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2017年3月24日、非番で上野駅へとやって来ました。1月に北海道へ出かけて以降、さして遠出をする時間がなく悶々とする日々が続いています。20年近くぶりにインフルエンザにもかかりましたし。少しでもそのストレスを発散しようと、申し訳程度ではありますが、その辺をぐるっと回ってみることに。
ちなみに職場の上司は泊りがけで出かけるものと思っていたらしく、話が噛み合わずどうにもおかしいと思っていました。
上野からは人生初めての651系に乗車します。常磐線沿線にはほとんど縁のない生活を送っていたので、651系は見る機会こそあれど乗る機会は全くありませんでした。
交流機器を封印して直流専用となっている同車ですが、幸いにして足回りは原型のまま。今ではめっきり減った直流直巻モーターのサウンドを楽しめそうです。
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とはいえ、車内は行楽客の中高年や、サークルの合宿に向かうらしい大学生のグループで割と盛況。ICレコーダーで録音を試みたところで、録音されるのはオジサンオバサンの世間話であることは明白です。
当のあさかぜも、明け番の疲れで既に大宮へ着く前からうつらうつらしていました。お酒を飲めばなおさら、夢の世界へとあっという間に取り込まれていきます。
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温泉地へ向かう特急らしく、高崎での降車はそう多くはありませんでした。
横川ゆきの普通列車にいたってはガラガラ。観光シーズンでもなければスキーも終わりなので、需要はさしてないのでしょうね。
閑散とした横川駅に降り立ち、碓氷峠を越えるバスのりばへと向かいます。
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駅の横には「峠の釜めし」で有名なおぎのやの店舗があります。実は立ち食いそばも兼ねていて、長野産のそば粉を使ったそばが食べられるようです。
碓氷峠を越える前に食べようと思っていたものの、思っていた以上にバスへの乗り換え時間は余裕がありません。ここでバスに乗り損なうと今後の予定が全て崩壊してしまうので、後ろ髪を引かれる思いで店の前を歩き去り、バス停へと向かいます。
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バスのりばに入ってきたのは、ハイデッカーの三菱ふそう・エアロエースでした。下調べをしたときは普通の路線バスの写真を見かけたので、ちょっと意外な感じ。暇な時期に走行距離の差が出ないように調整しているのでしょうか。
快晴の中、エンジンを唸らせてバスは碓氷峠へと向かいます。
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沿道にはまだ雪が残っています。あと1週間もすれば4月ですが、まだ山には春が訪れていない様子。
ブンブンとエンジンを唸らせながら、バスは急なカーブを右に左に進みます。自動車でさえずいぶん急な坂だと思うぐらいです、鉄道であればなおさら難所です。
北陸新幹線が長野まで開業する前、ここは列車の斜面下側に機関車を繋いで登り降りしていました。通常の電車では山を越える力が足りず、下り側ではブレーキ力を失って転がり落ちる可能性があったからです。それでも速度は安全上の理由で時速45キロ程度に抑えられていました。
それが今や山をトンネルで貫いて時速260キロで走り抜ける時代になったわけですから、新幹線というのは偉大な存在です。
それゆえに、必ず全列車が停車していた横川はただのローカル線の終端駅となり、代名詞であった釜めしも「横川サービスエリアで売っている弁当」へとキャラチェンジを余儀なくされたわけです。
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峠を登りつめると一気に視界が開けます。かの有名な別荘地、軽井沢の市街地へと入ってきました。お高い感じの蕎麦屋や別荘専門の不動産屋の看板が、そこかしこに見えてきます。避暑シーズンになると、ここに高級車がズラリと並ぶようになるんでしょうね。
そういえば中学の同級生に、軽井沢に別荘を持っていた子がいたのをふと思い出しました。なんかもう想像を超えた世界です。
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1時間ほどで軽井沢の駅に着きました。新幹線の停車駅にしてはずいぶん寂れた雰囲気です。別荘地とはいえ、地方の片田舎なのでこんなものなのかもしれません。
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軽井沢ではそこそこ時間があるので、先ほど食べ損なったそばを食べましょう。
横川と同様、おぎのやの立ち食いそば屋が駅構内で営業しています。
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店内の壁側にはベンチが用意され、腰掛けて食べられるようにもなっていました。
注文したのは特上天そば。特上とそうでないのは、長野県産の生そばかそうじゃないかの違いのようです。そうじゃない蕎麦はどういうソバなのか気になりますが、細かいことは気にしないことにしましょう。
どう普通のそばと違うのかはあさかぜの舌でははっきりわかりかねますが、何となくそばの香りはその辺のよりは感じる気がします。
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とりあえず長野のそばがどんなものかを味わったところで、しなの鉄道線のホームに降ります。長野まではもちろん新幹線という文明の利器がありますが、ローカル線の雰囲気を味わうのもまた旅の一興です。
ホームの隣には日本で最後まで残っていた169系が保存されています。残念ながら車内へ入ることはできないようですが、昨今のマナーのあり方を考えると公開しないほうがいいかもしれませんね。
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一緒にアプト式機関車も展示されています。
急勾配を登るとき、レールと車輪の摩擦力(粘着力といいます)だけでは足りないことがあります。そこで2本のレールの間に波板を置き、台車につけられた歯車を噛みあわせて斜面を登る「ラックレール式」という方法が生み出されました。
ラックレール式の中の一つが碓氷峠でも採用されたアプト式で、波板を2?3枚互い違いに並べ、台車の歯車を噛みあわせる方式。日本では大井川鉄道井川線の一部区間で使われています。
