あさかぜみずほの趣味活動記録簿

旅行記や主に飛行機の写真をひたすら載せ続ける、趣味のブログです。たまに日記らしき投稿もあり…?

どこかで働く駅員がひたすら旅行記や写真(主に飛行機)をひたすら載せ続けるブログです

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雑誌の「自炊」を進めよう

いやはや、13日夜の地震には驚いてしまいました。2011年の震災以降、多少の地震では慣れっこになっていたつもりでしたが…

YouTube自作PCの解説動画を見ていましたが、ヘッドホン越しにもはっきりわかる地鳴りとカタカタ鳴る初期微動「おや、今日のはちょっと大きいかも知れないぞ?」とヘッドホンを外すなり、スマートフォンの警報音が鳴り響きます。同時にドスンドスン!という縦揺れで本棚の上に置いてあったマスクの箱などがポコポコと落ちてきて、すぐに始まった横揺れで本棚に積んであった本や物がドサドサと落下します。
ここまでいろいろな物が落ちてくる地震例の震災以来だったのでさすがに青ざめてしまいました。体感的には1分以上揺れていた感じがしましたがどうなのでしょう。震源に近いところでは30秒程度だったようですが。

リビングに降りてネコをなだめながらテレビをつけると、震源福島県沖の深さ55km、マグニチュード7.3とかなりの規模でした。津波の心配がないのは何よりの救いでしたが、たかだか震度4ごときの千葉市民でうろたえたほどですから、東北地方にお住まいの方々は10年前を思い出す筆舌に尽くしがたい恐怖だったであろうと推察します。

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<今回の地震で一部崩れ落ちた本棚の中身。震度4程度でこれほど崩れると言うことは、もっと大きい地震なら自室から出られなくなっていたかも>

今回の地震を教訓に長らく「子供部屋おじさん」をやっているあさかぜも足下の整理をせねばなりません。5畳しかない上に元から収納のない部屋で、しかも物を集めたがる習性があるのでさっぱり片づきません。そこへ毎月購読している航空雑誌『月刊「エアライン」』(イカロス社)がどんどん床に蓄積していきます。このままでは地震に巻き込まれたら本棚(の収蔵物)につぶされるか、床に積んだ雑誌につまずいて逃げ遅れるかの選択肢しかありません。

だがしかし、今からミニマリストにはとてもなれぬ…

というわけでかねてから考えていた雑誌の自炊をして、使える床の面積を広げることにしました。まずは数年分溜まった「エアライン」誌から片づけていきます。
やり方はそのうちブログで触れようと思いますが、簡単に言えば背中を落とした雑誌をドキュメントスキャナで取り込んでPDF化するだけ。1冊のうち残したいページ数は60~120ページ程度で、1枚の両面を2秒程度で取り込めますので、だいたい5分もあればPDFファイルとして出力するまで終わります。あとはできたPDFファイルをリネームして終了。

簡単です。

切ってしまうので中古雑誌として売ることはできなくなりますが、どうせ趣味の本なんてそうそう売ろうという気持ちにはなりませんし、忘れた頃の知識の振り返りに使うにはちょうどいいのです。
しばらく前の「エアライン」を取り込み終わったら、傷み始めた古い雑誌もスキャンしておかねばなりません。L版にプリントされた古い写真もありますし。

そうやって少しは本棚のかさを減らしておけば多少の減災にはなるかもしれません。こういうことがあると自分の「ため込み気質」というものを少し反省するのですが、結局時間が経つといつも通りあれもこれもと始まってしまうんですよね。人間はいつまで経っても学習せず同じことを繰り返す生き物です…

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<2011年3月の震災翌週の稲毛海岸エリアの様子。液状化の影響で電信柱も大きく傾いていた>

2020年6月5日 【成田空港】

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2ヶ月弱にわたった緊急事態宣言がやっと解除されました。停滞しきった経済がこれで上向きになっていくといいのですが…

というわけで4ヶ月ぶりの成田空港です。便数が去年の同時期とは比べものにならないほど減っていますが、航空貨物需要の高まりで普段来ない航空会社や機材が見られるはず。
撮影ポイントへ入る前にまずは腹ごしらえです。「空の駅さくら館」のおそば屋さんコーナーには「中華の日」の札が。そば屋なのに中華…?この頃野菜をちゃんと採っていない気もしますし、ニラレバ炒め定食でも注文してみましょう。

…うまい!!

