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碓氷第三橋梁から軽井沢と妙義山を抜けてきました。今夜の宿泊先は草津温泉ですが、その前にどうしても見ておきたい大規模建造物があったので寄り道をさせてもらいます。
真新しい橋を渡ってきました。
「八ッ場(やんば)大橋」という名の通り、この橋は2019年に竣工予定の八ッ場ダムにかかるもの。ダムの完成によって分断される川原湯温泉周辺の生活を支えるために建設されたもので、3つある付替道路の中では最も下流にあるものです。
ちょっと吊り橋っぽく見えるこの橋は「PCエクストラドーズド橋」という構造で造られており、吊り橋ほど大がかりな設備を必要としない場合に使われる建築方法だそう。
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日本ではなじみの深い「重力式コンクリートダム」という形式です。強固な岩盤の上にコンクリート製の構造物を積み上げ、構造物の自重で水圧に耐える形式です。関東近辺では神奈川県の宮ヶ瀬ダムもこの形式では有名なダムです。
地面から生えるタワークレーンとは別に、左右の山に塔を建ててケーブルを渡す「ケーブルクレーン」の姿も見えます。主にこのクレーンがコンクリートを現場に運んできます。
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遥か下の地面をのぞき込んでみると、背筋に冷たいものが走るほど高い場所に橋が架かっているのがわかります。満水が近づけばこの橋のすぐ下まで水面が来るのですから、想像を絶する規模の人工物です。
ちなみにコンクリートはいちいち工場から運んできていては効率が悪くて仕方がないので、「現地調達」が行われます。2枚目の写真に写っているタンクに、砂利を細かく砕いた「骨材」が貯蔵されています。この砂利も基本的には建設地の近くの山から調達されます。
そこから1枚目の写真左上に向かって伸びていくベルトコンベアを通って、斜面の上にあるダム専用のコンクリ工場(バッチャープラントというそうです)へ。そこで製造されたコンクリートが、先ほどのケーブルクレーンによって現場へと運ばれていきます。
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最終的にダムの堤体の高さは116mになります。
よく目をこらしてみると、堤体の中央あたりに穴が開けられています。これが見学でも見られるような常用洪水吐となるのでしょうか。
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骨材のベルトコンベアを追っていくと、明らかに鉄道の跡と思われるトラス橋が見えています。吾妻線には現代となっては貴重な構造や材料を使った鉄橋がいくつもあるそうですが、もしかしたらこの鉄橋もその1つなのかもしれません。
ダム建設に伴い、吾妻線はダムの南側を立派なトンネルで山をぶち抜いています。
800年の歴史ある川原湯温泉は移転に伴い、ずいぶん温泉宿が減ってしまったそう。2017年3月のダイヤ改正ではついに特急の停車駅からも外されてしまい、ダムによる集団移転も成功とはいえなかったのかもしれません。
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ダムを見学した後は草津温泉に宿泊します。
テレビでは見たことのある湯畑を初めて自分の目で見ました。もうもうと立ち上る湯気と硫黄の匂いに、思わず「うっ…」となってしまいます。効能があるから人間は気にせず湯を冷ましてつかるわけですが、一体最初に入った人は何を思ってしてこんな毒としか思えない灼熱の湯を利用しようと思ったのでしょうね。人間は不思議です。