一口に鉄道車両の寿命はどれぐらい、というのは大変難しいものがあります。鉄道会社によって車両の手入れについての考え方が違うためです。
東京メトロや阪急電鉄のように、40年を超えようとしている車両でも丁寧に手入れをし、必要に応じてモーターなどの走行機器を更新しながら使い続ける会社もあります。
またJR西日本のようにドル箱路線には新車を投入し、一方で地方路線には古い車両をだましだまし使い続ける例もあります。
例えば東京メトロ千代田線で使用されている6000系電車は1968年に登場。後継車両の登場によって廃車は出ているものの、未だに半分以上の車両が現役で活躍中。現存する車両は足回りや車内設備の更新を実施し、まだまだこれからも使いそうな雰囲気。
さらにはいすみ鉄道などのように、あえて昭和時代の古い車両を導入・維持し、観光の目玉にしようという取り組みもあります。こうなると、車両の寿命などは関係なく「出来る限り生きながらえるようにする」といった感じになってきますね。
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いすみ鉄道が観光の目玉として導入した、昭和30年台のディーゼルカー。寿命をのばすため、エンジンや車体に大幅な改修を入れています。
逆の意味で極端なのはJR東日本で、とにかく新車をまとまって投入し、古い車両を駆逐し、挙句に寿命を意図的に縮めることで交換サイクルを早め、陳腐化を防ごうという方向性です。もちろん使えるものは再利用しますが、再利用の過程において「これはいらないな」と思ったものはさっさとバラバラにしてしまうのがJR東日本。
京浜東北線で使っていた209系を千葉県の房総方面へ転用する際にも、余る中間車は容赦なく廃車にしています。209系のデビューは1993年の話ですから、20年足らずで解体されてしまった車両もあったわけです。
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1993年に登場した209系。房総地区に転用される車両以外は、車齢20年弱にして廃車されました。
ですから、単純に「鉄道車両の寿命は何年」と括ってしまうことは難しいのです。
おおよその目安としては、30~35年ぐらい。交換部品や車体そのものの寿命など、人間と同様に老朽化にはついていけない部分が出てきます。
またローカル線などで使われる軽量ディーゼルカーの場合は、コスト削減のために構造が簡略化されており、15〜20年ほどで寿命を迎えてしまう車両も少なくありません。
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バス用部品を多用し、車両価格の低減を図った「レールバス」と呼ばれる小型ディーゼルカー。
最も過酷なのは新幹線。13年前後といわれています。
なにせ、ヘタすれば1日の運行距離は3300キロ。東京〜博多間の1往復半をこなすとこれぐらいの距離になります。それを時速300キロで毎日のように行うわけですから、車両が傷むのも必然的に早くなってきます。
そのため、新幹線車両の寿命は約13年。現在東海道新幹線には続々と最新型車両N700系(正確には上位モデルのN700A)が投入されていますが、その理由は1999年に登場した700系の置き換えのため。
登場当初は最新鋭の技術を注ぎ込んだ新幹線車両も、あっという間に世代交代がやってくるわけです。
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休みなく高速で走り回る新幹線車両。在来線車両より寿命は半分ほどになってしまいます。
今後10年20年経って、果たしてあなたの最寄りの路線の姿はどうなっているのでしょう。
最新型車両が走り回っている?
それともどこかのお古の車両が来ている?
やっぱり今のまま?
それを想像するのもひとつ楽しみかもしれませんね。
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ついに置き換えが発表された、新潟地区の115系電車。昭和の古き良き雰囲気を味わうことの出来る場所は、わずかずつでも着実に縮小しています。