シャキシャキしたニラともやしが山となり、独特のニオイがしっかり消されたレバーもたっぷりと入ってすごいボリュームです。しかもご飯に合うように絶妙な味付けがされていて、「こんなおいしいレバニラ炒めを食べたのは一体何年ぶりだろう」と感激するぐらいです。それがたかだか850円で食べられるのですから太っ腹です。大満足!

 

空の駅 さくら館|千葉県成田市の観光物産館 – 千葉県成田市の観光物産館

 

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JA873A / All Nippon Airways / Boeing 787-9 Dreamliner

「さくらの山」へ上がってきました。気温がだいぶ高くなってきたというのもあるかもしれませんがそれにしても人の数はまばらです。家族連れの姿がかなり少ないのもあるでしょう。

早速R2-D2ジェットが離陸していきます。ANAに限らずどこの航空会社も国際線はほとんどが運休。かといって国内線の需要も大きく落ち込んでいるので、国内線に回すほどでもありません。
もっぱら国際線用機材の主戦場は貨物輸送。床下のベリースペースでもB787-9なら60トンぐらいの荷物を積めるようです。乗客を乗せない分まるまる貨物輸送に充てられますから、航空貨物の輸送収入もかなり大きいのでしょう。

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「ムーンライトながら」の思い出

2021年3月に控えたダイヤ改正で、かねてから噂のあった夜行快速「ムーンライトながら」の廃止が正式に発表されました。2020年3月の運転を最後に夏も冬も運転がありませんでしたから、事実上の廃止だったのを改めて発表した感じでしょうか。

さよなら「ムーンライトながら」。廃止を正式発表。25年の歴史に幕 - タビリス

2009年春のダイヤ改正で毎日運転の定期列車から繁忙期だけの臨時列車へと格下げされ、その運転日も年々少なくなっていましたから、「近いうちになくなりそう」というのはいつも言われていた気がします。そんな中で何とか令和まで生き残ったのは大したことですねぇ…
ちょうど185系も置き換えの時期を迎えていたので、正式に廃止するには良いタイミングだったのでしょう。

青春18きっぷ」利用者にとって象徴的な存在だった「ムーンライトながら」。あさかぜも回数は少ないながら何度か乗ったことがありました。

初めては2006年3月、中学校の卒業旅行を兼ねて鉄道趣味友達3人と出かけたときでした。当時は373系9両編成の定期列車で、小田原から後ろ6両が自由席になる時代春休みシーズンとなれば当然超満員で、体力の限界が来た朝方には気がついたら床で眠っていたことを思い出します。
あの当時は「ムーンライトながら」を降りた後でも撮影だ乗り鉄だをできていましたから、若さのなせる業だったのでしょうね。まぁ先日友人が引っ張り出して見せてくれた当時の写真ではあさかぜの顔からは感情がすっかり抜け落ちていたので、かなり疲れていたようではありますが…

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373系9両編成で運転されていた頃の「MLながら」。10代半ばの当時でも自由席だけでの移動というのには無理があった、と今になって感じる>

高校時代にも1回乗った記憶はありますが、これはほとんど覚えていません。

2009年からの大学時代には、すでに「ムーンライトながら」は臨時列車へと格下げされていました。繁忙期のみ183・189系の10両編成で運転されており、しかも日によって車両設備に差が出る組み合わせ。ガタガタして古臭い簡易リクライニングシートではない、ちゃんとしたフリーストップのリクライニングシートに確実に座りたければ10号車を指定する、というのが定石でしたね。