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そしてよりパワーのあるモーターが生み出されると、ラックレールを使わずに粘着力だけで登れるようになりました。
機関車を重くすることで粘着力を上げ、車両を下から押し上げるために開発されたのが写真のEF63形。碓氷峠専用の機関車です。
ちなみに登り降りともに必ず機関車は坂の下側に連結されます。これは万が一にも車両の連結器が外れた場合に、車両の暴走を防ぐためです。
空気バネを採用していた車両は押し上げられるときにバランスを崩すのを防ぐため、横川停車中に空気を抜いていたといいます。
様々な工夫で峠を克服した碓氷峠の鉄道は、1997年に長野行新幹線の開業で発展的解消を遂げたのは前述の通りです。
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115系の小諸ゆきが待っています。
信越線が新幹線開業に伴って「しなの鉄道」へと移管された時から活躍する車両です。車齢は40年を超え、度々後継車両が話題に上る同社ですが、なかなか財政的な事情などで難しいようです。
新幹線から分離された「並行在来線」の典型的な問題点の一つで、メインルートから外れ、ローカル輸送に徹さざるを得ない第三セクター鉄道はだいたいどこも同じような状況にあります。
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雪を抱いた浅間山を見ながら、久しぶりの国鉄型の乗り心地を味わいます。
小諸で長野ゆきに乗り換え、第一の目的地長野へ。
せっかくここまで来たので、善光寺をお参りしていきましょう。
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長野駅からバスで10分ほど、と聞いていたので油断していました。確かに入り口の山門には10分で着きますが、大きいお寺なのでそこからが長い。
長野駅でそばを食べるには時間に余裕がありませんが、ここまで来て本堂を見て帰ってこないわけにはいきません。
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立派な本堂です。歴史のとても長いお寺で、創建は644年にまで遡ります。創建当時は各宗派に分派する前の仏教であったため、現在も善光寺は無宗派のお寺として広く信者を集めています。
高野山など女人禁制と言われた寺院も多い中で、善光寺は古くから女性の救済も行ってきた寺でした。
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本尊は絶対秘仏とされ、私のような観光客は当然のこと、住職でさえ見ることはできないとされています。
7年に1度「御開帳」として仏像を見ることができますが、あれはあくまでも「本尊の分身」として公開されるのだそう。
本堂の中は拝観料を払えば見られますが、あいにく時間が迫っているので見学できません。うーん…残念…!
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自宅に家内安全の御札と、祖父母にボケ封じのお守りを買って、足早に善光寺を後にします。1時間半あれば余裕だろうと思っていたら、全然そんなことはありませんでした。
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長野駅でそばを食べる時間もなくなってしまいました。慌ただしくホームに降りると、待っていたのはオールロングシートの211系…旅情も何もありません。
これが甲府ゆきとして走るんですから、悪夢のような列車です。年々18きっぷの「修行」は激しさを増していきますね。
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幸い壁際の席に座れたのでほとんど寝ていました。外はだいぶ暗くなっており、あさかぜの空腹度もだいぶ高くなっています。
帰りの列車に乗る前に腹ごしらえをしましょう。
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ニューデイズや松本からあげセンターで酒やツマミを確保し、ホームに降りてきました。
駅そば「山野草」では昼間のおぎのや同様、生そばを選ぶことができます。
かき揚げは昼間食べたので、今回は鴨そばを注文。チラリと手元を見たら、密封パックの鴨肉をそばの上に開けるタイプでした。
ちょっと太めのそばはちょっと弾力があって美味しいです。さすがはそばの名産地です。
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旅の締めくくりはE351系「スーパーあずさ」で。後継車両のE353系の試運転も始まり、公式の発表はないものの引退へのカウントダウンは静かに始まっています。
なくなるだ何だと騒ぎになる前に、早いうちに乗っておきましょう。
前回乗った時は連休の真っ只中でたいそう混みあい、全然ゆっくりできませんでした。今日は平日なので、車内は閑散としているはずです。良好な録音環境が期待できそう。
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1994年のデビューからほとんどリニューアルされることなく使用されているE351系。今の時代となっては、シートピッチ970mmというのはずいぶん狭苦しく感じられます。
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列車が動き出したところで、駅構内の「松本からあげセンター」で購入した一口山賊焼きを開けることにします。
このE351系、もう1つの難点はシートテーブルがないことなのです。肘掛け内に収納されているタイプゆえ、テーブルの大きさが狭い。酒とツマミを広げる程度ならいいですが、弁当と飲み物となると厳しいかもしれません。
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駅構内のニューデイズの一角にはおやきの店もあります。お土産としてはもちろん、言えば備え付けの電子レンジで温めてくれるので、車内で温かいままいただけるという心配り。
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そばで暖まった体に酒とツマミが入ればあとは寝るしかありません。非番で疲れているということもありますし。
松本を出た時点ですでに3分ほど遅れていましたが、終点の新宿に着く頃には15分遅れにまで拡大していました。起きていた時の車内放送では「八王子からは定刻通りの運転を予定しています」なんて言っていた気がしましたが…
列車本数の多いエリアへ来たところで、余計に列車の隙間に入るのが難しくなってしまったのでしょうね。
そのまま総武線各駅停車へとフラフラと吸い込まれ、帰宅。半日ちょっとの現実逃避でした。