SLS AMG。メルセデス・ベンツのお抱えチューナー、AMGが開発したスーパーカーです。
6.2LのV8、出力571馬力というモンスターマシン。2人乗りで、車体両側のドアは上に開くガルウイング。乗り出しは実質3,000万円からという、あさかぜのような庶民には到底手の届かないクルマです。
そんな大層なクルマを近くで見たり触ったりすることも、さらには試乗までできるということで、友人に誘われ六本木へと出かけて参りました。
向かった先は、先日移転して再オープンした「メルセデス・ベンツ・コネクション」。カフェの奥に鎮座しているのはSLS ロードスター。こちらも実際にシートに座って、SLSが何たるものか体験できます。
そして、いよいよ試乗の順番が回ってきました。
シートに座ってしまうとガルウイングが閉められなくなってしまうので、カッコいい乗り方は座りながらガルウイングの取っ手を引くこと。
もちろんそんなことまで気が回らないので、「よっこらせ」ともう一度立ち上がるハメになりました。
そして電動シートを前へ。前へ。前へ。
脚が短いので、目一杯シートを前に出さないとアクセルとブレーキに足が届きません。そこまでやって、ようやくエンジン始動。
「ブオオォォン!」
と、我が家の1.5Lとは比べ物にならない迫力の音でエンジンが動き始めます。
ギアをドライブに入れ、パーキングブレーキを解除し、いざ発進。
外から見てもワイドなSLSですが、乗ってみるとそれ以上に感じる幅の広さ。座席が低いのと、慣れない左ハンドルでなかなかの緊張です。
同乗のスタッフさんに右の余裕を見てもらいつつ、公道へ。
とんでもない馬力のSLSですが、驚くほどの運転のしやすさ。ちゃんと自分のやりたいことにクルマが従ってくれるのは、さすがメルセデスといったところ。小回りだって車体の大きさの割りには良好。
内装もフェラーリやランボルギーニから想像するような派手さはなく、至って質実剛健。これを奥様用として買っていかれた方がいるようですが、なるほど運転してみると無理な話ではありません。値段以外は。
普段はおとなしいSLSですが、踏み込むと別。ちょっと踏み込むとタイムラグなくエンジンが唸り、体がシートに押し付けられます。ものすごいトルクとパワーです。
以前日産・GTRに乗ったことがありましたが、一歩遅れてパワーがグッと来るのはターボ特有。しかしこちらはNAですからすぐに反応し、即座にパワーが出てきます。モンスターです。
しかし左ハンドルですから、やはり怖いのは右折。対向にも右折車がいると何も見えません。
まぁSLSに「早く行けよ!」とクラクションを鳴らすようなドライバーはまず確実にいないでしょうけど、行けるか行けないかわからないのはなんともハラハラします。
英国仕様には右ハンドルがありますが、日本仕様にはないんですよね。
というわけで、あっという間の運転体験でした。一生働いても手に入れられないスーパーカーを運転できたのですから、いやはや、とんでもなく貴重な体験でした。
今後もメルセデス・ベンツ・コネクションにはAMGモデルを追加していくそうなので、これからの充実が楽しみです。
さてと。
試乗を終えて自分のクルマに戻ってきました。運転席のシートに座るなり、なんともいえない安堵感。
大衆車であろうと、それが泥んこであろうと、運転しなれたクルマはやはり落ち着きます。サスペンションも柔らかいですし。
憧れのクルマは憧れのままであったほうがいいのかもしれません。特に僕みたいな人間にとってはね。