2回か3回乗った記憶がありますが、やはり体力的に猛烈にしんどい…ムーンライトながら」を降りた時にはスッキリ!という記憶は全くありませんから。

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<臨時化されてから2013年まで183・189系10両編成で運転されていた。373系と同様に車内は減光されることなく蛍光灯が皓々と光っていた>

車内の電気が消えないのが何よりつらい。一度目が覚めてしまうと明るさのせいでなかなか寝付けないんですよね。リクライニングだって大してしませんから首も腰も痛い
旅行にお金をかけられない当時は重宝した存在でしたが、もう少し頑張ればインターネットカフェに宿泊できるし、夜行ツアーバスの隆盛もありましたし、だいぶお高くはなりますが3列シートで深くリクライニングして電気も消える夜行高速バスというものもあります。

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<高速バスの快適性は年々向上している。平らにならなくても条件を整えればとても快適に眠れる>

そういう経験もあって、社会人になって経済的に余裕ができると快適な移動手段へカネを投じることに抵抗がなくなってきます。時間に余裕がないことの裏返しでもありましたが、新幹線だとか飛行機だとかがメインとなって「ムーンライトながら」には一度も乗りませんでした。185系になって簡易リクライニングシートから解放されたはずですから、10年前よりは快適になっていたのでしょうかね。
わかっていても上位の快適さを味わってしまうと、やはりなかなか元の世界には戻ってこられないものです。あの当時ほど若くもありませんしね…

時代の流れとともに去りゆく「ムーンライトながら」。
長きにわたってお疲れさまでした。

航空2社を統合させたがる理由がわからない

中国・武漢で発生が確認され、瞬く間に全世界へ新型コロナウイルスが流行してから1年が経ってしまいました。健康はもちろんのこと、経済にも大きな大きなダメージを与え続けています。世界の情勢に特に影響されやすい航空業界は軒並み業績不振となり、数千億円規模の赤字となっている航空会社も珍しくはありません。銀行や国の支援を受けたり、もしくは破産申請をして民間の支援を受けつつ再建を目指すところも少なくありませんが、それらを受けられずに南アフリカ航空やイギリスのフライビーのように姿を消してしまったところもあります。

日本の大手2社も例に漏れず大赤字となり、全日本空輸ANA)を傘下に持つANA HDは約5,000億円日本航空JAL)の所属するJALグループで最大2,700億円純損失となる見込みです。2社とも稼ぎ頭である国際線の需要が蒸発してしまったのが理由です。積極的な路線拡大に打って出ていたANAは特にそのダメージが大きく出てしまいました。

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スターアライアンスに所属するANA。2020年度の赤字額は過去にないレベルとなってしまっている>

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<額面ではマシでも大赤字に変わりは無い日本航空。2010年の経営破綻時にワンワールド残留が危ぶまれたものの、現在も所属>

こうした状況にANAJALの2社を統合せよと主張する人たちが出てきました。あさかぜは経済学をかじったわけではないので、そうした「経済学者」が何を考えているのか、統合を主張することで何の利益があるのかは知りませんが、少なくとも統合を必要とする理由はさっぱりわかりません。

少し昔、2005年に日本航空日本エアシステムJASによる、いわゆる「JJ統合」がありました。統合によるスケールメリットが生かせるどころか、雑多な機種の整備コスト、職場内の不和、コスト管理の甘々な元JALJAL以上の高コスト体質な元JAS
その結果、行き着いたのが2010年の経営破綻です。

日本だけの話ではありません。いち早く航空自由化が行われたアメリカでは様々なエアラインが目先の事情で統合しては消え、またはさらに統合され…を繰り返しました。もとい今でも繰り返しています。

そうした歴史を学ばないのでしょうか?

