はJALグループなどの競合便が存在しないものを選んでいます。
「座席が狭くても何でも、早く行くならANAしかない」
という環境を作り上げるあたり、やはりしたたかというか何というか…ANAの正規料金でWi-FiもないLCCの機体じゃ、使う側としては残念な気分になってしまいますけどねぇ。
<バニラエアの2・3号機は、エアアジア・ジャパンからの移行に間に合わせるため簡易的な塗装>
まぁあさかぜはいわゆる「赤組」と呼ばれるJALグループユーザーなので、このような残念な座席配置に当たる心配はありません。
それよりも個人的に気になるのはやはりカラーリング。バニラエアのカラーリングはそのままにブランドロゴだけ変更するのか、わざわざトリトンブルーに塗り直して、他の機体との違いを目立たなくするのか。しかも1号機と2・3号機とでは、事情により元からカラーリングが違っています。そのあたりもどう処理されるのか。
飛行機写真を趣味とする「スポッター」としては、かなり興味を引かれる展開になっています。