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<2011年4月、海外への売却を待つJALのジャンボたち。経営破綻の大きな理由にジャンボがやり玉に挙げられた>

2社の方向性も違います。
他社と連携出、自社でも積極的に需要を開拓していくスタイルのANA
一方でJALは堅実な需要が見込まれる路線を開拓し、単体ではなんともいえない場所には他の航空会社と連携する保守的なスタイル
そんな2社を混ぜ合わせたところでうまくいくハズがありません。社内がゴタゴタしている間に、立ち直った海外エアラインに顧客どころか会社もろとも取られておしまいです。

所属する航空連合も、ANAは「スターアライアンスJALは「ワンワールドと違いますし、当然コードシェアなどで連携する航空会社も全くといっていいほど違います。ただの日本の航空会社ではなく、世界的な組織の一部なのです。

そうした一切の事情を考慮せず単に会社の規模だけで統合を論ずるのならば、その議論には一考の価値もありません

こう書くと、韓国の例を挙げてこられそうです。
大韓航空スカイチーム)がアシアナ航空スターアライアンス)を買収するじゃないか!」
と。確かに事象としては同じかもしれませんが、そもそもの背景が違います。

まず買収されるアシアナは経営状態が元からかなり悪くなっていました。親玉の錦湖(クムホ)産業という財閥もさすがに支えきれなくなり、現代産業開発(HDC)へ売却することが決まっていました。それが今回のコロナ騒ぎでHDCも買収する余裕がなくなって破談となり、アシアナは誰か資金を出してくれないと存続できない状態になっていたのです。

この時点で黒字経営で業績を伸ばしていたANAJALとは前提が異なります

ちなみに大韓航空もしばらく業績が低迷しており、慢性的な赤字体質でした。つまり韓国の大手2社の統合は
「元から経営の良くない会社が、ほとんどつぶれかけの会社を買収する」
という悲惨な展開であり、航空需要が回復すれば業績の回復も見込まれる日本の大手2社とは全く事情が異なるわけですから、比較の対象とはなり得ません

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経営統合でどうなるのか、先行きが危ぶまれるアシアナ航空A380。世界中でこの超巨人機は不人気…>

もちろん利用者としてもフルサービスキャリアが1社に絞られては困ってしまいます。もし1社が独占状態で、しかもLCCが飛んでいない都市へ行こうとしたら…?
高い料金を支払っているのにロクなサービスも受けられない、そんな有様になるかもしれません。適度な競争がなければサービスは良くなりませんから、少なくとも現在の日本では大手2社が共存してくれなければ困るのです。

「統合すれば世界第○位」といったランク付けをする人もいますが、何か意味がありますか?
ランキング上位にはいなくてもフィンランドフィンエアーのように立地条件を生かして強い競争力を発揮するところもあります。重要なのは会社のデカさではなく、どう自社の存在価値を高め、ブランドを磨いていくかを示している良い例です。

このANAJALの統合論に限って言えば、自称経営学者の論理は無責任極まるものに見えて仕方ありません。過去の歴史にも学ばない、世界の潮流にも目を向けようとしないなら、いったい彼らは何を見ているのでしょう。

とにかく「サンライズExp」に乗りたい! 【後編】

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さて、「やくも15号」で着いたのが17:17、お目当ての「サンライズ出雲」が発車するのは18:51。出雲市の滞在時間は1時間半しかありません。

泊まり明けの疲れを癒しに、まずは出雲市駅から歩いてすぐのところにある「出雲駅前温泉 らんぷの湯」に入ります。サンライズ出雲」にもシャワー設備はありますが、使えるのが計20名分程度と競争率が高い上に、シャワーカードを買えてもブースが空くまで待たされることもあるそうなので、乗る前に済ませておくのが気持ちの上でも楽

大きくはない温浴施設ですが露天風呂も備えてなかなか本格派。湯船の底が見えない真っ茶色のお湯が特徴的です。鉄分を豊富に含むとこうなるそうで、体をほぐすのと同時に貧血にも効果があるとされています。ちなみに露天風呂には壺湯と見せて冷たい水風呂が置いてあるので、間違えて入ろうとするとビックリしますから要注意!

 

ranpu-no-yu.com

 

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濃厚な茶色いお湯で、体を拭いたタオルも茶色くなっていました。「らんぷの湯」に行くときは濃い色のタオルを持って行った方がよさそうですね。

体を温めてほぐしたら、次は夜ご飯の確保です。出雲そばだラーメンだといくつもありますが、西日本に来たら気になるのは広島拠点のコンビニチェーン「ポプラ」の「ポプ弁」です。他のコンビニチェーンとは違うお弁当の提供の仕方が特徴なのですが、西日本側に店舗が集中しているのでなかなか食べる機会がありません。
駅前のポプラに入ったら、期待通り「ポプ弁」がありました。ポプ弁は並んでいる段階ではご飯が中に入っていません。お会計の時にご飯の量を伝えると、お弁当を温めてから炊きたてのご飯を盛り付けてくれます

うんうん、なかなかずっしりとした重さになりました。車内で開けるのが楽しみです。

 

www.poplar-cvs.co.jp

 

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とにかく「サンライズExp」に乗りたい! 【前編】

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実は先月半ばにアイドルマスターシンデレラガールズのライブで大阪へ出かけ、仕事の都合上「サンライズ瀬戸」に乗って東京へ戻ってきたのです。ところが瀬戸大橋線内での強風の影響を受けて1時間近い遅れとなり、せっかくの寝台列車を泣く泣く降りて熱海から新幹線でワープしたという悔しい経験をしました。
期限の迫る福利厚生ポイントの消化も兼ねて、寝台特急「サンライズ出雲」でリベンジを果たすことにします。

というわけでまずは非番で東京駅へやって来たわけですが、感染拡大が続くコロナウイルスの影響を受けて驚くほどの空き具合です。普段なら朝10時前の東海道新幹線のホームなんてビジネスマンでごった返しているのに…!

 

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同じホームから先に出る広島ゆき「のぞみ」は平日にのみ運転される臨時列車という扱いですが、1両に数人も乗っているかどうかで発車していきました。「こだま」でさえそんなガラガラの光景は見たことがありません。やはり日本も異常事態に突入しつつあるんですね…

折り返し「のぞみ23号」となるN700系が到着しました。乗り換える岡山までの所要時間は3時間ちょっとです。

 

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飛行機の事故調査に必要なもの

新年早々にして悲惨な航空事故が発生してしまいました
2021年1月9日、インドネシアのスリウィジャヤ航空が運航するBoeing 737-500が、離陸の4分後に急な右旋回をしながら海上に墜落乗員12名(デッドヘッド=移動中の乗員 6人含む)と乗客50名の計62名が死亡したことは確実とされています。

発生したばかりの航空事故であり、原因の究明はまだこれから行われます。2件立て続けに起きたB737MAXの墜落事故のように「姿勢制御プログラムのMCASが原因」と早々に言われるようになるのはむしろ異例なことで、複数の要因が絡み合う航空事故では真相の解明にはそれなりに時間がかかるのが常です。

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<事故機と同型のB737-500はANAグループでも2020年6月まで運航していた。年季は入っているが極端に古い機体ともいえない>

さて、事故が発生してしまった時にはクルマの場合でも運転する当事者の証言が有効です。ところが大きな航空事故の場合には操縦するパイロットも含めて亡くなっていることもありますから、必ずしも当事者の証言をアテにすることはできません

ならばどうするか。

インシデント(事故には至らなかったが、一歩手前の重大なミス)や万が一の航空事故が発生してしまった時は、主に以下の4つを集めて調査していきます。

・FDR=フライトデータレコーダー
・機体そのもの(壊れている場合は残骸も可能な限り集める)
・整備記録

これらはどれも重要なもので、1つでも欠けると原因究明に時間がかかったり、そもそも原因が不明となってしまうこともあります。
例えば2014年3月の「マレーシア航空370便墜落事故」ではCVR・FDRを収めたブラックボックスも大部分の機体の残骸も見つからず、未だに原因も墜落位置も不明のままです。

ところでCVR、FDRとは何なのでしょう。
クルマの「ドライブレコーダー」とはどう違うのでしょうか。

■ CVR:Cockpit Voice Recorder
コクピット内に装着されたマイクでパイロットの音声を録音しています。録音時間は2時間のエンドレスになっていて、古いデータから上書きされていく仕組みです。
録音されたコクピットの音声からは様々なことがわかります。

パイロット達の心身状態
雑談の中での「疲れた」「カゼをひいた」「睡眠不足だ」「食事が重かった」などといったやりとりから、パイロットの体の状態がわかる。

CRMが適切だったか
Crew Resource Management「クルーリソースマネジメント」のこと。パイロット同士の役割分担が適切だったか、互いの提案事項が話し合える環境だったか、などがわかる。

・異音
爆発音、侵入者の音など、飛行に影響を与えるような異常があった音は入っていないか。

管制官とのやりとり
管制官の指示をちゃんと復唱しているか、しっかり理解しているか、そもそも無線に応答できているか

・トラブル発生時の対応
パイロットが混乱していないか、意識があるか、など。


■ FDR:Flight Data Recorder
飛行機の操縦に関わるデータや操作を最低でも25時間以上は記録しています。現在では400時間ぐらいまでデジタルデータで記録できるようになっているそうです。

記録されているデータは多岐にわたります。出発してからの時間、高度、スピード、機首の向いている方角、上昇・下降率、上下左右の傾き、エンジンのパワー、無線の操作時間、操縦桿の操作、システムの警報…などなど、88項目以上が事細かに記録されます。


CVRとFDRの記録を照らし合わせ、パイロットがどのような状況でどういった操作を行ったかを一致させていきます。そこに整備記録や機体の状況、場合によってはパイロットのプロフィールも組み合わせることで、パイロットによるヒューマンエラーか、機体に発生した異常か、外部からの侵入者によるテロやハイジャックか、などの原因究明を進めるのです。
そうして導き出された事故原因を元に、これから同種の事故を防ぐためにはどういう訓練や装備が必要か、製造や整備の手順や部品は適切か、同じ原因から別の事故が発生する可能性はないかなど、再発防止に向けた様々な対策が施されていくことになります。

私たちが日常的に利用している飛行機の安全は、過去からの経験や努力、そして尊い犠牲によって築かれていることを忘れてはいけません。

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<対策・改修が終わり2021年に入り運航が再開され始めたB737MAX。ただ写真のガルーダ・インドネシア航空のように事故が理由で導入を取りやめた会社もある>

ところで、この重要な2つの装置は肝心なときに壊れてしまっては困りますから、CVRとFDRはレスキューオレンジという明るいオレンジ色に塗られたブラックボックスに収められています。設置場所も確率的に最も壊れにくい機体後部の床下が選ばれるそうです。
そしてブラックボックスそのものもとても頑丈な金属製の箱。3,400Gというとんでもない衝撃、2.2トンの圧力を5分、摂氏1,100度の炎に30分…などなど、様々な状況を想定した厳しい耐久性が要求されます。
また水に沈んでしまっても超音波信号を30日間発信して存在場所を知らせるビーコンもついていて、ブラックボックスの居場所がわかるようにできています。

今回のスリウィジャヤ航空の墜落事故ではブラックボックスの沈んでいる箇所が特定されたそうですから、引き上げられ次第アメリカやフランスなどの調査機関に送られて速やかに解析が行われることでしょう。
今後の空の安全のためにも、1日も早い原因の究明が行われることを望んでいます。


参考文献:
フライトレコーダの話(PDFファイル) - 海上保安庁

航空機の「ブラックボックス」は事故の原因をどうやって解明するのか? - Gigazine

ブラックボックスが伝えるもの:フライトレコーダーの秘密 - カスペルスキー公式ブログ
https://blog.kaspersky.co.jp/flight-recorders/9507/

インドネシア旅客機墜落事故、ブラックボックスの位置特定